見出し画像

【至急】返信乞フ

井上殿

ここのところ創作という名の檻に逃げておった。
だがしかしだ。
私は私と云うものを見失った。

故のこの為体ていたらく……許されたし。

おのれとは何か」
そんなようなものを探し、探し続けていたのやも知れぬ。

我が苦しみはそれを鑑賞、、する者に干渉、、することがあってはならない。
失敬。
これは「カンショウ」同士の掛け合い遊びである。

なお、この場合のカンショウ──干渉は勿論、
人間と人間の間……字面にすると「間」があまりに多く、これを読まれる諸君らは
此奴こやつ、ついにどうにかなったのでは……」とお思いになられるやも知れない。

いかがだろうか?
あながち間違いではないのでは……?
素直に手を叩き、大口開けて笑うてくれたらうれしいのだが。

すまない。
話が脱線・逸脱・失踪のホップステップジャンプをしてしまった。
なおついでに申し上げておくと井上、君は私をみくびっておろう……
私はステップないしスキップができないのではない。
できるということを彼奴あやつ──否、お前に知られぬようなしているだけなのだ。

さもなくば、奴は私を
「なに言ってんだよ、お前は正真正銘平成生まれの高校生だろ?」
揶揄からかうものでな。
幾度となくあの高笑いを聞いた。
たびに私は哀しく、我がことながらにいたたまれなく、かつ消えてしまいたいほどの心持ちになってしまうのだ。

しかし、死の直前に酒を酌み交わした友の如くなれぬのが俺──否、小生……?
あゝ……ワタクシの良くも悪い、悪くも良いところであって……

何者かを殴る勇気などはない者と覚えておきたまえ。
僕……いや俺……あの、私……小生……?

ああ……邪魔すること勿れ。

なんの話をしておったか。
カンショウか。
とりわけ、「干渉」についてであった!

小生はこれを、物理学並びに光学的に捉えてゐる。

干渉【かんしょう】
〔名〕(5)
二つ以上の同種類の波動が、同一地点で合ったとき、両者が重なって互いに強め合ったり弱め合ったりする現象。
音波ではうなりを、光では干渉縞かんしょうじまを生ずる。

『日本国語大辞典』

私は文学をおもとして学ぶが故、この定義を辞書のうちに見出した折には万華鏡を太陽に突っ込み覗き穴を覗いたかの如き感動を得た!
これぞまさに、あの筒がカレイドスコオプKaleidoscope(「美しいkaloseidos見るskopeo」)と呼ばれる所以であろう!

しかし、波と波とが──穏やかなるモノを波A、不穏なるものを波Bと置くとしよう。
この波A・Bが、いやはやA・Bのみにあらず……
小生の言及いたしかねるCだのDだのこの世における複数の波があるやも知れぬがたった今それは我々の関係性の中に見出す必然性はあらぬものと思うてほしい。

一寸先ちょっとばかし話を戻そう。
AとB、とりわけ波である。
あくまで波の話をしてゐる。
出会い、重なり合うことでその「波」が相互、、に強め、弱めと影響し合うことを「干渉」とするということを述べたかったに過ぎない。

「切磋琢磨」に似たところのある、理科大の学生の好みそうな小難しい学問にも文学の心得のあることを知り、「すべての道は、文学に通ず!」と声を大にして言いたい……言うたところ、我が不徳のいたすところではあるが現在職員室なるところに幽閉されており、おぬしとの逢瀬……と申すと非ぬことを疑われるものだから帰路というておこう。
鉄の筋を西へと向かうそれが為せぬことを申し訳なく思うておる。

が、殊にここ最近おぬしは若干小生を小莫迦ばかにしておられる節が見られる。
あの態度はいかなるものであろうか。

いやに重たげな学生鞄から、分不相応のような小銭入れなどちらつかせおぬしは薄荷スースーにチヨコレイトの粒の入ったアイスクリームなどを舐めに舐め、
「あゝ、お前にも買ってやろう!」
そんなことを言うては頼みもせぬというのに「綿菓子味」なるけったいな凍った乳製品を買って寄越す。

あれはいかがなものか。
そなたと小生とを波とするならば「干渉」の結果、こちらは消えて無くなるような心持ちがしておるのだ!

さて、これを読み終える頃には武蔵境……東小金井……妙な乗り換えなど試みておれば国分寺あたりであろうか。

その頃には我が師の話も終わっておろう。
もし、今朝方おぬしが何か言いかけ
「いや、放課後でいい」などと濁したものの続きを述べたくば国分寺にて待たれよ。

折角の文明の利器があるのだ。
返信乞う。
電子文メエルにて知らせたまえ。

追伸
見出しについてだが、御容赦願いたい。
文士たるもの、読まれたいと云う慾は消せぬのだ。


東京帝国大学国文科 
白石しらいしりょう




『水辺のつつじ』、続編投稿予定日ですが貝原瑞樹にも休暇が必要ですのでね。


あれ、白石さん。
あなた一体どうしたんですか?
大正の世を生きる上原朔也はお使いに行く。


【エッセイ】
その実、私は疲れてしまったのだ。


ゆきお様・解説
人称のズレ、ご指摘ありがとうございます😭
それこそが私の狙いでした。
よかったです。

いいなと思ったら応援しよう!

よもぎ よもぎちゃーん! はーい! 何が好き? ポテトチップスよりも お・ぬ・し

この記事が参加している募集