見出し画像

40年越しに完成した音 〜 TUNE製『INTERRUPTER ST-01(1985~86年製)』との再会

当時は音が気に入ればそれで十分だった。憧れの人と同じものを持つことも求めたが、自分らしさを求めることも忘れなかった。しかし40年近く経った今、その素性を改めて調べ始めると、忘れかけていた記憶を裏付ける発見が待っていた。

当時、私が憧れていたのはSteve Lukatherだった。EMGのSPCを取り付ければ、彼と同じ方向性のサウンドに近づける。しかし私は、もう少し自由に音作りができるものはないかと探していた。そんな時、雑誌広告で目に留まったのが『INTERRUPTER ST-01』だった。

Steve Lukatherへの憧れ

1980年代のMTVで初めてTOTOの”ROSANNA”を見てからTOTOに興味を持つようになり、ロックというジャンルをよく聴くようになった。

"TOTO IV"(1982)を愛聴盤とし、それ以前のTOTOのアルバムを遡って聴いた。そしてそのギターサウンドに惹かれていった。

Steve Lukatherを初めて耳にしたのはTOTOではないかもしれない。
多くのセッション・ワークを通して、きっとTOTO以前にも彼のプレイを聞いていたことだろう。

そしてMTVのMVで見た”TURN BACK”(1981)の”Live For Today”と”Goodbye Elenore”はSteve Lukatherの弾くギターに強く視覚的に興味を惹かれた。

”Live For Today”ではヘッドストック、指板、ボディと赤く塗装された(Moon製?)ストラトタイプにゴールドのピックガード。
”Goodbye Elenore”でのEMGピックアップとFloyd Roseの付いたストラトタイプのギター。
そしてIbanezのカタログの中にもでてきたIbanez AR300 CS。

この3本は未だエレキギターを持っていなかった私の憧れになっていた。

Ibanez AR300 AVではあったが、AR300を入手。
さらにEMG SA/SA/SAピックアップ、Floyd Rose FRT-3CトレモロユニットのSteve Lukather仕様のFernandes ST-145SL Steve Lukatherモデルを手にすることもできた。

が、音作りの面ではコンパクトエフェクターでは無理。当の本人は高額なラックシステムを使った複雑なサウンドメイクをしていた。
少しでも近づくためにPearl OC-07というアッパー・オクターブも出せるオクターバーを購入したり四苦八苦したが無理。

そんな中、当の本人はEMG SA/SA/SAのSSSからEMG SA/SA/85のSSHを搭載したValley Artsへ移行。
ようやく追いついたと思った時には憧れはもっと先に進んでいた。

そして同時に思い浮かんだことが、一生追いつくことはできないということ。
当時のValley Arts(USA)は60万円を優に超えていたので、私は一生手にすることはできないと諦めたのだ。

SPCではなくST-01を選んだ理由

少しでも憧れに追いつくために、本人も使用していたというEMGピックアップに付けるプレゼンスコントロール(ファットコントロール)と呼ばれたEMG SPCを付け、擬似的にハムバッカーサウンドを作り出すという案を考えた。

が、どうせ追いつくことができないのならば、今の愛器Fernandes ST-145SL Steve Lukatherモデルで理想の音を求めようと。

そして出会った『INTERRUPTER ST-01』。
EMG SPCが広範囲にわたってミッドレンジをブーストし、同時にトレブルをカットするコントロールに対してINTERRUPTER ST-01はトレブル/ベースをブースト&カット。
こちらの方がより幅広い音作りができるのではないかと思い選択した。
長い間不明瞭ではあったことだが、当時は素性の分からない製品を選択したわけでは無かった。

手の届きそうな憧れとプロジェクトの頓挫

意気揚々と手にした『INTERRUPTER ST-01』ではあったが、いくら簡単取付とうたっていたからといってそういうものでは無い。私にとっては一大プロジェクトだ。
じっくりと取付行程を練っていた時に、またもや衝撃的なことが。

あんなに高嶺の花だったValley Arts(USA)のギターだったが、Valley Arts Japanから、国産モデルとしてMシリーズが発売された。
(Valley Arts Japan=Fender Japanみたいな立ち位置?)
これなら手が届く!

