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実力を高めるには質の高い経験値を高めるしかない「継続は力なり」 #44

何かの実力を高めたいのであれば、今の自分の限界を上回る負荷を、自分に掛け続ける必要があります。

それは、思うようにいかない日々が続き、身体的にも精神的にも厳しいことであると思います。
しかし、実力を高める過程において、失敗そのものは必ずしも悪いものではありません。
むしろ、質の高い失敗を積み重ねることこそ、成長につながる場合があります。

問題は、失敗したことではありません。
失敗から何も学ばず、同じことを繰り返してしまうことです。
そして、失敗を繰り返すうちに、諦めてしまうことです。

■ 「1万時間の法則」とは

「1万時間の法則」という考えがあります。
これは心理学者アンダース・エリクソン氏らが1993年に発表した、熟達したパフォーマンスに関する研究が元になっています。

研究では、ドイツ・ベルリンの音楽アカデミーに在籍する30人のバイオリン学生を対象に、練習量と技能レベルとの関係などが調べられました。(Eric⁠)

学生たちは、技能レベルによっていくつかのグループに分けられました。

興味深いことに、年齢やバイオリンを始めた時期などだけでは、大きな違いを説明できませんでした。
一方で、これまでにどれだけ練習を積み重ねてきたのかという点には、技能レベルとの関連が見られました。
この研究をもとに、その後広く知られるようになったのが「1万時間の法則」です。

ただし、ここには重要な注意点があります。

エリクソン氏の研究は、「1万時間練習すれば誰でも一流になれる」という単純な法則を証明したものではありません。
「1万時間」という数字が独り歩きしてしまったのです。

実際にエリクソン氏らが研究で重視していたのは、単純な練習時間の長さだけではありませんでした。

■重要なのは、時間ではなく質

エリクソン氏らの研究で重要な概念が、デリバレイト・プラクティス(Deliberate Practice)です。
日本語では「意図的練習」などと訳されます。

これは、ただ漫然と同じことを繰り返すような時間を費やすだけの練習ではありません。
自分の現在の能力を把握し、
「どこが足りないのか」
「何を改善すればいいのか」
「そのためには、どのような練習をすればいいのか」
などを考えたうえで、明確な目的を持って取り組むことにあります。
そして、現在の能力を少し上回る課題に挑戦し、フィードバックを受けながら修正していくことが重要となります。

つまり、「できること」を繰り返すのではなく、「今はまだ十分にできないこと」に意識的に取り組む質の高い練習である必要性です。
そこに成長の余地があるという考え方です。

■ 「継続は力なり」を勘違いしてはいけない

「継続は力なり」という言葉があります。
確かに、何かを身につけるためには継続が必要です。

しかし、「続けさえすればいい」という意味ではありません。
同じことを何となく繰り返しているだけでは、必ずしも実力が高まるとは限らない。

たとえば、毎日10年間、同じ方法で練習していたとしても、その方法自体に問題があれば、問題を抱えたままの10年間になってしまいます。

だからこそ、
「今日は何ができなかったのか」
「なぜできなかったのか」
「次は何を変えるべきなのか」
を考える必要があります。

価値のある継続とは、時間を積み上げることだけではありません。
考え、試し、失敗し、修正し、また挑戦する。
「継続は力なり」とは、その繰り返しなのだと認識しなければなりません。

■「千日の稽古をもって鍛となし、万日の稽古をもって錬となす」

剣豪・宮本武蔵の言葉として知られているものに、次の一節があります。

千日の稽古をもって鍛となし
万日の稽古をもって錬となす


一説には『五輪書』の「鍛錬」という考え方につながる言葉として知られています。

ここでいう「鍛」と「錬」とは何かです。

一つの解釈としては、まず日々の稽古によって技を鍛え、その先に、長い年月をかけて技を自分自身のものとして練り上げていく。
つまり、技術というものは、一朝一夕に完成するものではないということです。

今日の練習が、明日すぐに成果として現れるとは限りません。
昨日より上手くなった実感すら持てない日もあるかもしれません。
それでも、成長するためには、一日一日の稽古を積み重ねていく必要があります。

そうして過去を振り返ったとき、初めて「これだけのものを積み重ねてきたのか」と気づくのかもしれません。

宮本武蔵

■ 努力とは「いつ花開くか」が分からない

努力を続けることで、思惑通りの結果が得られる保証はありません。
それは、出口の見えないトンネルを歩いているように感じることもあるかもしれません。
そんな疑問や不安を抱えながら、それでも続けなければならない時期があります。

そして、努力が実を結ぶタイミングは、自分では選べません。
それは、5年後かもしれない。
10年後かもしれない。
あるいは、思いもよらない明日かもしれない。
そして、一生、来ないかもしれないのです。

だからこそ、私たちにできるのは、いつ花開くのか分からない種を、それでも今日、植え続けることなのかもしれません。

■ 休むことも、継続の一部

ただし、ここで「何があっても絶対に休んではいけない」と考える必要もないと思います。
むしろ、伸び悩んでいるのであれば、一度立ち止まることも大切です。
休むことで、今まで見えていなかったものが見えることがあります。

「やり方そのものを変えたほうがいいのかもしれない。」
「目標設定が間違っていたのかもしれない。」
「そもそも、自分が目指していた目標そのものを見直したほうがいいのかもしれない。」

