神の計画は6000年説──「天地万象の完成は6000年」とする初期教父たち
神の計画は六日、つまり6000年
「神の計画は6000年である」とする説について、初期キリスト教(1〜4世紀)における教父たちの主張、著作文献、原語資料、その他資料をまとめました。
神の計画は6000年説とは
この説は、創世記の「創造の六日間」が象徴的に人の歴史の6000年間を表すとするもので、七日目は千年王国(神の安息・ミレニアム)を意味するという終末論的な解釈です。
根拠としては以下の聖書箇所がよく挙げられます。
【詩篇 90篇4節】
あなたの目の前には千年も過ぎ去ればきのうのごとく、夜の間のひと時のようです。
【ペテロの第二の手紙 3章8節】
愛する者たちよ。この一事を忘れてはならない。主にあっては、一日は千年のようであり、千年は一日のようである。
【創世記 1章31節-2章4節】
神が造ったすべての物を見られたところ、それは、はなはだ良かった。夕となり、また朝となった。第六日である。
こうして天と地と、その万象とが完成した。
神は第七日にその作業を終えられた。
すなわち、そのすべての作業を終って第七日に休まれた。神はその第七日を祝福して、これを聖別された。神がこの日に、そのすべての創造のわざを終って休まれたからである。
これが天地創造の由来である。
初期キリスト教の主要な教父と文献
以下に6000年説を唱える代表的な教父10人の主張と出典等を示します。
1. バルナバの手紙(約80-190年)
主張:創造の六日間は6000年を象徴し、第七日は千年王国を示す。
ギリシャ語原文:CCEL: Epistle of Barnabas
バルナバの手紙 第15章 偽りの安息日と真の安息日
さらに、安息日については、主がシナイ山でモーセと顔と顔を合わせて語られた十戒にもこう記されています。「清い手と清い心をもって主の安息日を聖別せよ。」(出エジプト記20章8節、申命記5章12節)。
また別の箇所では、「もしわたしの子らが安息日を守るなら、わたしは慈しみを彼らの上に留めよう。」(エレミヤ記17章24-25節)とあります。
安息日は天地創造の初めにこう記されています。「神は六日間で御自分の御手の業を造り、七日目に完成させ、その日に休み、これを聖別された。」子どもたちよ、この表現の意味をよく考えなさい。神は六日間で完成させた。これは、主がすべてのことを六千年で完成させることを意味します。なぜなら、一日は神にとって千年だからです。そして、神ご自身がこう証ししておられます。「見よ、今日は千年のようだ。」
子どもたちよ、六日、すなわち六千年で、すべてのことが成し遂げられる。「そして、神は七日目に休まれました。」これは、神の子が再び来られて、悪人の時を滅ぼし、不敬虔な者たちを裁き、太陽と月と星を変えるとき、神は真に七日目に休まれるという意味です。
さらに、神はこう言われます。「あなたは清い手と清い心で、それを聖別しなければならない。」
ですから、もし誰かが、神が聖別された日を、すべてにおいて心が清くなければ、今聖別できるとしたら、私たちは欺かれています。見よ、ですから、私たち自身が約束を受け、悪はもはや存在せず、すべてが主によって新しくされ、義を行うことができるようになるとき、正しく休む者は、それを聖別するのです。その時、私たち自身がまず聖別されたので、それを聖別することができるのです。
さらに、神は彼らにこう言われます。「わたしはあなたがたの新月と安息日を耐えることができない。」(イザヤ書1章13節)。
神がこのように語っているのを、あなたは知っている。あなたがたの今の安息日は、わたしには受け入れられない。しかし、わたしが定めたのはこれである。すなわち、すべてのものに休みを与え、第八日、すなわち別の世界の始まりを定める時である。それゆえ、わたしたちも第八日を喜びをもって祝う。その日、イエスは死人の中から復活された。そして、御自身を現された後、天に昇られた。
2. エイレナイオス(Irenaeus, 約130-202年)
著作:『異端反駁(Adversus Haereses)』第五巻第28章
主張:六日間の創造は6000年の歴史を象徴し、第七千年に神の安息(千年王国)が訪れる。
異端反駁 第5巻 第28章
彼がこれらの奇跡を神の力によって行うと考えてはならない。魔術の働きによって行うのだ。そして、悪霊や背教の霊たちが彼に仕えている以上、彼が彼らを通して奇跡を行い、それによって地に住む者たちを惑わすとしても、驚くべきではない。ヨハネはさらにこう述べている。「そして、彼は獣の像を造るように命じ、その像に息を吹き込む。すると、像はものを言うようになる。そして、それを拝まない者たちは殺されるであろう」。
またこうも言われる。「また、額と手に刻印を押させ、獣の名の刻印、あるいはその名の数字を持つ者以外は、だれも物を買うことも売ることもできないようにする。その数字は六百六十六である」。これは百の六倍、十の六倍、六単位である。彼はこれを、六千年の間に起こった背教のすべてを要約するものとして述べている。
3. この世界が造られたのと同じ数の日数で、千年で世界は完成するであろう。このため聖書はこう言っている。「こうして天と地、そしてそのすべての装飾は完成した。神は六日目に、その造られた業を完成された。そして神は第七日にすべての御業を終えて休まれた。」
