海を渡り時を超える石垣の記憶
そびえる石垣の上に建つ天守を目印に
石の城と形容され、400年の時を重ねる丸亀城
へとたどりついた。堀に浮かぶ門の影。丸亀の
街を見渡す天守を目指し門をくぐる。積み上げ
られた石垣に、刻まれた瀬戸内海の島々の記憶。

水面にゆらめく石垣の先に

連なる二ノ門、一ノ門、天守

板塀の三角と四角の狭間に目を留めつつ

まずは二ノ門をくぐる

扉には繁栄への願いの跡

狭間は移りゆく街の風景を切り取る

波打つしっくいの先には

加工された石が積まれ、隙間をつなぐ

かつて地面と一体となっていた石は

穴を穿たれ、切り離されて海を渡った

大手枡形には大きな鏡石

二ノ門の次は、風格を備えた一ノ門

連なる部材が織りなす調べに

沿うように先へと進む

並ぶ提灯の平四つ目の紋は
この地を治めた京極氏ゆかりのもの

築地塀の上の空を覆う緑は

この地に流れる時の長さを示すもの

軒丸瓦に描かれるのは4つの四角

日本建築のモチーフと、この地が刻む歴史に浸り

緑の上に佇む天守への道をたどる

松の並木の背景となる

漆喰塀に刻まれた時の襞

歴史の重みを支える、ひんやりとした石垣

息を切らして、見返り坂を登れば

打ち込みハギの石垣が、ぐんと空へと伸びてゆく

本島で出会った丸亀城の風景は
石垣の視点から描かれたもの

高石垣に描かれる曲線に
表れる当時の石工の技術。瀬戸内海を舞台にした
芸術祭で石をモチーフとした作品と出会う

句碑には、讃岐平野の情景が描かれて

昔と今で、変わらぬ野面積みの石垣と

新たに積み足された石垣
変わりゆくものと動かぬものの間を縫うように

見上げれば、烏が風に舞っている

急な坂道を見返りながら

上へ上へと進むほどに、視界は大きく開けてくる

積み足された石垣は展望台となり

丸亀の街の向こうに広がる瀬戸内海と浮かぶ島々

石垣の下から吹く風を感じ

城郭の周囲をぐるりと見渡す先の

句碑に詠まれた飯の山は、讃岐富士とも呼ばれる山

大手門から坂を上り、三の丸から二の丸へ

ここには日本一とも呼ばれる深さの井戸がある

そして日本で最も高く積まれたとされる

石垣の上に建つ天守へと向かう
朝も早く、しんとした時間が流れる城郭を歩く。
見返り坂を上ると徐々に視界は開けていく。空へ
とそびえる石垣を見上げる。雨に濡れ、風を受け、
静かに時を刻む石。空を舞う烏に風が浮き立つ。
時代は流れ歴史が動く。かつて瀬戸内海の島々の
一部であった石は、切り出されては積み上げられ、
遥かなる時を今も刻み続けている。積層された
時の間に、旅のほんのひとときを重ね合わせて。
