AI時代の創作メモ|人は「わかる」ことで傷つき、「わかる」ことで前に進む。要するに「わかる」って才能です(#創作論 #Web小説 #note #エッセイ #書籍化 #生成AI #画像生成AI)
こんにちは。こんばんは。
普段はラノベを書いている「うら表紙」と申します。
私の友人に、
音楽を習ったわけでもないのにリズム感が抜群によく、
歌も習ったわけでもないのに頭抜けてうまい人がいます。
一緒にカラオケに行くと、
Adoの「Odo」や米津玄師の「IRIS OUT」といった
「普通こんなの歌えないよ!?」と思うような楽曲を、
いとも簡単に本家くらい上手に歌いこなすのです。
だから、その友人と行くカラオケは本当に楽しい。
自分では手も足も出ない楽曲を歌いこなすその姿には、
一気に血が沸き立つような興奮があります。
その友人はいわゆる「J-POP」が大好きで、
夢中で追っかけをしているロックバンドがあります。
話を聞いていると、
「音がブレない」
「ここでこの歌い方する!?」
「ここでこの音!?」と、
尊敬と驚きを熱く語ってくれます。
でも正直に言うと、
私にはその驚きがさっぱりわかりません。
歌が上手で「わかる」人にはバラード好きが多い印象ですが、
それも微細な違いが「わかる」から好きなのだと思います。
そして私は、
世の中に溢れているバラードの良し悪しを
おそらくちっともわかっていません。
もちろん好きな曲はたくさんありますが、
どこが好きかと問われれば
「サビのリズム」や「声」、
たまに「歌詞」
くらいしか出てこないのです。
なぜなら、
私は音楽の良し悪しを「うまい」か「下手」か、
あるいは音やリズムが「好き」か「嫌い」かという
表面的な尺度でしか感じ取れないからです。
このように、
私と友人の間には、
一つの作品から受け取れる感度、
つまり「情報量」に明らかな違いがあります。
不思議なのが、
この受け取れる情報量の違いって、
学校の勉強とかで差がつく類のものではなく、
その人に備わっている「天然のもの」なんですよね。
そして、
これが「文章(文脈)」や「物語」の話になると、
私と友人の受け取れる感度が完全に逆転するんです。
ある時、友人がこんな風に言いました。
「ああゆうのどうせわかんないから『国宝』は観てない。それよりアクション映画とかがわかりやすくていい」
(※ここから少しネタバレを含みます)
おそらく友人が『国宝』を観ても、
あの時なぜ春江は俊介と駆け落ちしたのか、
死の間際に万菊が喜久雄を呼びつけたのはなぜなのか、
喜久雄が求めていた“あの光景”とは何であったのか……
そういった機微を察することは難しいのだと思います。
あの作品は今にしては珍しく、
いわゆる「背中で語る」系の含みが多いので、
私が音楽を聴く時と同じように、
表面をなぞるだけでは見えないものが多すぎるからです。
このことから、私はあることに気がつきました。
「わかる」ということ自体が、
すでにその人の中にある「才能やセンス」なのだと。
創作をしていると、
自分の作品の至らなさに絶望したり、
思うような結果が出なくて苦しくなったりすることがあります。
たとえば、
私が下手くそな絵を描いて投稿し、
世間からスルーされたとしても、
私はまったく傷つきません。
絵に対するこだわりもなければ、
何より「良い絵がわかる感覚」を持ち合わせていないからです。
人は、自分が「わかる感覚」を持っていないものに対しては傷ついたりしません。
傷つくのは決まって、自分がその価値や高みを「わかる」ものだけです。
「わかる」って、残酷でもありますよね。
自分の現在地と、
天才たちのいる頂との途方もない距離が、
はっきりと見えてしまうコンパスのようなものだからです。
そのコンパスがあるからこそ、
私たちは自分の至らなさに気づいて深く傷ついてしまう。
けれど、そのコンパスを持っていなければ、
そもそもどちらへ進んでいいのかすらわからないのです。
だからもし今、
自分の作品が思うようにいかなくて傷付いてしまっているのなら、
むしろその痛みを喜んでいいのだと思います。
それは、
あなたの中にその分野に対する鋭い感性があるという、
何よりの証拠なのだから。
「わかる」のならやることは単純です。
コンパスがどんなに遠くを指し示しても
自分を信じてただひたすらに歩くだけ。
「わかる」自分をいかに肯定し、励まし、
信じられるかだけの勝負なんだと思います。
結局創作って孤独との戦いですよね。
あとがき:
不思議なことに、猫を飼っていると、「わかる」ほどに猫の下僕になっていきます。うちの姫猫様たちは保護猫なのですが、どちらも私の最初の気持ちは「助けなきゃ!」だったはずなのです。ところが、一緒に生活して、一挙手一投足のすべてがわかるようになってくると、飼い主も気付かぬうちにヒエラルキーの頂点が「猫」になっていきます。猫のために起きて、猫のために行動し、猫のために仕事をする。おそらく猫はすごく大きな「人間をわかる才能」があるんだと思うのですよね。でなければ、「にゃ~ん」の一言で人間を支配下に置くなんてできないと思うのです。少なくとも私は完全に攻略されています(笑)
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カランコロン

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