これは、かつて創造されたものについての記述であると同時に、これから起こることの預言でもある。主の日は千年のようであり、六日間で万物が完成された。したがって、六千年目にはそれらが終わることは明らかである。
3. クレメンス・アレクサンドリヌス(Clement of Alexandria, 約150-215年)
主張:第七日は世界の最終的な刷新と安息を象徴すると述べ、千年紀思想を支持。
典拠:『ストロマタ』など
クレメントは世界の拡張年表を提供し、キリストの誕生を紀元前4-2年の4月または5月25日とし、世界の創造を紀元前5592年とします。
言語の起源とプラトンに対するユダヤ人の影響の可能性についての議論で終わります。
4. ヒッポリュトス(Hippolytus, 約170-235年)
著作:『ダニエル書注解』第4巻第23-24段落
主張:キリストの誕生はアダムから5500年後であり、そこからさらに500年が経過して6000年が満ちるとき、終末が訪れる。
参考:David G. Dunbar, The Delay of the Parousia in Hippolytus, Vigiliae Christianae, 1983
ヒッポリュトスは、再臨が差し迫っているという信念に同意しませんでした。『ダニエル書の注解』で、彼は近い将来に再臨を予言する人々を批判し、再臨の前に創造から6000年が経過しなければならないと述べています。
彼はまた、キリストはアダムの5500年後に生まれたので、キリストの誕生から「6000年の成就まで500年が経過しなければならず、このようにして終わりが来る」と述べています。
5. セクストゥス・ユリウス・アフリカヌス(Sextus Julius Africanus, 約160-240年)
著作:『年代記』
主張:アダムからキリストまでの年数を算出し、6000年で世界史が完結するというユダヤ系思想を取り入れた。
アフリカヌスは、世界の歴史を五巻にまとめた『Chronographiai』を執筆しました。この作品は、創造から西暦221年までの期間をカバーしています。
彼は、天地創造からイエスまでの期間を5500年と計算し、受肉を5501年(紀元前1年3月25日)の春分点としました。
以下は、創造からイエスの受肉までを5500年とした、主な計算方法です。
アダムからノアの洪水まで:2262年
ノアの洪水からアブラハムまで:約942年
アブラハムからモーセまで:約505年
モーセからソロモンまで:約479年
ソロモンからバビロン捕囚まで:約430年
バビロン捕囚からキリストまで:約882年
これらを合計して、約5500年としています。
6. テオフィロス・アンティオキア(Theophilus of Antioch, 183-185年頃没)
著作:『アウトリュコスへの弁明』第三巻第28章
主張:創造から自分の時代までの年数を計算し、世界の歴史を6000年とする。
テオフィロスは第三巻において、「世界の創造から」マルクス・アウレリウス帝までの詳細な年表を提示しています。これは聖書に登場する最初の人間アダムからマルクス・アウレリウス帝までを網羅しています。テオフィロスはこの皇帝の治世に生きました。
この年表によれば、世界の創造は紀元前5529年頃とされています。
7. キプリアヌス(Cyprian, 258年没)
著作:『論文集』第11巻第11章
主張:神の計画は七千年であり、6000年の後に千年の安息が訪れる。
典拠:論集・書簡(断片的に引用される)
キプリアヌスは、創世記の創造記録の各日は1000年で構成されていると主張しました。
8. ヴィクトリヌス(Victorinus of Pettau, 303-304年没)
著作:『世界の創造について』『黙示録の解説』
主張:六日間の創造は6000年の歴史を象徴し、第七千年に神の安息が訪れる。
ヴィクトリヌスはヨハネの黙示録の注釈書を著し、後に五世紀にヒエロニムスによって加筆修正された形で再出版されました。1918年には、加筆修正されていない原稿が発見されました。この注釈書は、ヴァレリアヌス迫害の直後、およそ260年頃に執筆されました。
ヴィクトリヌスは、黙示録20章4-6節を千年王国説(千年王国説)に基づいて、文字通りに解釈しました。つまり、地上の楽園における義人の支配の到来を預言したのです。
9. メトディオス(Methodius, 311-312年没)
主張:六日間の創造は6000年の歴史を象徴し、第七千年に神の安息が訪れる。
原文(ラテン語):不完全に現存(要学術的再構)
10. ラクトゥアンティウス(Lactantius, 約250-325年)
主張:六日間の創造は6000年の歴史を象徴し、第七千年に神の安息が訪れる。
神の制度 第7巻 第14章
プラトンをはじめとする多くの哲学者たちは、万物の起源と世界が創造された太古の時代について無知であったため、この美しい世界の秩序が完成してから何千年もの歳月が経過したと主張した。そしておそらく、この点において彼らはカルデア人の教えに従ったのかもしれない。カルデア人は、キケロが占いに関する第一巻で述べているように、自分たちの記念碑に四十七万年を収めていると愚かにも主張した。その点において、彼らは有罪判決を受けることはないと考え、偽りを語っても構わないと信じていた。
