(4コマ漫画)娘に撮られたダサい写真

「証拠写真、一枚」
ある日の朝、リビングに現れた慎一の姿を見て、陽菜は真顔になった。
チェック柄のパジャマはボタンを掛け違え、右の靴下は緑、左は灰色。寝癖のついた頭で牛乳パックを片手に立ち尽くす姿は、もはや朝の挨拶より先に「事故現場」という言葉が浮かんでくる完成度だった。
「……朝から、事故現場?」
娘の内心の呟きなど知る由もなく、慎一はぼんやり牛乳を飲もうとしている。その一瞬を、陽菜は見逃さなかった。
無言でスマホを構え、
パシャッ。
「……いただきました」
まるで仕事の一環のように、淡々と一枚を収める娘。しかしシャッター音は、静かなリビングに思いのほか響いていた。
「ピコッ」
自分のスマホが震えたことに気づいた慎一が画面を見た瞬間、そこには自分自身のだらしない写真と、「家族LINEへ送信中」の文字。
「ちょ、待て!今の消せ!」
牛乳パックを傾けたまま慌てふためく姿は、写真以上にみっともなかった。しかし時すでに遅し。
「もう、おばあちゃんまで既読ついてるよ」
娘の報告に、慎一の頭の中は真っ白になった。膝から崩れ落ちる父の耳に届いたのは、祖母からの返信通知――「慎一ダサっ」。
朝の数分で、家族全員に「今日の父」が共有される。これもまた、この家の日常の一コマである。

