84話 彫刻 急 At the Edge of Completion 【波打際編】波打際スケッチ Sketches of the Shoreline ~AIと創る青春物語~
細かく彫り込んだ彫刻は、誰が見ても龍だと分かるようになっていた。
あとは細かな調整を残すだけだ。
龍のたてがみもちゃんと浮き上がった。
鱗やひげなど、細部を整えていく。
やはり“眼”は最後にしたい。
達磨のように、目入れは作品の魂を決める大切な工程になる。
ここまでくれば完成も近い。
散らかった木くずを先に片付ける段取りの良さも身につけていた。
「あっ」
セオリが小さく叫んだ
「どうしよう・・」
泣きそうな顔で振り返る

見ると龍のひげが折れてしまっている。
「ああ・・・」
嘆くことしきりのセオリの隣に座り、取れたひげを戻せないかと位置に戻してみたりする。
これだけ細いと無理だな・・・
ちょっと極めすぎたかもしれない。
ひげの太さが足りず強度が保てなかったらしい。
「どうしようか・・・」
「ひげを切り落としてなかったことにする手もある。」
そういうと
ちょっと考え込んでからセオリが言った。
「ありのままで行きましょう」

途中までしかひげがない龍に目を入れるのは来週にすることにした。
夕日に照らされた龍は、濃い影を落としていた。
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