しかし、聖書によって真理を知るように教えられている私たちは、世界の始まりと終わりを知っている。そのことについては、第二巻で始まりについて既に説明したので、本書の最後に述べることにする。それゆえ、世界の始まりから数千年を数える哲学者たちは、六千年目はまだ満ちておらず、この数が完了した暁には必ず終焉が訪れ、人類の営みはより良い方向へと変革されるであろうことを知るべきである。その証拠をまず述べなければ、事態は明らかにならない。
神は聖書の奥義に記されているように、六日間で世界とこの驚異的な自然の営みを完成し、七日目を聖別し、その日に御業を休まれた。しかし、これは安息日であり、ヘブライ語ではその数にちなんで名付けられ、七日目は正当かつ完全な数である。七日間があり、その公転によって年周が秩序正しく構成されている。また、沈まない七つの星と、惑星と呼ばれる七つの光体があり、それらの異なる不均等な運動が、状況や時代の多様性を引き起こすと信じられている。
したがって、神の御業はすべて六日間で完成されたので、世界は六つの時代、すなわち六千年間、現在の状態を維持しなければならない。神の大いなる日は、千年という周期で限定されている。預言者はこう述べている。「主よ、あなたの御前には、千年も一日のようだ」。
神がその六日間、このような偉大な御業を創造するために御苦労されたように、神の宗教と真理も、悪が蔓延し、支配するこの六千年間、御苦労されなければならない。そしてまた、神は御業を終え、七日目に休息し、それを祝福されたので、六千年目の終わりには、すべての悪は地上から除去され、正義が千年間支配しなければならない。
そして、世界が今長らく耐えてきた労苦から解放され、平穏と休息が訪れる。しかし、それがどのように起こるのか、私はその順序に従って説明しよう。私たちはしばしば、より小さな事や取るに足らない事は、偉大な事の象徴であり、前兆であると述べてきた。日の出と日の入りによって区切られる私たちのこの日は、千年という周期がその限界を定めるあの偉大な日を象徴しているのです。
その他資料
アーネスト・L・マーティン博士
年表と予言の新たな発見 New Discoveries in Chronology and Prophecy By Ernest L. Martin Ph.D., 1989
年代順の虚偽 Chronological Falsehoods By Ernest L. Martin, Ph.D., 1998
オンライン原典テキスト
アダムからキリストまで5500年なのか
主要教父の文献において、キリストの誕生はアダムから約5500年後とする説が複数ありますが、これは七十人訳聖書に依拠していると思われます。
七十人訳のかさ増し
翻訳聖書で有名な七十人訳は、紀元前2~3世紀にエジプトの学術都市アレクサンドリアに住んでいた72人のユダヤ人の長老が、ヘブライ語の聖書をギリシア語に翻訳したものです。
新約聖書においても七十人訳聖書から引用されていると言われ、当時権威のあった翻訳聖書とされています。
この七十人訳聖書は、アダムからテラ(アブラハムの父)までの年数について改ざんが確認されています。
これは、多民族が集まり学術的な権威を誇る都市アレクサンドリアにおいて、民族についてその歴史が古ければ古いほど偉いというような風潮があり、ユダヤ民族の歴史を誇りたいユダヤの長老たちは、ギリシア人にユダヤ教の聖書をアピールするため、下の図のとおり1234年のかさ増しを行っているのです。

ヘブライ語聖書のマソラ本文では、下の図のとおりアダムからキリスト到来(バプテスマ)まで、ちょうど4000年になります。

改ざん分(かさ増し)を考慮すると、4000年(マソラ本文)+1234年(かさ増し分)-30年(キリスト誕生からバプテスマまで)=5204年となり、アダムからキリスト誕生まで約5200年と算出さます。
出エジプトまで430年の起算点の誤読
また、「アブラハム契約から出エジプトまで」を430年とすべきところを、「ヤコブのエジプト移住から出エジプトまで」を430年としていることよって、アブラハム契約からヤコブのエジプト移住までの約200年が余分に計算されることになり、これによって、約5200年+約200年=約5400年となっているようです。
その他、ダニエル書9章25節の神殿再建命令を歴史考古学に依拠したことにより余分に約80年加算されるなど、いくつかの要素が加味されてキリストの誕生まで約5500年となっています。
「神の計画は6000年」と認識していた
これらの文献が書かれた時代が2~4世紀であることから、彼らの計算によれば、その時代がアダムから5700~5900年目に相当することになります。
キリスト再臨まで数百年あるため、すぐに来ると差し迫ったものではないものの、6000年目がその時であると認識していたことは間違いないでしょう。
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