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布団の中で社長ごっこは終わった/昔稼げた男のしょうもない再起録 #2

昔の自分は、なかなかしつこい。

もう終わった話なのに、やたらと顔を出してくる。

昔は稼げていた。

昔は売れていた。

昔は反応があった。

昔は、昔は、昔は。

自分で言っていても、まあまあ面倒くさいおじさんだと思う。

ただ、当時のボクには、その昔話しか残っていなかった。

月収450万円の記憶

ネットで稼げていた時期がある。

月収で450万円を超えたこともある。

こう書くと、少しすごそうに見えるかもしれない。

でも、病気で仕事が止まった後のボクにとって、その数字は自信というより、かなり厄介な荷物だった。

妻が仕事に行く音がする。

玄関のドアが閉まる。

部屋が静かになる。

その横で、ボクは布団の中にいた。

体は動かない。

頭も回らない。

パソコンを開く気力もない。

それでも、スマホだけは見ていた。

昔の売上。

昔の販売履歴。

昔のやり取り。

昔の自分が、まだどこかに残っている気がした。

布団の中の元社長

何度見ても、今月の収入が増えるわけではない。

何度見ても、今日の体調が良くなるわけでもない。

何度見ても、妻の負担が減るわけでもない。

それでも見てしまう。

ボクは本当はできる人間なんだ。

今はたまたま止まっているだけなんだ。

治ればまた戻れるんだ。

そんなことを、昔の数字に言わせようとしていた。

かなり情けない。

社長でも、フリーランスでも、稼ぐ人でもない。

誰かに指示を出しているわけでもない。

何かを動かしているわけでもない。

ただ布団の中で、過去の売上を眺めているだけのおじさんだった。

それでも頭の中では、まだ少しだけ偉そうだった。

布団の中の元社長。

我ながら、なかなか残念な肩書きである。

0円の人間が、100円を笑っていた

厄介なのは、昔稼げた記憶があるせいで、小さな一歩をバカにしてしまうことだ。

月1000円?

そんなの意味あるのか。

100円の商品?

昔の自分なら、そんな小さいことやらなかった。

記事を1本書く?

それで何が変わるんだ。

今思えば、本当に面倒くさい。

0円の人間が、100円をバカにしていた。

何も出していない人間が、記事1本を下に見ていた。

かなり痛い。

でも、その時は本気でそう思っていた。

昔の自分が、今の自分の邪魔をしていた。

昔の自分は助けに来なかった

昔の実績は、たしかにボクの一部だ。

でも、それを握りしめたままだと、今の自分は動けない。

過去の数字を眺めても、今日の記事は増えない。

昔の売上を思い出しても、今の100円は生まれない。

ボクは昔の自分に助けてほしかった。

でも、昔の自分は助けに来なかった。

ただ、今の自分を少しだけ偉そうにさせただけだった。

布団の中で社長ごっこをしていても、何も始まらない。

そう思えるまで、本当に長かった。

最後まで読んでくれてありがとうございます!

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