成果を出す人は、選択できる人である #91
忙しいが口癖で、それでいて成果がなかなか出ずに嘆く毎日になっていないかです。
多くの仕事をこなし、予定も埋まっている。
しかし、振り返ってみると、
「本当に重要だったことは進んでいない」
そんな経験をしたことがある人も少なくありません。
なぜ、このようなことが起こるのかです。
それは、時間が足りないからではありません。
限られた時間の中で、何に時間を使うべきかを選択できていないからです。
何か成果を得るためには、必ず期限があります。
その期限までに成果を出すために必要なのは、ただ努力することではありません。
まず、何を成し遂げるべきなのかを明確にすること。
そして、そのために必要な行動と、不要な行動を見極めること。
これが成果を生み出すための第一歩であるはずです。
■ 大きな石を最初に入れる―人生の優先順位
人生を一つの瓶に例えた、有名な話があります。
「Rocks, Pebbles and Sand Story」というエピソードです。
瓶の中に、
* 大きな石(ゴルフボール)
* 小石
* 砂
を入れていきます。
ここで、大きな石は人生において最も大切なものを表しています。
例えば、家族、友人、健康、自分自身の価値観などです。
小石は、ある程度重要なものです。
例えば、仕事、趣味、財産などです。
そして砂は、それ以外の日常の細かなことを表します。
もし、最初に砂を瓶いっぱいに入れてしまったらどうなるのかです―
後から大きな石や小石を入れることはできません。
これは人生でも同じです。
目の前の細かな用事や、重要度の低いことに時間を使いすぎると、本当に大切なものに使う時間がなくなってしまいます。
だからこそ、最初に入れるべきものは砂ではありません。
人生における大きな石を、先に決めることが必要なのです。

■ 斧を研ぐ時間を惜しまない――努力を成果につなげる準備
次に、「木こりのジレンマ」という有名な話があります。
ある木こりがいました。
彼は、一刻も早く、一本でも多くの木を切ろうとしていました。
しかし、その木こりの斧は刃が欠けています。
そこへ旅人が通りかかり、こう言いました。
「少し休んで、斧を研いではどうですか」
しかし木こりは答えます。
「そんな時間があるなら、一本でも多く木を切りたい」
果たして、木を切り続けることが正しいのでしょうか。
それとも、一度立ち止まって斧を研ぐことが正しいのでしょうか。
短期的には、斧を研ぐ時間は失われます。
しかし、長期的には、切れ味の悪い斧で努力を続けるより、道具を整えることで大きな成果につながります。
人生や仕事でも同じです。
忙しさを理由に、学ぶ時間を削る、健康管理を後回しにする、振り返る時間を持たないなど、という状態を続ければ、努力しているのに成果につながらなくなります。
成果を出す人は、ただ動き続ける人ではありません。
必要な時に立ち止まり、自分自身や環境を整える人です。

■ 魚を与えるか、釣り方を教えるか
中国の思想家・老子の言葉とされる、
「魚の釣れない私に、魚をくれるか、釣り方を教えるか」
があります。
意味は、「人に魚を与えるより、魚の釣り方を教える方が良い」というものです。
魚を与えれば、一時的に空腹は満たされます。
しかし、食べ終われば、また魚を求めなければなりません。
一方、釣り方を身につければ、その後、自分自身で魚を得ることができます。
長期的な視点では、釣り方を教えることが価値になります。
しかし、ここで大切なのは、
「いつでも釣り方を教えることが正解なのか」ということです。
もし、その人が今まさに飢えていて、生きるか死ぬかの状況だったら話は別のはずです。
その時に必要なのは、将来の自立ではなく、まず目の前の命を救うことかもしれません。
つまり重要なのは、決まった答えを当てはめることではありません。
その状況において、本当に必要な選択は何かを見極めることです。
■ 緊急なことに追われ、本当に重要なことを失っていないか
自己啓発書として知られる『7つの習慣』には、「時間管理のマトリクス」という考え方があります。
物事を「緊急度」と「重要度」の2つの軸で分類したものです。
⚫︎ 第1領域:緊急かつ重要
すぐに対応しなければならない重要事項。
例:トラブル対応、締切直前の重要な仕事など
⚫︎ 第2領域:緊急ではないが重要
将来の成果につながる活動。
例:学習、健康管理、人脈づくり、計画や準備など
⚫︎ 第3領域:緊急だが重要ではない
急ぎに見えるものの、本質的な価値が低い活動。
例:不要な会議、過剰な確認作業、目的のない対応など
⚫︎ 第4領域:緊急でも重要でもない
単なる時間消費。
ここで最も注目すべきなのは、第2領域です。
多くの人は、第3領域に時間を奪われています。
「急ぎだから」
「頼まれたから」
「昔から続いているから」
しかし、緊急であることと、重要であることは同じではありません。
大きな成果は、目の前の対応だけから生まれるのではありません。
緊急ではないけれど、未来につながる重要なことに時間を使った結果として生まれます。

■ 「忙しい」を減らすために、やらないことを決める
「忙しい」という言葉を口にすることは誰にでもあります。
しかし、常に忙しさに追われている状態は、本当に仕事量だけが原因なのでしょうか。
時には、「やるべきことを増やし続け、やらないことを決められていないこと」が原因かもしれません。
成果を出すために必要なのは、すべての仕事を抱えることではありません。
何をするかを決めること。
そして同時に、「何をしないかを決める」ことです。
仕事の判断基準はシンプルです。
* 緊急かつ重要なら、すぐ対応する
* 重要なら、先に時間を確保する
* 重要でないなら、やめることを検討する
特に見直すべきなのは、「昔からやっている」、「誰かが必要と言った」、「やめるのが怖い」などという理由だけで続いている仕事です。
その仕事は、本当に今も必要なものなのかを良く考えてみる。
新しい成果を生むためには、新しいことを始める前に、不要なものを手放す覚悟が必要です。

■ 成果を生む人は、選択する人である
人生とは、選択の連続です。
私たちは毎日、何をするか、何をしないかを選びながら生きています。
しかし、忙しい日々の中では、目の前の緊急事項に追われ、本当に大切なことを後回しにしてしまうことがあります。
「忙しいから」
「時間がないから」
「今やらなければならないから」
そうしているうちに、自分が本当に成し遂げたいことから遠ざかってしまうこともあります。
人の時間や能力には限界があります。
すべてを同時に選ぶことはできません。
だからこそ大切なのは、何を選ぶかだけではなく、何を捨てるかです。
日々、自分自身に問いかける必要があります。
「今、本当に成すべきことは何か」
「この行動は未来の成果につながっているか」
「やめるべきことは何か」
答えが見えたら、優先順位を決め、選んだことに集中する。
あとは行動して、最後までやり切るだけです。
成果を出す人とは、誰よりも多く働く人ではありません。
本当に価値のあることを見極め、限られた時間と力を集中できる人です。
何を始めるのか。
何をやめるのか。
何を優先するのか。
その選択の積み重ねが、未来の成果をつくります。
