見出し画像

ボドゲ会に参加したら、初期中国王朝の王様の気持ちがわかった話


ボードゲームをきっかけに世界史理解、人間理解の深まったエピソードです!

アハ体験




ボドゲ会に参加したら、初期中国王朝の王様の気持ちがわかった話

COTENさんのボドゲ会

梶間和歌が熱心なコテンラジオリスナーであることは折々話しておりますが、
ある日コテンラジオクルー(サポーター)向けのメルマガにて、都内で開催されるボードゲームイベントのご案内を頂きました。


一般人が人文知に触れ、その意義を体感することのできるボードゲームイベント、「COTEN GAMES Play & Test vol.0」……


うん、よくわかんないけど行く!
イベント名覚えられないけど行く!
コテンラジオリスナーと交流できる場には行く!

ボードゲームについても、それをとおして人文知を普及させるということもよくわからないまま、参加ボタンをぽち。
よくわからないまま当日を迎えたのでした。


あの・・さーしゃさんが!!!

当日は入り口にCOTENのスタッフさんがおられました。
挨拶をし、その名札を見ると……

「さ~しゃ」

という名が! さーしゃさん!!


「さーしゃさんは……日露戦争回で台本作成チームに冷静なツッコミをなさったというあの・・さーしゃさんですね? 」
「そうです~。わあ、そこまで聴いて覚えておられるとは」
「日露戦争回大好きですし、あのエピソードはツボすぎて、さーしゃさん大好きです! 」

コテンラジオ日露戦争回を聴いたことのない読者の皆様を全力で置いてゆく会話。
いやあ、さーしゃさんとお話できるなんてうれしかったな~。

うれしい


コテンラジオ日露戦争回


チーム内でフランス出身のさーしゃさんだけが冷静だったエピソード


ボドゲ会の趣旨と学び

さて、この日のイベントはCOTEN GAMES(COTEN内のプロジェクトチーム)と、長野県のボードゲームリゾート施設GAWさんのコラボ。

“人文知(知識)を経験と掛け合わせ本当に使える知恵に変えるきっかけ”として、その体験部分をボードゲームで提供する、
というような趣旨だったと思います(厳密な言葉は忘れましたが、おそらくこういう意味のことを言っていた)

ふつう、私たちが「ああ、そういうことか……」と深い学びを得る時って、取り返しのつかない失敗など、なにかしら経験したからこそだったりします。
いわゆるアハ体験とかそういうもの。頭のなかの知識が腑に落ちる瞬間の多くはそうだと思う。

その体験部分をゲームでするならば、負けたといっても命は取られないし上司に怒鳴られもしない、恋人に振られもしない、負かしたといっても深く恨まれることはない、コスト低く深い学びが得られるよね、
ということなのだと思います。


今回2つのゲームを用意していただきましたが、2つ目のオークションタイプのゲームが……おもしろかった……そしてアハ体験が2つありました……。
2つ目のゲームはCOTEN GAMESオリジナルだそうです。まだ開発途中なのかな。だからイベント名も「Play & Test vol.0」なのだそうで。


ものすごく簡単にルール説明しますね。しかし説明できる自信はないのでつたないものになります。すみません。

最初に手札が2枚、ランダムに配られ、その手札から戦略を考え、国を大きくするために人材(兵士とか平民とか皇帝とか)をオークションで獲得してゆく。
その「時代」が終わると各国の国力を競うのですが、その時「最も弱い人材の種類」のポイントで競うことになる。
人材は種類ごとにポイントがあり、
例えば皇帝は1人だと強いけど2枚、3枚と増えると弱くなる、兵士や平民は1人だと0ポイントだけど枚数を増やすと数字が増える、
などがある。
あと、オークションに出す数字は、その時代で必ず使い切らなければなりません。「この人材は要らないからパス」も不可。

うん、絶対説明できていない自信があるのですが、こんな感じです。
これを2時代回すことになりました。私のグループでは2時代目の途中で時間切れしてしまいましたが。


これね、
「最初に兵士や平民を2枚引いたらその種類を増やす以外詰む」
「最初に皇帝を引いたら、オークションに皇帝が出た時に買わざるを得なくなるといけないので、競りに出す数字を調整しないといけない。だからといって皇帝より弱くなる人材で競りの数字を高く出し、その人材が国に来ると、皇帝の数字で勝ち切ることができなくなる」
などは戦いながら学習してゆくので(ルール説明でそんなことまで教えてくれない。ルールだけ教えてもらう)、

1時代目は、もともとオークションゲームに慣れている人以外「これでいいの? 」「こうすればいいの? 」と右往左往しながら競りの数字を出すことに……。
手元に平民がいるのに、強い人材を得るのに8とか9とかの数字を出してしまって。
「はっ。3人揃えても0ポイントの平民がいるということは、平民を4人以上獲得するしかなかったのか! 宗教家とか買ってる場合じゃなかったのか!
と気づくころには1時代目が終わっておりました。

その学びを踏まえ、2時代目は考えましたとも。
最初に引いたカードが皇帝と、なんだっけ、宗教家だったかな、とにかくどちらも強い人材だったので、
国力を弱めないため、なるべく余計な買い物をしないという方針で……でも、数字は出さないといけない! どこかで8とか9とかを出して、しかし競りで負けるのでその数字は捨てる、ということをしないといけない!
けっきょく、むずい!!!

