TUNE製 INTERRUPTER ST-01 ~TUNE ACTIVE CIRCUIT SERIES(1985~86年製)
前回は少し思い入れが強すぎる書き方になってしまいました。本来はINTERRUPTER ST-01そのもののスペックや特徴を書こうと思っていたのですが、だいぶ本筋から外れた内容になってしまいました。
今回は改めて、INTERRUPTER ST-01というアクティブサーキットそのものについて深掘りしてみたいと思います。
なお、すでに製造・販売が終了している製品のため、当時の資料や現物をもとに考察している部分もあります。その点はご了承ください。

基本概要
INTERRUPTER ST-01はバッファアンプ内蔵アクティブサーキットでストラトキャスターへ組み込みやすいよう、各部がアッセンブリー化されている。対応するピックアップはパッシブ/アクティブ問わず、シングル/ハムバッキングの幅広いピックアップとの組み合わせを想定した設計となっている。
ALEMBIC、EMG、DUNCAN、BARTOLINI、DIMARZIO、BILL-LAWRENCEなどの国産・海外製にも幅広く対応する。
各ピックアップに対応させるため、サーキットボード上のDIPスイッチを切り替え、バッファアンプのゲインを 0dB 〜 11dB まで調整する。

🛠 SPECIFICATIONS(基本スペック)
コントロール:
マスターボリューム
15dB カット/ブースト トレブルコントロール
15dB カット/ブースト ベースコントロール
ピーク出力電圧: 0.5 - 1.5 ボルト
出力ノイズ: -80dBm
出力インピーダンス: 5k オーム
消費電流(9V): 600 マイクロアンペア
🎛 DIPスイッチによるゲイン設定
搭載するピックアップのタイプに合わせて、基板上の3連DIPスイッチ(1・2・3)でゲインを5段階に設定できます。
設定ゲイン対象ピックアップの目安スイッチ状態(1 / 2 / 3)
①0 dB アクティブPU用(EMGなど) 1-OFF / 2-OFF / 3-ON
②4.3 dB パッシブハムバッキングPU用 1-ON / 2-ON / 3-OFF
③6 dB パッシブパワードシングルPU用 1-ON / 2-OFF / 3-OFF
④7.2 dB パッシブノーマルシングルPU用 1-OFF / 2-ON / 3-OFF
⑤11 dB パッシブシングルPU用(ALEMBICなど) 1-OFF / 2-OFF / 3-OFF
🔌 配線コネクター仕様
基板側には「9ピン」と「4ピン」のコネクターが用意されています。
9ピン コネクター
①〜③: 9Vアウトプット ⊕(EMGピックアップ用)
④〜⑥: グラウンド(ピックアップ ⊖)
⑦: インプット(ピックアップ ⊕ from switch)

4ピン コネクター
⑧: 9Vアウトプット ⊖
⑨: グラウンド(from bridge)
⑩: アウトプット ⊖
⑪: アウトプット ⊕

トレブル/ベースの ±15dB という強力なカット&ブーストに加え、EMGなどのアクティブからハイパワーなハムバッカー、ローパワーなシングルまで、DIPスイッチひとつでインピーダンスや適切なゲインマッチングが行える、非常に機能的で時代を感じる優秀なサーキット。

現在における似たような製品:
EMG SPC(Strat Presence Control)などのコントロール回路は、ギターに内蔵してトーンをアクティブに変化させるという点で方向性は近い。
しかし、この取説にもあるように INTERRUPTER ST-01 の最大の特徴は「DIPスイッチによる入力ゲインの5段階切り替え(0dB〜11dB)」や、「トレブル/ベースの独立した±15dBカット&ブースト(2バンドEQ)」という仕様を「完全に一台で網羅している現行製品」は、残念ながらST-01と同じ思想を持つ現行製品はほとんど見当たらず、個々の機能を備えた製品が存在する程度である。
*INTERRUPTER ST-01は1993年頃に製造・販売を終了している模様。
ではここで現在手に入る近いスペックの製品を比較・整理してみる。
1. EMG製オンボードEQ・ブースター
EMGのコントロール回路は非常に近い存在ですが、機能が「ミッドブーストのみ」「ドンシャリのみ」と特化しており、ST-01のように「2バンドEQ+ゲイン調整」を兼ね備えたものとは少し毛色が異なります。
EMG SPC(Strat Presence Control)
特徴: ミッドレンジを最大約6dBブーストし、同時にトレブルを緩やかにカットする回路。シングルコイルをハムバッカーのような太いサウンドにする目的(スティーヴ・ルカサー氏らが多用した手法)には最適ですが、ST-01のように「ベースだけを上げる」「トレブルを上げる」といった独立した2バンドEQ操作ではない。
EMG EXG(Guitar Expander)
特徴: SPCとは真逆で、中音域をカットしながら低音と高音を同時にブーストする(ドンシャリを作る)回路です。こちらも1ノブでブレンドするタイプのため、個別の微調整はできない。
EMG BTC Control(Bass/Treble Control)
特徴: 本来はベース用ですが、ギターにも流用可能。ST-01同様、アクティブ/パッシブ問わず多くのピックアップに対応している。2軸2段(スタック)ポットになっており、「トレブルとベースを独立してカット&ブーストする」という点においては、ST-01のEQ仕様に最も近い現行品である。ただし、入力側のDIPスイッチによる多段階のゲインマッチング機能はない。
2. 多機能ブースター/バッファ(ゲイン調整の面で近い製品)
ST-01の「搭載ピックアップ(アクティブ/パッシブ)に応じて入力ゲインをカチカチと切り替える」という思想に近いものは、コントロールノブではなく基板上のミニスイッチやトリマーで調整するタイプの内蔵ブースターに見られます。
Demeter Amplification / MB-2B (Midboost Fat Control)
ミッドレンジに焦点を当てたブースターペダル(コンパクトエフェクタータイプ)
James Tylerなどで採用されるオンボードミッドブースト回路の設計思想にも通じる。基板上に全体の出力を微調整できるトリマー(可変抵抗)がついており、アンプや好みに合わせて全体のゲイン感をセットできます。
Seymour Duncan / BMP-1 (BPM-1) Blackouts Modular Preamp(※生産完了傾向)
パッシブピックアップをアクティブ化するための内蔵プリアンプ。EMGやパッシブなど、様々なピックアップとの接続を前提とした設計思想はST-01に近い。
総評:INTERRUPTER ST-01 の希少性
こうして現行製品と比較してみると、INTERRUPTER ST-01は単なる「ブースター」ではなく、幅広いピックアップへの対応力と柔軟な音作りを両立させた、非常に完成度の高いオンボード・アクティブサーキットだったことが分かります。
現代でも優れたオンボードEQは数多く存在しますが、「ゲインマッチング」と「2バンドEQ」を一体化したST-01の設計思想は今なお色褪せません。
1980年代というコンポーネントギター全盛期だからこそ生まれた、非常に意欲的な製品だったのではないでしょうか。
EMG SPCのようなキャラクターの強いミッドブースターも魅力的ですが、「元のピックアップのキャラクターを保ったままドンピシャのゲインに補正し、さらに細かく2バンドEQで補正する」というST-01のスペックは、今見ても非常に実用的で現代にはない魅力を持っていると思います。
最後までお付き合いただきありがとうございました。
それでは、また。
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