Fernandes ST-145SL Steve Lukatherモデルの21フレットにも限界を感じていた私の決断は早く、EMG SA/SA/81 SSHのValley Arts Mシリーズ Standard 2トランス・ブルーを購入。

このValley Artsの購入がきっかけになり、思い切ってFernandes ST-145SL Steve LukatherモデルにINTERRUPTER ST-01を取り付ける作業に入ることとなった。

…が、すぐにプロジェクトは頓挫することになる。

理由は簡単。
私にはギターを改造する知識も経験もなかった。

1990年某月某日。
分解されたFernandes ST-145SLとINTERRUPTER ST-01はそのままケースに収められた。
「またいつかきっと…」

Fernandes ST-145SLとの再会

2024年に入り、還暦を前にした私は断捨離を前提に愛器たちの手入れをすることにした。1本1本あれこれと思い出しながら手入れを進める中で、再開することとなった1本、無残な姿のFernandes ST-145SL Steve Lukatherモデル。それはINTERRUPTER ST-01が中途半端に取り付けられた状態だった。

手を止め現状を確認すると全てのパーツが揃っている状態では無かった。きっと家を新築した際に荷物をまとめたので、別々に保管してしまったのかもしれない。

他の愛器たちの手入れ作業を進めながらも、気になるFernandes ST-145SL Steve LukatherモデルとINTERRUPTER ST-01。

現行EMGのSAセットやスティーブ・ルカサー仕様のSAVセットに交換すればジャパン・ヴィンテージ・ギターがモダン仕様のハイブリッドとして復活する。
これは簡単(痛い出費)だが、INTERRUPTER ST-01は?
そういえば、当たり前だがINTERRUPTER ST-01のサウンドは聴いたことがない。

モダン化するには4万円少々の出費が必要となる。
ならば、INTERRUPTER ST-01の取り付けを同額以内で請け負ってもらえれば良いのでは無いかと。

そしてリペア発注先をあれこれ厳選し、2026年1月、ようやくリペアを行い復活!
ようやく当時憧れていた音を40年越しで奏でることができた。

資料発見

ようやく復活したFernandes ST-145SL Steve Lukatherモデル&INTERRUPTER ST-01だが、INTERRUPTER ST-01の素性が不明のまま。
取付説明図は保管してあったのだが、製造元・販売元の明記は無し。ネットを検索しても明確な答えが出なかった。

しかし最近見つけたHPに大きな手がかりが。
2012年更新の上方だが、私の保管しているINTERRUPTER ST-01取説と似たような(ほぼ同じ)取説画像を見つけた。

TUNE ACTIVE CIRCUIT SERIES

『あのTUNE?』

私の説明書には存在しない一文だった。

そしてそのHPにはTUNE社に問い合わせをしていることも判明。

間違いない、INTERRUPTER ST-01はあのベースで有名だったTUNE社製だったのだ。
そして思い出したことがひとつ。
私のバンド仲間がTUNEベースを買って弾いていた。
そう、だからTUNE製なら安心信用できるとINTERRUPTER ST-01を買ったのだ。

TUNE への質問と回答

Q1.90年代初めに製造を終了した製品で、御社のストラト用アクティブ回路を使用しております。

記憶ではST-18という製品でしたが、その製品のマニュアル(A4サイズ1ページにセッティングに関して書かれている)が、現在もあるようでしたらコピーをいただきたいのですが可能でしょうか?

 A1.記載の内容からST-18ではなくST-01かと思われます。セットアップ資料もA4のものがありますのでメールに添付いたします。

かんとくの隠れ家 2012.02.01
(左)ネットで見つけた説明書と(右)私の保管していた説明書
(左)TUNE ACTIVE CIRCUIT SERIESの一文が印刷されている

☆☆ 細部詳細(サーキット) ☆☆

TUNE社のアクティブ回路ST-01。90年代初めですでに生産が終了した最強かつ貴重な回路。本音を書くと他の2本(ValleyArtsとESP-Europa)もこれにしたいぐらい気にいっている。ビルローレンス、シェクターをはじめとするパッシブピックアップやEMG、バルトリーニ等のアクティブピックアップ接続時の設定チャートがマニュアルとして存在する。ピックアップメーカーでないのでこういった幅広い設定ができるのはいいことだ。

93年に残り在庫分としてなんとか手に入れ、ガリも出ない故障知らずだ。再販を強く希望したい。

かんとくの隠れ家 2012.02.08

今の思い

1985年に思い描いた理想の仕様は、一度は実現を諦めた。その後、私の音楽人生はValley Artsへと大きく舵を切り、M Series Standard 2、そして"ROBOT"へと続いていく。しかし、40年の時を経て、ようやく当時思い描いた「EMG SA+INTERRUPTER ST-01」を備えたST-145SLが完成した。遠回りはしたが、それもまた私のギター人生だったのだ。


最後までお付き合いただきありがとうございました。
それでは、また。

いいなと思ったら応援しよう!

DUNE よろしければ応援お願いします! いただいたチップはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!