超短編 ① コニシ木の子王子のある一日🛸

王子は多忙を極めていた。
日本(横浜、渋谷)での催しが続いていた王子、更に今週は月に一度の大仕事を抱えていた。それは王子の使命ともいえる、人生を賭けた毎月のルーティン・ワークであった。
己の使命を気にかけつつ、王子は城の舞踏会に集った令嬢たちを、黒縁眼鏡の奥から眺めていた。
皆、かなりタイプの女性ばかりだ。
「おや? あそこに見覚えのある美しい令嬢が」

王子が近づくと、その令嬢は優美にお辞儀をした。
「Viola家のSophiaと申します」
「おお、Sophia嬢 ! あなたのお写真は2つの記事で拝見したことがあります」
「‥‥記事? ‥‥そうでしたの?」
「私は今週は大変忙しく、実は舞踏会どころではないのですが、踊っていただけますか?」
「どうしてそんなにお忙しいのでしょう?」
「記事を回収する使命があるのです」
「『回収』‥‥? ‥‥なんのはなしですか?」
「それです。まさしくそれを集めて回っているのです🛸
あなたのお写真は先月の回収の折に拝見しました」
「‥‥よくわかりませんが、お忙し過ぎて目から血が出るといけませんわ。少しお休みになったら?」
「‥‥そうですね。『アローンシアター』主宰、女優でもおありの、谷 英美姫からもそう言われたことがあります」
二人は手に手を取って踊り始めた。
王子は踊りながらも、未回収の記事が気に掛かっていた。

『こうしている間にも、フジ笑八コ(ぱちこ⭐︎)姫がかつてのように40記事くらい投稿しているかもしれぬ‥‥あれは夢のようであった‥‥
全部読んで感想を書く為にも、私は踊っている場合ではないのだ。
‥‥しかしSophia嬢はかなりタイプだ、フフフ。
そうだ ! 今回の回収は、岡埜 由木古姫に丸投げしてしまおう !
全ての感想をお洒落に書いてくれるに違いない ♪
‥‥‥いやいやいや、回収は私の使命なのだ‥‥』

「王子様、少しバルコニーでお話ししませんこと?」
「そうですね。何か甘い物でもお持ちしましょう」
「まあ、どんなお菓子かしら?」
「日本から持ち帰ったものがお気に召すかと」
「まあ ♪ 素敵」

「Geminiの戯れでございましょう? ほほほほほ」
「これはViola皇太后の大好物ですのよ」
「いつもウィーンの日本食材店から持ち帰られるそうですね」
「まぁ ! よくご存知ですのね」
「回収していますのでね、フフフ」
「ですから、『回収』ってなんのはなしですか?」
「月曜になるとわかりますよ、フフフ ♪
ハッシュタグを忘れないように。それだけです」
「私には分かりませんわ‥‥
分からないことを分かっていないと、分からないことは分かりません」
「わからないことをわかっていないと、わからないことはわかりません」
「Sophia嬢、一体それはなんのはなしですか?」
王子は、回収のこともしばし忘れ、春の風の中、かなりタイプなSophia嬢と共に、団子🍡を楽しんだ午後であった。
めでたしめでたし
—完—
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