一度止まることは、必ずしも諦めることではありません。
前に進むために、立ち止まる。
それもまた、継続の一つの形なのだと思います。

■諦めないことと、目標を変えないことは違う

実力を高めたいのであれば、簡単に諦めないことは大切です。
しかし、「諦めないことが、最初に決めた目標を絶対に変えてはいけない」ということでもありません。

努力を続ける中で、自分の価値観が変わることもあります。
新しい可能性に気づくこともあります。

最初に思い描いていたものとは違う道のほうが、自分にとって本当に価値のあるものだったと気づくこともあるかもしれません。

それを「妥協」と呼ぶ人もいるかもしれません。
しかし、最終的に何を価値あるものと判断するのかは、自分自身です。
大切なのは、誰かに決められた成功ではなく、自分にとって何を成し遂げたいのかです。
そこを見失わないことなのではないかと思います。

■それでも、何かを得たいなら続けるしかない

結局のところ、望ましい結果を実現させたいと思うのであれば、ある程度の時間と努力を積み重ねることから逃れることはできません。
ただし、それは「とにかく1万時間やればいい」という話ではありません。

大切なのは、自分の現在地を知ることです。
現状のままで、予測される結果を認識することです。
そうすることで、自分に不足する要素が可視化されます。
もちろん、望ましい結果を得るには、この不足要望の全てを解消する必要があります。

しかし、まずは、無理せずに少しだけ高いところに目標を置くことです。
そして、その目標に取り組み、失敗から学び、やり方を修正し、それを繰り返すことです。

その積み重ねの先に、いつか自分でも予想していなかった場所へ到達できる可能性があります。

継続は力なり

この言葉の本当の意味は、ただ同じことを続けることではなく、考えながら、挑戦しながら、修正しながら、それでも歩みを止めないことなのだと思います。

その一歩が、いつか大きなブレイクスルーにつながるかもしれないのです。






何事も実力を高めたいのであれば、現状の実力の限界を上回る、質の高い、何らかの負荷を掛ける必要があります。

当然ながら、簡単に上手く行かず、失敗を繰り返すことになろうかと思います。
しかし、この失敗の繰り返しで挫折してしまえば、当然ながら、実力を高めることは出来ません。
逆に失敗であっても質の高い失敗の積み重ねであれば、実力を高められる可能性はあるはずです。

心理学者のアンダース・エリクソン氏が1990年代に実施した研究から導き出した「1万時間の法則」があります。
それは、バイオリンを学ぶ学生を3つのグループに分けて経験値と実力値の関係の検証から始まります。

(1)プロになるのは厳しく、学校の音楽教師を目指すレベルの学生のグループ
(2) プロになれる程度に優れている学生のグループ
(3) 世界的なソリスト(独奏者)になる可能性を持つ学生のグループ


まず、どのグループの学生も、若年からバイオリンを始めたケースがほとんどであったため、スタート時期と経験年数(10年以上)は大きな差はありませんでした。
逆を言えば、スタート時期が遅いと、このアカデミーに入学する(土俵に上がる)ことすら難しいのかもしれません。

結果的に、グループを比較した場合の違いは、それまでの練習の累計時間でした。

(1) グループ 平均 4千時間
(2) グループ 平均 8千時間
(3) グループ 平均 1万時間


この結果から導かれたのが、「優れた技量を身につけるには、累計1万時間以上の練習が必要」と言う「1万時間の法則」です。

また、エリクソン氏は、デリバレイト・プラクティス(Deliberate Practice)についても訴求しています。
これは、実力を高めるには、理論・論拠を具体化させて、それに基づいた能力の限界を少し上回る負荷を掛け続けることを意味しています。

とにかく、“継続は力なり”を勘違いして、受動的だったり、漠然とダラダラと続けても意味がないと言うことです。
価値のある継続とは、理論・論拠を能動的に考えて行動することなのだと言うことです。

勿論、これは、エリクソン氏の研究と言う限定された検証の中から導かれた結果であることを理解しなければなりません。

「千日の稽古をもって 鍛となし
   万日の稽古をもって 錬となす」


これは、剣豪 宮本武蔵の言葉とされています。
その意味ですが、千日の稽古で基本の技を鍛え上げ、万日の稽古でその技をより高みに錬りあげる。
転じて、一つの技を完全に自分のものにするには、ひたすら毎日、質の高い稽古を繰り返して励むしか道はないということです。

もちろん、現実は、努力を継続したところで、思惑通りの結果を得られる保証はありません。
それだけに、継続することは、出口の見えないトンネルの如く、孤独で辛いものかもしれません。
しかし、何処まで耐え抜くかです。
その努力が開花するブレイクスルーポイントは、5年後かもしれませんし、もしかしたら、明日なのかもしれません。

また、伸び悩むような状況なのであれば、一旦、休むことも選択肢の一つだと思います。
休むことで、活路が見出せることもあります。
更に、実力を高めるためには、諦めることは許されません。
しかし、望ましい姿を見直すことも選択肢の一つかもしれません。
それを妥協と受け取る考えもありますが、要は自分自身の価値判断なのかと思います。

それでも、何かを得たいのであれば、継続しなければならないのも現実です。
そこは、“継続は力なり”を信じるしかありません。

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