【4コマ漫画】気配、消す父
忘れ物ひとつ届けるだけの話である。それだけのはずだった。
朝、娘から「体操服忘れた」と連絡が来た。よし届けてやろう、と紙袋片手に張り切って校門まで出向いた父。しかし門の前には、友達と楽しそうに笑う娘の姿。渡せば、注目を浴びる。父はそこで悟った。今、自分がすべきことはただひとつ——気配を消すことだと。

娘のためを思って行動したはずが、いつのまにか「見つかってはいけない存在」になっている。これは世の父親という生き物の、宿命のようなものかもしれない。忍者よろしく守衛室に荷物だけ預け、後ずさりで立ち去る背中の哀愁たるや。
だが数日後、娘からぽつりと届いた「友達の前じゃなかったから、よかった」の一言。ああ、ちゃんと見ていてくれたのか。届けたのは体操服だけじゃなかったんだな、と、こっそり頬が緩んだ夜だった。
親父の忍びの技、今日も校門で発動中。

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