石は海を越えてひかれあう
波に揺られ、旅に引き寄せられ
島の地面を踏みしめる。青い幟が風にはためき、
柔らかな光が辺りを満たす。祝祭の時が閉じる
その前に、島の風景をぐるりとめぐる。吹き抜け
ていく風。立ち並ぶ石の向こうに浮かぶ島々。

海を越えて島へと渡る

祝祭の気配の中の静かな時間に

淡い光に包まれた建物で

日常から旅へとスイッチを入れ

大切なものを置いては携える

島にぽつぽつと散らばる池は

切り出されて、海を渡った石の記憶を伝える場所

かつて石の島と呼ばれた島に
建築家により、新たな記憶が重ねられる

風に吹かれる焼杉板は

島に馴染み、立ち並ぶ石の背景となる

海を隔てた先には小豆島

島々の石は、大阪の地までも運ばれた

過去から今へと、島に吹く風が

石の表面を撫でていく

先にそびえる煙突も

島の歴史を切り替えては、今に至る

帯びる斑な錆色と
矢穴が刻まれた石の記憶

島の歴史は揺れ動き

島の石は時代の礎となる

ざらざらとした質感に光る雲母

石はピンクから白へ

また錆色へと色をなす

一つ一つの石の持つ島の記憶に

旅の歩調を沿わせては

連なる石の色合いを伝う

ひんやりとした凹凸が纏う
素材の振動が手に伝わる

表面を撫でる光が

質感を浮き立たせては地面とつなぐ

海から吹く風を受ける石と
風に乗って海を渡った石の

犬島に流れる石の物語の

間に緑が揺れる

眺める程に、石は様々に色をなし

あせては鮮やかに

島の記憶を伝えるものとなる

石に宿る奥行きに
犬島の巨大な石の姿を思い

岸に連続する連なりに
遠い場所へ運ばれた断片を重ねるら
海岸沿いにずらりと石が立ち並ぶ。石の島でも
ある犬島は、石の記憶をまとう場所。かつて島
から切り出され海を越えた巨大な石は、大阪城の
礎ともなる。島に残る石と海を渡った石は、島風
に吹かれ、今も静かに、海を越えてひかれあう。
