女性ホルモン(エストロゲン)と血糖値。更年期前後で、何が静かに変わっていくのか
※この記事は最後まで全て無料で読めます。
「40代に入ってから、同じ食事をしているのに、なんだか太りやすくなった」
「健診の血糖値が、急にじわじわ上がってきた」
「以前は気にしなかった甘いものへの欲求が、強くなった気がする」
もし、心当たりがあれば、この記事はあなたのために書きました。
*そして、もし男性でこの記事に目を留めてくださった方がいたら。おそらく、更年期に差し掛かっている奥様やパートナーの方がいらっしゃるのかもしれません。だとしたら、ぜひこのまま読み進めてみてください。この先に、最愛の人の体に今なにが起きているか、理解できるヒントがきっとあります。
40代以降の女性の体に起きている変化は、「気のせい」でも、「自己管理が足りない」せいでもありません。理由はホルモンという、見えない潮の流れが変わり始めたからです。
その正体である「エストロゲン」と、血糖値の関係を、今日は丁寧に解きほぐしていきます。
第1章 エストロゲンは、血糖値の味方だった
エストロゲン(女性ホルモン)というと、月経や妊娠、肌や髪のハリ。そんなイメージが強いと思います。
でも、実はもう一つ、とても大事な仕事をしています。
エストロゲンは、インスリンの効きを助けるホルモンでもあるのです。
具体的には、こんな働きをしています。
・筋肉や肝臓の細胞で、インスリンの効き(=血糖の引き取りやすさ)を保つ
・内臓脂肪をつきにくくする
・皮下脂肪(お尻・太もも)に脂肪を貯める方向に働く
つまり、エストロゲンが十分に出ている20〜30代の女性は、ホルモンの後押しで、血糖値が比較的安定しやすい体だったのです。
これは、ある意味では特典のようなものでした。
そして40代以降は、その特典が少しずつ薄れていく時期に入っていきます。
第2章 更年期前後で、体に起きる「静かな移り変わり」
更年期は、一般的には45歳〜55歳ごろ、閉経の前後5年ほどを指します。
この期間に、エストロゲンの分泌量は、比較的急なカーブで下がっていきます。
そしてホルモンが下がると、こんな変化が起きてきます。
変化① インスリンの効きが落ちる
エストロゲンが支えてくれていた「インスリンの効きやすさ」が、薄れていきます。
同じ食事をしても、血糖値が以前より上がりやすくなる。これがまず起きる変化です。
変化② 内臓脂肪が増えやすくなる
脂肪のつき方が変わります。
以前は皮下脂肪(お尻・太もも)に行っていた余ったエネルギーが、お腹の中=内臓脂肪に蓄積しやすくなります。
内臓脂肪は、体に炎症を起こす物質を出して、インスリンの効きをさらに鈍らせます。だから、放っておくと良くない循環に入りやすくなります。
変化③ 筋肉量が減りやすくなる
エストロゲンの低下に加え、加齢による筋肉量の減少(サルコペニアと呼ばれます)も重なります。
筋肉は糖の最大の受け皿。これが減ると、血液中の糖の行き場が少なくなっていきます。
変化④ 睡眠の質が落ちやすくなる
ほてりや夜中の目覚めで、深い眠りが取りにくくなる方が多くなります。
睡眠不足はインスリンの効きをさらに下げるので、ここでも血糖値に影響してきます。
第3章 「私のせいじゃない」と、まず知ってほしい
ここで、明確にお伝えしたいことがあります。
40代以降に血糖値や体重が変わってきたのは、あなたの自己管理の問題ではありません。
ホルモンという、自分では制御できないものが、体の仕組みそのものを書き換えているのです。
「20代と同じ食事・同じ運動量で、同じ体型を保てる」という前提自体が、もう変わってきています。
なので、まずは自分を責めないでください。
新しい体に合った、新しいやり方を見つけていけばいい——というスタンスがこれからのあなたを輝かせます。
第4章 更年期前後の血糖値、ここを意識してみる
新しい体に合わせて、できることは確実にあります。優先度の高い順に紹介します。
① タンパク質を「毎食」しっかり摂る
更年期以降の体で、一番に意識してほしいのがタンパク質です。筋肉の材料であり、減りやすい筋肉を守る一番の防壁になります。
目安は、1日に「体重1kgあたり1.0〜1.2g」ほど。体重50kgの方なら、1日50〜60gが目標です。
(※腎臓に持病がある方は、タンパク質量について必ず主治医に相談してください)
② 筋トレで「受け皿」を守る
週2回からで十分です。スクワット・ランジ・腕立て。
特に、太もも・お尻・背中といった大きな筋肉を使う種目が効率的です。糖を引き取る受け皿そのものを、減らさず守ることができます。
「ジムに行かなきゃ」と思わなくて大丈夫。家で椅子からの立ち座りを繰り返すだけでも、立派な筋トレです。
なお、しっかりトレーニングを習慣にしている方は、①の目安よりタンパク質を多めに摂ってください。目安は、体重1kgあたり1.4〜1.6gほど(体重50kgなら1日70〜80g)。筋トレの効果を、最適化するための大切なポイントです。
③ 内臓脂肪には「食後の有酸素運動」
増えやすくなる内臓脂肪には、有酸素運動がよく効きます。
中でもおすすめは、食後に15分ほど歩くこと。食後の血糖値の急上昇を抑えながら、脂肪も燃やせる、ダブルで嬉しいタイミングです。
④ 睡眠を大切にする
特に40代以降は、睡眠の質が翌日の血糖値に与える影響は大きいです。
寝る90分前の入浴(40℃で10〜20分)、寝る前のスマホを少し減らす、寝室を暗くする。
