【福岡カフェ】くぼっちと、ホットサンドとレモンケーキの日
私には、くぼっちという相棒がいる。
くぼっちというのは、私の仕事のパートナーである。
とても気が利く人で、方向音痴の私が道に迷いそうになると、さっと正しい方向へ導いてくれる。
「こっちだよ」と言いながら、特に呆れた顔もしない。たいへん有能な人物だと思う。
その日、私たちは仕事帰りに藤崎へやってきた。
目的は、ホットサンドである。
「パンちゃんとコーヒー」というお店で、赤い扉が目印だと聞いていた。

私は赤い扉を探しながら歩いた。たぶん一人だったら違う方向に赤い扉を探しに行っていたと思うが、くぼっちがいたので無事にたどり着けた。

店の前には大きな木彫りの人形が立っていて、ソフトバンクホークスのユニフォームを着ていた。なんとも言えない雰囲気であった。
お店は、こぢんまりとしていた。一人の女性がひとりで切り盛りしているらしく、注文を取りながら焼いて、出してくださっていた。
なんというか、仕事がきれいな人だなと思った。こういう人が作ったものはおいしいに決まっている、と私は勝手に確信した。
私はチリソースのチーズハムエッグを頼んだ。チリソースとチーズとハムと卵という組み合わせは、考えてみれば万能チームである。

負けようがない布陣だ。くぼっちはハニーマスタードチキンを頼んでいた。こちらもぎっしりと具が入っていて、キャベツがとろりとしていてよかった。

ドリンクは私がアイスカフェラテ、くぼっちがホットカフェラテだった。

私のカフェラテは背の高いグラスで出てきてすっきりしていたし、くぼっちのホットカフェラテは黄色いカップで出てきてかわいかった。同じカフェラテなのに、全然違うものが来た。なんとなく面白かった。
ホットサンドというのは、食べた瞬間に「あ、ちゃんとおいしい」と思わせてくれるものだと、私はずっと思っている。
難しいことは何もないのに、きちんとおいしいのである。パンがさくっとしていて、具が熱くて、チリソースがちゃんと主張してくる。
私はそれをもぐもぐ食べながら、なんとなく満足した気持ちになっていた。
さて、お腹もふくれたし、帰ろうかということになった。
ところが、藤崎駅のそばを歩いていたら、パン屋があった。

「BAKELUCK」というお店で、入り口に古びた黄色い椅子が置いてあった。

「パンやけとります」という手書きの紙が、その椅子の上にちょこんと乗っていた。
なんというか、憎めない看板である。思わず立ち止まってしまった。
お店の前には紫陽花が咲いていて、扉が木でできていて、いい感じの雰囲気であった。引き寄せられるように中に入った。
パンがたくさん並んでいて、どれもこれもおいしそうで、困った。
こういうときの私は大抵あれもこれもと手を出してしまうのだが、その日もそうなった。

ドーナツ型のパンや、焼き野菜が乗ったタルティーヌや、ブラッドオレンジが乗ったまるいパンなど、目移りするものばかりであった。
しかしこの日いちばんよかったのは、レモンケーキである。
食べたら、おいしかった。ほんとうにおいしかった。しっとりしていて、レモンの酸味がきいていて、こういうものが世の中にあってよかったと思った。
……ただ、写真を撮り忘れた。
肝心のレモンケーキを、撮り忘れたのである。
まあ、そういうこともある。それより、また行けばいいのである。次こそ撮る、と私は思った。たぶん撮る。
#ホットサンド #パンちゃんとコーヒー #BAKELUCK #福岡カフェ #福岡パン屋 #藤崎カフェ #藤崎グルメ #福岡グルメ #エッセイ #日常エッセイ #カフェ巡り #パン屋巡り #仕事帰りのおたのしみ #レモンケーキ
