【大阪・船場カリー】ほぼ!完全再現レシピ⑥
大阪にはユニークで美味しいカレー専門店がひしめき合っていますが、中でも見た目のインパクトが強烈な「船場カリー」をご存知でしょうか??
2026年4月現在、大阪市内と吹田市に複数の店舗を展開されており、その特長は烏賊墨を使った真っ黒なカレールー。看板メニューである「牛すじネギカリー 元祖・名物」は、その真っ黒な見た目はもとより、牛すじの旨味・烏賊墨のコク・長ネギの爽快感が見事に調和した唯一無二の味で、じんわりとしたスパイスの刺激と相まって魅惑的なカレーに仕上がっています。

ここでは、そんな「船場カリー」の「牛すじネギカリー」を、ほぼ完全に再現しようとする試みを載せています。
もちろん、お店で使われている材料や調理手順を完全に解き明かしたものではありません。慎重な考察と試行錯誤に基づいているつもりですが、お店では使っていない材料を使ってるかもしれないし、その逆もあり得ます。味と見た目の完全再現を目指していますが、プロセスを含めた完全一致ではなく、「ぱっと見て食べてみても、お店のお皿と見分けがつかない」状態を目指します。
船場カリーってどんなお店?

私が船場カリーを初めて訪れたのがいつで、どこの店舗だったのかは、はっきり覚えていません。
記録に残している中で一番古いのは約12年前、中津のお店でした(残念ながら現在は閉店)。
おそらく20年以上前からいろんな店舗を訪れていますが、ルー自体はどのお店でもほぼ変わらないクオリティのものが食べられるのが嬉しいですね。トッピングやサービスメニュー、辛さ調整など店舗によって独自の特色があるのも楽しいです。

が!結局、私は船場カリーに行くと「牛すじネギカリー」を頼んでしまうんですよねー。冒険心の乏しい、長いものに巻かれる人間です。
吉野家では牛丼しか食べないし、天一ではこってりしか食べません。ポテトチップスはうすしおだし、からあげクンはレギュラーです。松屋ではカレーですけど。
まずは公式情報をチェック
では、船場カリーの「牛すじネギカリー」再現の方針を考えていきます。
なにはともあれ公式情報を漁ります。ありがたいことに、公式サイトのトップページにいろいろと書いてくれていますので、まずはここから情報を取り入れていきたいと思います。

まず、「ルーの製法は秘密ですが、主なスパイスのターメリック、ガラムマサラ、ナツメグ、ジンジャーなどに烏賊墨を加えています。」と書かれています。
肉については、「オーストラリア産食用専用牛の、もも肉とばら肉のブレンドです。世界で最も大気汚染の少ない牧草地帯はオーストラリアだと考えられ、創業以来Aussieビーフを採用しています」とあります。こだわりがすごい。
レトルト商品の原材料名
公式サイト以外の情報源として、船場カリーのレトルト商品が存在します。
いくつかの販売サイトにパッケージの写真が載っているので、「原材料名」を大いに参考にしました。
ただし、載ってるのを全部使うと大変な手間とコストがかかってしまうので、試してみて味にほとんど影響を与えなかった枝葉の部分は普通に端折ってます。順番に詳しく見ていきましょう。

野菜(たまねぎ・にんじん)
原材料のトップは野菜。特にカレーの基本である玉ねぎがたっぷり使われてると思われます。ベースは欧風のビーフカレーだと思うので、大量の玉ねぎをじっくりと時間をかけて炒めてメラノイジンを生成させているのでしょう。しかし、これにはかなりの時間がかかるので、毎回イチから作るのは大変です。
そこで、いつもの香取薫先生の「炒め玉ねぎ」を、標準のレシピよりも少し濃いめに色づけて使うことにしました。

にんじんは、味のバランスを考えても、玉ねぎに比べてそこまでの分量は入ってないはずですので、味見をしながら試行錯誤し、どれくらいの量が適当かを調べました。
ちなみにこれらの野菜は、実際に食べるときには跡形もなくどろどろになってるんですよね。お店ではセントラルキッチンで大量に仕込んでいるため、玉ねぎもにんじんも煮込まれる過程でその自重で押しつぶされているのだと思われます。
ただ、自宅でおひとりさま分だけを作ると、どれだけ長時間煮込んでも野菜の面影が残ってしまいます。このあたりの解消方法は、後ほど詳しくご案内します。
牛すじ肉
野菜の次に含有量が多いのが牛すじ肉です。その次の次に多い「牛肉」はおそらくレトルトでは難しい肉肉しさをブーストするために使われてるだけだと思いますので、今回の「牛すじネギカリー」の再現では、純粋に牛すじだけを使いたいと思います。
公式サイトの記載に従い、オーストラリア産の牛すじを近所で探し回ったところ、ハナマサに置いてたので試してみましたが、残念ながらお店より若干味が落ちてしまいました。