⑤ 大豆製品を、毎日の習慣に
更年期以降の女性にとって、私が特に大切だと考えているのが大豆製品です。
大豆に含まれるイソフラボンは、エストロゲンに似た働きをすると言われていて、減っていく女性ホルモンを、食事の面からそっと補ってくれる可能性があります。
納豆、豆腐、味噌、豆乳。和食の基本が、そのまま味方になってくれます。②のタンパク質補給も兼ねられるので、一石二鳥です。
「毎食に、何か一つ大豆製品を」。これを合言葉にしてみてください。
できることから一つでいいので、始めてみてください。
第5章 「足す」より、「引く」
ここまで、やった方がいいこと(足し算)を紹介してきました。
でも、私が現場で一番効果を感じてきたのは、実は「やめること」=引きの方です。
何かを足して頑張るより、今、知らず知らずのうちにやっている習慣を一つやめる。
その方が、ずっと楽で、ずっと効果的だったりします。
更年期で揺らいでいる体に、わざわざ負担を上乗せしているものを、まず減らしていきましょう。
引きたい習慣① 甘い飲み物
ジュース、加糖のコーヒー、エナジードリンク。
液体の糖は、固形物よりも一気に血液に流れ込んで、血糖値を急上昇させます。まずここを水・お茶・無糖の炭酸水に替えるだけで、体への負担はぐっと減ります。
引きたい習慣② 「ながら食べ」と「早食い」
スマホを見ながら、テレビを見ながらの食事は、噛む回数が減り、満腹を感じる前に食べ過ぎてしまいがちです。早食いも同じで、血糖値が一気に跳ね上がります。「よく噛んで、ゆっくり」、減らすのではなく、スピードを落とすだけです。
引きたい習慣③ 夜遅い時間の食事・お菓子
寝る直前の食事は、血糖値が高いまま眠ることになり、睡眠の質も下げてしまいます。夕食はしっかり食べる、そしてなるべく寝る3時間前まで。お菓子にすぐ手が伸びる「環境」を作らないことがカギです。
引きたい習慣④ お酒の「毎日」
お酒そのものを禁止する必要はありません。ただ、「毎日」を「週に何回か」に変えるだけで、肝臓も休まり、睡眠の質も上がります。
足し算は、続けるのにエネルギーがいります。
でも引き算は、やめた瞬間から効果が始まります。
更年期は、これまで体が黙って許してくれていた「ちょっとした無理」が、表に出てくる時期でもあります。
だからこそ、何かを足してホルモンの変化に抗うより、まず一つ、いらない習慣を手放す。
それが、揺らぐ体に贈れる、一番やさしいプレゼントです。
第6章 これは「衰え」ではなく「次のステージ」
最後に、伝えたいことがあります。
更年期前後の体の変化は、衰えではありません。
あなたの、前提条件が変わったという体からのお便りです。
20代の頃の自分と比べて落ち込むより、今の自分の体に合った付き合い方を覚えていくこと。これが、これから先の10年・20年を、自分らしく過ごすための、大きな鍵になります。
そして、心強い話があります。
筋肉は、何歳からでも育てられます。
「アッシュさん、筋肉ほんと推すなぁ…」
分かってます。でも何度でも言います。筋肉はあなたの資産です、それほど大事なんです。
そしてインスリンの効きも、お腹周りも、きちんと体を動かし、血糖値コントロールに取り組めばちゃんと効果は期待できます。
これからの未来は、まだまだ十分にあなたの手の中にあるということです。
最後に
ホルモンが変わっていくこと自体は、止められません。
でも、それに対する「体の応え方」は、私たち自身で育てていけます。
更年期は、終わりの合図ではありません。
むしろ、これまで無意識に頼ってきた体と、初めて正面から向き合う。その招待状のようなものだと、私は思っています。
招かれた今このタイミングこそが、新しい自分と出会う入口です。
どうか、焦らず、自分のペースで。
そして、最後にもう一つ。
更年期は、自分の力だけでコントロールできるものではありません。気分の波も、体の重さも、自分でもどうにもならない。それが、この時期の本当に辛いところです。
だからこそ、そばにいる家族やパートナーの理解が、何よりの支えになります。
「怠けているわけじゃない」「自己管理の問題じゃない」。その一言を、最愛の人がわかってくれているだけで、メンタルは驚くほど軽くなります。
前提条件が変わったこの新しいステージは、一人で越えるものではありません。家族みんなで寄り添いながら歩んでいく。その環境こそが、数字にも、心にも、確かに効いてきます。
血糖値と一緒に、新しい体との付き合い方を作っていきましょう。
*この記事は、一般的な健康情報と、私自身の学びや経験に基づく考え方をお伝えするものであり、特定の病気の診断・治療・予防を目的としたものではありません。更年期の症状がつらい方、健診の数値に不安がある方、すでに通院・投薬などの治療を受けている方は、自己判断をせず、必ず専門医にご相談ください。体質や状況には個人差があり、すべての方に同じ変化をお約束するものではありません。
この記事が、ご自身の体と向き合う「きっかけ」になれば嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
血糖値ケアにおいて、世間から桑の葉茶への注目度は少し特殊だなと感じてます。これは茶葉で糖質の抑制という、一見簡単すぎて成り立たなそうなことが起こり得る期待の表れだと理解しています。ちなみに1回目の検証では76%抑制という常識破りの記録が出ました。しかし重要なのは再現性なので、検証を重ね続けて解像度を上げまくっています。
