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「発達障害は親のしつけのせい」?当事者父の想い

「もっと厳しくしつければ良くなる」
「親の関わり方が悪いからこうなる」
「愛情が足りないんじゃないの」

発達障害をもつ子の親なら、
一度くらい
言われたことがあるかもしれません。

身内から。
近所の年配の方から。
公園で。
スーパーで。
時には学校の先生からも。

私自身、何度か言われたことがあります。

その言葉のあとに、
親の中で何が起きるか。

「あれ、本当に自分の育て方が悪いのかな」
「もっと厳しくすればよかったのかな」
「愛情、足りていなかったのかな」

母親が、父親が、
自分を責め始めます。

夜、子どもが寝たあとに、
天井を見つめながら
自分を削り続ける。

そういう親を、
私はたくさん見てきました。


私は元教員で、
今は福祉事業所を運営しています。

教員時代、
保護者面談で泣き出す母親を
何度も見ました。

「私の育て方が悪かったんでしょうか」
「もっと厳しくすべきでしたか」

違うんです、と
私は何度も伝えました。

発達特性は脳の機能の話で、
しつけや愛情の問題ではない。

これは医学的にも、
研究で繰り返し示されていることです。

ASDもADHDも、
親の関わり方が原因で
発症するものではありません。

それは断言できます。

でも、
そんな言葉ひとつでは、
追い詰められた母親の心は
すぐには救われません。

「悪いのは自分かもしれない」
が、もう一度ぐるぐる回り始める。

そういう光景を、
何度も見ました。


そして福祉事業所を運営する立場でも、
同じ光景を見続けています。

成人した利用者さんが
親との関係に苦しんでいる。

その親御さんが、
自分を責め続けている。

「あのとき、もっと厳しくしておけば」
「もっと甘やかさなければ」

40年以上、
そう考え続けて生きてきた
親御さんがいます。

しつけのせい、という言葉は
何十年も親を傷つけ続けるのです。

そしてそれが、
家族の関係そのものまで
壊していく。


父としても、
似た言葉を投げかけられたことがあります。

「男親が甘いんじゃないの」
「もっとビシッと言わないと」

悪気はないんでしょう。

心配して言ってくれているのも、
分かります。

でも、その言葉のあとに、
私の中で何が起きたか。

「自分の関わり方が間違っているのかも」
「もっと厳しくすべきなのかも」

特別支援を専門にしてきた私ですら、
そう揺らぎました。

専門知識があっても、
親としての立場に立つと、
言葉ひとつで簡単に揺れる。

ましてや、
何の予備知識もないまま
子育てをしている親に、
あの言葉はどれだけ重いか。


「しつけのせい」という言葉は、
言う側にはほぼコストがありません。

ふと口にした一言。
心配しているつもり。
良かれと思って。

でも受け取った親は、
何年もその言葉を
反芻し続けます。

「もしかしたら自分のせいかも」
が消えない。

子どもの行動を見るたびに、
「これは自分の育て方の結果か」
と確認してしまう。

これは親の認知を歪めて、
親子関係そのものを
変えていきます。

しつけ論で追い詰められた親が、
子どもを過剰にコントロールしようとする。

逆に、無力感で
関わりを諦めてしまうケースもある。

どちらにせよ、
子どもに届くものではなくなっていきます。


私が一番伝えたいのは、
ここです。

発達特性は、
しつけで治るものではありません。

愛情の量で
変わるものでもない。

これは責任から逃げる話ではなく、
脳の機能のあり方の話だと
受け止めるところから始めないと、
親も子も、
ずっと苦しいままです。

親ができるのは、
治すことではなく、
その子の特性に合う環境を
一緒に作っていくこと。

それは「しつける」とは
別の作業です。

専門的な知識と、
本人を観察する目と、
社会の側に少しずつ理解を
広げていく粘り強さ。

それが、
発達特性をもつ親に
本当に必要なものです。

「もっと厳しくすべき」では
解決しません。

むしろ、
親が自分を責め続けることで、
子どもとの関係も、
本人の二次障害も、
深刻になっていきます。


そして、こうも思います。

「親のしつけのせい」と言う人たちは、
たいてい、
発達特性のある子と
毎日向き合ったことがない。

毎日3時間、
こだわりに付き合った経験がない。

毎日30回、
同じ指示を繰り返した経験がない。

癇癪のあとの
ぐったり感を知らない。

知らないから、
言える。

知っていれば、
あんな言葉は出てこない。


今日は、少し感情的な記事になりました。

でも、これは
ずっと書きたかったことです。

教員時代から、
福祉の現場でも、
そして自分の家でも、
何度も見続けてきた光景です。

しつけや愛情のせいだと言われて、
自分を責めている親御さん。

違います。

あなたのせいではない。

毎日向き合っているあなたは、
すでに十分すぎるほど、
向き合っています。

そのことだけは、
誰かが言わないといけないと
思っています。



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