論理的思考と行動力と運の掛け合わせ


こうして得た学びがこの2点でした。


桀王と紂王が他人に見えなくなった件

中国の初期王朝、夏と殷の、それぞれ最後の王、桀王と紂王は、いずれも女に溺れて国を滅ぼしたと聞きます。
まあ、王朝や帝国を滅ぼした側としては「あれは滅ぼされて当然の王・皇帝だった」とする必要性から、史実以上に最後の王や皇帝の暗愚ぶり、残虐ぶりを描くことになるので、すべてを史実として受け入れるのも偏った話ですが、
とはいえ「まあ、このムーブは滅ぶよね」という一定の傾向が各王朝・帝国の末期に見えるのも事実で。

初期の王朝の王様たちには歴史の蓄積がない。つまり歴史から学べない。
その権力の意味も、自分のしていることの意味も、「権力者がどう振る舞ったら民衆がどう感じ兵士がどう振る舞い側近がどう裏切るか」のようなホモ・サピエンス共通の傾向も、理解していないし、そもそも知らないのだろう。

「王が女に溺れたらだいたい国は滅びます! え、そんな初歩的なこと知らないとかあるの!?
という初歩的なミスで、連続して国を滅ぼした2王朝。
そうなのだ。あくまで前の時代にそのやり方で国を滅ぼした先例があり、それを知っているからこそ「初歩的な常識」なのであって、彼らにとっては「そんなん知らんかったけど!? 」ということだったのですよね……。

だからその権力のままに女に溺れたり暴政を敷いたりするというのも、わかる……ダメだけど、わかる……今回わかったよ……。
1時代目の私、ゲームルールもわからず、そのゲームルールと手持ちの札から当然導かれる取るべき戦略もわからず、ここで8を出すことがなにを意味するかもわからず、右往左往していたもの。
先例に学べなかった王様たちもきっとそうだったのよ。自分がなにをしているのか、それがなにに繋がる可能性が高いのか、わかっていなかったのよ。


3千年、4千年前の権力者について思いがけず同情、共感することになり、少しだけ優しい気持ちになりました。
また、世の無慈悲さにしみじみすることにもなりました……先例を知らないなんて、どこまで彼らの責任だったのか。しかし知らなければ、または知っていても実践できなければ、無情にも国は滅びてしまうのだ。

世界はその人の事情を汲むことなく淡々と回ってゆく


それに、最初に引いた2枚のカードで取れる戦略がほぼ決まる点は、その国の初期設定が国際社会において取る戦略をほぼ決定してしまうことの理解を深めました。

そりゃ、あの条件下でロシアは拡張し南下するしかないんだよな……。
現行国際ルールではダメだとされていることも、戦略上体に染み付いているから、「自衛のため」と本気で信じながら他国・他地域を侵略する方向に向かうんだよな……。

ダメだし、決して擁護もしていませんが、
理解はできるし、しなければいけないのだと思いました。


今回アハ体験を得た2点とも、知識としては知っていたことです。

「学べる先例が少ないと、ショボいミスで国を滅ぼしてしまう」
「私たちには先例が山ほどあるのだから、夏の桀王や殷の紂王より恵まれた環境にあるのだから、学び、考えなければいけない」
「ロシアの初期設定を考えると、皇帝一極集中体制を取ることも、自衛のため領土拡張や南下をすることも、(だからしてよい、という意味ではないが)仕方ないし、当然」
知っていましたよ。もともと歴史好きですし、コテンラジオには出会ってからもう10周以上お世話になっていますもの。

しかし、しかし……
「こういうことかああああああああああ」
という身をもっての学びは、大きいね……うん……。

理解


COTENさんの意図した、ゲームをとおして人文知を知恵に落とし込むというイベント目的に、私の体験と学びはいくらか沿っていたでしょうか。
間違いなく視野は広がりましたし、少しだけ、歴史上の人物を含む他者への優しさが獲得できたような気がします。

大変興味深い機会をありがとうございました。
今回得た答えのない問いを引き続き問い続けてゆこうと思います。


おまけ

最後までコテンラジオヘビーリスナー以外を置いてゆくスタイル。



PS.COTENさん関連の他の記事


和歌物語に参加する

和歌にフルベットして生きる梶間和歌がつつがなく和歌創作、勉強、発信を続けるため、余裕のあります方にお気持ちを分けていただけますと、
私はもちろん喜びますし、それは日本や世界の未来のためにも喜ばしいことであろうと確信しております。

「この無茶苦茶な生き方を見ていると勇気がもらえる」
「こういうまっすぐな人が健康に安全に生きられる未来って、希望がある」
「この人を応援することで、人文知の明るい未来が実現しそう」
なんて思ってくださいます方で、余裕のあります方に、ぜひともご支援をお願いしたく存じます。


noteでのチップ、メンバーシップ、その他様々な形で読者の皆様にご支援いただき、こんにちの梶間和歌があります。ありがとうございます。

特に2023年、令和5年隠岐後鳥羽院和歌大賞で古事記編纂1300年記念大賞を受賞し、表彰式を含む大会のツアーに申し込んだため、ツアー代金(9万円弱)と交通費を生活費と別に工面することになりました。
皆様のご支援のおかげでそちらのツアーに無事参加。
また翌年、城南宮・鳥羽殿賞を頂きまして、こちらの表彰式ツアーにも参りました。

すべて皆様の金銭的なご支援があってこそ叶ったことです。あらためて、心より感謝申し上げます。もちろん、お気持ちでの応援も大変うれしく思っております。
こうした応援のひとつひとつが私の器を広げ、より良い和歌仕事を世界にお返しすることにつながっております。

令和5年、6年分ともに、ツアーの様子はこのマガジンに連載しております。更新をどうぞお楽しみに。


今後とも、それぞれの領分において世界を美しくしてゆく営みを、楽しんで参りましょう。


この記事を書いた人

photo by ミカアンドロイド

フォローはこちらから


いいなと思ったら応援しよう!

梶間和歌(令和の京極派) 応援ありがとうございます。頂いたサポートは、書籍代等、より充実した創作や勉強のために使わせていただきます!

この記事が参加している募集