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夢十夜のようなもの

ショートショート集『いつか君と遠く離れても』
 
あらすじ
 初めて書いた短編から最近のものまでセレクトしています。ジャンルはほっこりからバッドエンド、コメディなど色々(微ホラーもあり)。 ローファンタジー多め。猫やOL、不眠症のサラリーマンなどが出てきます。
 構成は考えていますが、どこからでも読めるので、お好きな所からどうぞ。


 1話 夢十夜のようなもの

 私はある女性とそこにいた。彼女は長い緑の黒髪をしている。そしてあるものを指差した。
 それは、大きな絵馬のようなものに描かれた三毛猫だ。眠っているのか瞳を閉じている。

「この猫を鳴かせてみてください」
 彼女は言った。
「──鳴くんですか」
「ええ。そうしたら、あなたの願いを一つだけ叶えましょう」

 そう言ってほほ笑む。
 私は考え込んだ。どうしたら猫は鳴くのだろう。
 そして思いつく限りの事をやってみた。背中をなでたり、気に入りそうな食べ物を前に置いたり、こたつに入れてみたりする。毛づくろいをし、日当たりのいい場所に置き、ねずみのおもちゃを用意した。
 けれども、それはコトリとも音を立てない。猫の機嫌がよくなるような事をすべて試してみたが、まったく反応が見られなかった。
 とうとう私はあきらめて、それを部屋のすみに放置する。

 ある日、年老いた母が
「疲れたので肩を叩いてくれないか」
と頼んだ。
 彼女の後ろに回り、トントンとリズミカルに叩く。
 すると、どこからか「にゃあ」と声がした。

 驚いて振り返る。視界にあの絵馬が入ってきた。
 あの猫が、一言鳴き声をあげたのだった。

                 了



一章 希望

1話→夢十夜のようなもの (この話)
2話→毒食らわば皿まで
3話→誰かの光に
4話→imprinting
5話→青い地図
6話→ボクの魔法少女

二章 ノスタルジィ
7話 鳥居の向こう
8話 空の海、君の声
9話 Leave
10話 蛇の托卵(たくらん)
11話 星よりひそかに(BL)
12話 present
13話 記憶の器
14話 黄昏時

三章 死と別れ
15 消えゆく光とともに
16 気狂いダンス
17 サクリファイス
18 幸福な木
19 宵夜(しょうや)
20 懺悔(ざんげ)
21 明日が来なければ
22 海の忘れもの
23 願い

四章 再生、つながり
24 雫(しずく)の旅
25 昏(くら)い海
26 魂の踊り場
27 狐の窓
28 アタシを愛してくれるあなたへ
29 星の輝く夜
30 夜の住人
31 恋心

終章 永遠と祈り
32 砂浜
33 私だけのヒーロー
34 Epilogue、またはPrologue
35 僕の星、君の星 (終わりの話)

リンクが張れていないものは2,3日中に何とかしようと思います。まだno+eで公開していないものは、順次公開します。どうぞよろしくお願いします。

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