78話 風雅 The Quiet Ship of Escape 【六代御前編】波打際スケッチ Sketches of the Shoreline ~AIと創る青春物語~
暗い海を小船は進んでいる。
あえて月明かりがない日を選んでいるため、ほとんど景色は見えない。
広大な海の中、四方八方ともに同じ水面で、方向感を失いそうになる。
小船の中央には漁師の格好をした貴公子が、顔に炭などをぬって白い肌を隠している。
小船の後ろで漕いでいる男がいる。
漁師の格好をしたあの清成である。
もうずいぶん来たはずだ、できるだけ岸の近くにはいかないように注意している。

おそらく、磐城のあたりまでは来ているはずだ。
星の位置は見失っていないので、方向は間違ってはいないはずである。
「御疲れで御座いましょう」
小さい声で言うと
「いや・・・何より・・・・風雅で良いものだな」
なにやら歌でも詠み始めそうに言った。

セオリ殿に御礼致してからずいぶん時が過ぎている。
すぐには出立ができなかったからだ。
この時期には、すでに奥州藤原氏は滅亡し、源義経は首だけになっている。
奥州藤原氏の支配地は、鎌倉幕府の御家人である葛西清重や伊達朝宗に任せられるように変わっていた。
現在も千葉にある、葛西という地名は、この葛西氏がもともといた地域だった名残であるという。
葛西氏は下総(千葉)、伊達氏は相模(神奈川)の人である。
両氏とも、もともと奥州(東北)の人ではなかったのだ。
この伊達氏は、のちに伊達政宗を生み出すことになる。
平家は西国を地盤としていた。
本当は西国に戻りたかったに違いない。

しかし、相模だけではなく、駿河、三河もすでに鎌倉の勢力圏になってしまっている。
「もう暫く・・・御辛抱くだされ」
朝日が昇る前に、どこかに上陸しなければ・・・
清成は舵を切った。
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こあら@SeaArt×イラストプロンプト毎日発信さんのプロンプトを参照して作成しました。


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