「期限」を制する人が、仕事の質を制する #231
■ 仕事の質は「締切との向き合い方」で決まる
「来週まででいいですよ」
そう言われた仕事、気づけば前日の夜に手をつけていませんか。
思考を整理するフレームワークに「5W1H」があります。
その中でも、結果を大きく左右するのが——
「When(いつ)」です。
なぜなら、「いつ」は単なる日時ではなく、“約束”そのものだからです。
どんなに素晴らしい価値であったとしても、
期限に遅れたら、なんの価値にもなりません。
期限を守れる人は、締切から逆算して動く。
守れない人は、今から順に考える。
この違いだけで、成果は大きく変わります。
■ なぜ先送りが起きるのか
期限遅れが常態化している人には、共通点があります。
それは——
優先順位を決められないこと。
やるべきことは山積み。
しかし何から手をつけるべきか分からない。
結果、目の前の仕事から場当たり的に処理していく。
そして、本当に重要な仕事ほど後回しになる。
「忙しくてできなかった」
その言葉が、いつしか当たり前になる。
場合によっては——
「こんな仕事を振るほうが悪い」とさえ思い始めます。
■ 仕事は「ナマ物」である
私はよく、仕事を「ナマ物」だと表現します。
どんな仕事にも“正味期限”があります。
それを過ぎれば価値は落ち、やがて腐ってしまう。
にもかかわらず、多くの人は
「まだ時間がある」と思い、手をつけない。
しかし実際には——
時間が経つほど、やる気も記憶も劣化していきます。
心理学者の ヘルマン・エビングハウス によると、
• 20分後:42%忘れる
• 1時間後:56%忘れる
• 1日後:74%忘れる
つまり、「後でやる」は
“質を下げる前提”で仕事をしているのと同じです。
■ 期限を「半分」に捉える
そもそも期限まで余裕があると捉えてしまう思考に問題があるのだと思います。
そこで有効なのが「倍速管理」です。
やることはシンプルです。
期限を自分の中で半分に設定するのです。
これだけで、思考は変わります。
例えば、期限まで、8日間あるとします。
その場合、自分の期限は4日目となります。
仮に、4日目で間に合わなければ、残りの4日の期限を半分である6日に設定します。
もし、また、間に合わないなら、半分の7日目となります。
それでも、間に合わないなら、半分の8日目の午前中となります。
これを続けることで、理屈上は、絶対に達成します。
「まだある」から「もうない」へ。
行動のスピードが一気に上がります。

■ 優先順位を見える化する
さらに有効なのが、
7つの習慣 の「時間管理マトリックス」です。

• 第1領域:緊急で重要
• 第2領域:緊急ではないが重要
• 第3領域:緊急だが重要ではない
• 第4領域:緊急でも重要でもない
まず削るべきは第4領域。
次に第3領域は効率化する。
そして重要なのが——第2領域。
緊急ではないが、将来に大きな影響を与える仕事です。
ここに手をつけられるかどうかで、成果は違ってくるはずです。
勘違いする人の中には、手をつけることを完了させることと捉えてしまうことです。
完了できずとも手をつけるだけでも、物事の価値や納期を見積もることができます。
何もしないで放置するよりも充分に価値があると思います。
■ 意識を変えるキッカケ
仕事ができる人は、特別な才能があるわけではありません。
ただ一つ——
「いつやるか」を明確にしているだけだと思います。
そしてそれは、
「何に時間を使うか」を決めることでもあります。
かつて、部下に常習的に期限を守れない営業スタッフがいました。
行動的で優秀だったのですが、売上は不安定でした。
私は、その一因が、期限を守れないところにあるのではないかと見ていました。
案件があると「やります」と積極的に関わってくれます。
しかし、引き受けながらも、なかなか手がつかない。
気づけば仕事は山積みの状態となります。
しかし、「仕事はナマ物」という考え方を取り入れてから、行動が変わりました。
もし今、先送りの癖に悩んでいるなら、
頭ごなしに数字的な期限を押し付けるのではなく、
意識を置き換えて捉える実用性のある方法を取り入れてみてはどうかと思います。
期限を守れるようになると、周囲からの信頼感は高まり、それだけで、仕事の質は確実に変わるはずです。