品質の高いAussieビーフを求めていろんなスーパーや精肉店を駆けずり回ってみるか悩みましたが、ここは目を瞑って、和牛のすじ肉を使うことにしました。絶対こっちのほうが甘みがあって美味しい。船場カリーも店舗によってはAussieじゃなくて和牛のところもあるんじゃないかな?
ともあれ、私のレシピでは、プロセスの厳密な再現ではなく、最終的な味と化学的成分、食後の満足度の一致だけを重視します。あしからず。

さて、牛すじ肉はご存知の通り、しっかりと煮込んでやらないと固くて食べられませんが、圧力鍋で煮込むと崩れすぎてしまうので(どて煮などではこの方が味がしゅんで好みですが)、時間はかかりますが普通の鍋でじっくり煮てやるのがおすすめです。牛すじスープもその方が透き通って爽やかな風味になる気がします。たぶん。
手順は後ほど詳しくご紹介します。
小麦粉・カレー粉
牛すじ肉の次に多いのが小麦粉とカレー粉です。
小麦粉も欧風ビーフカレーでは必須の材料ですね。インドネイティブのカレーレシピで小麦粉を使うものはほとんどありませんが、インド料理の造詣が凄まじく深い渡辺玲先生の著書に、小麦粉を使ったビーフカレーのレシピがありますので、大いに参考にしました。

カレー粉は、うちではインデラ・カレーを使っていますが、無塩のものであれば何でも大丈夫です。神戸スパイスの無塩カレー粉もおいしくておすすめです。
それに加えて、公式サイトで書かれているターメリック・ガラムマサラ・ナツメグ・ジンジャーを追い使いして配合を試行錯誤しました。行き着いた具体的な分量は後ほどご説明します。

その他の各種調味料
続いて多く含まれているのが、マンゴチャツネです。これは原材料名の後ろに出てくる砂糖や酸味料の役割も一緒に担わせることを想定して分量を決めています。あくまで趣味の世界ですから、できるだけ手間と材料を節約します。

ウスターソースは、カゴメとイカリでは使われている野菜・果実の種類が倍ほど違うので、うちではイカリソースを使っています。

ケチャップは普通にカゴメです。デルモンテやハインツも町中華オムライスなどに使うと上品な味になって美味しいのですが、カレーに入れるんなら、よりトマトが濃いカゴメ一択ですね。
ちなみに北極星のオムライスを再現するときは、公式推奨の「ナガノトマト」のケチャップを使ってます。

これ以下の調味料は、烏賊墨を除き、分量的にも成分的にもレトルト開発に伴う微調整のために使われてるものと思われるので、割愛して問題ないかなーと。ミルポワなんかも作って加えてみましたが、野菜の成分はすでに十分足されてるし、味も判別できるほどの違いはなかったです。再現に影響なければ、引けるものは引きます。
烏賊墨
最後が、肝心の烏賊墨です。
烏賊墨って、ほんのちょびっとでもびっくりするくらい真っ黒になるので、レトルトの原材料でも登場順位は割と下(含有量が少ないという意味)ですが、船場カリーを船場カリーたらしめてるのがこのわずかな量の烏賊墨ですね。うちではパスタ用にKALDIに置いてるモンテベッロのペーストを常備してるので、それを使っています。

店舗によっては、真っ黒ではなく、ほんの少し緑がかった(限りなく黒に近いサグカレーのような)ルーもあり、同じ店でも日によって微妙に違ってたりします。
個人的に好きでよく通ってるのは、ほんの少しだけルーの色が淡くて粘度が柔らかい(気がする)大阪天満宮店なんですが、今回のレシピでは、デファクトスタンダードである本店の重厚で漆黒なルーを再現しています。

実際の調理手順
上に書いた大阪天満宮店は、調理風景を眼の前で見れるのもありがたいポイントです。今回の再現にあたり、マスターの一挙手一投足を改めてまじまじと観察させていただきましたが、素晴らしい手際ですね。

まず、一人分のルーを寸胴からフライパンに移し、強火にかけ、冷蔵庫から取り出した下茹で済みの牛すじ肉を放り込んでいます。
そこに、ペットボトル?ドレッシングボトル?ぽい容器に入った水をピューッと回しかけて、一旦軽くシャバくしてからぐつぐつ煮詰め、熱々の状態で手早くライスにかけ、最後にネギを乗せていました。
本店ではキッチンが奥まっているので少し見えづらかったですが、ほぼ同様のオペレーションだと思われます。

今回の再現レシピではアルミの手鍋で一人分だけを仕込んでいるので、フライパンに移す工程は割愛し、他はお店の手順に従って仕上げています。洗い物も少なくて済むし。
お皿も再現!
さて、再現レシピって、味や香りはもちろんですが、見た目も同じくらい大事だと思ってます。
ルーの色や質感、米とカレーのバランス、全体的なボリューム感、副菜やトッピングの配置、提供時の湯気。さらに、カレーを盛る「器」も、できる限り本物に近づけたい。
今回も、本店でお皿の横幅・縦幅・高さ、ロゴのサイズ・位置をしっかり測り、Amazonで同じ形状の皿を探し、デリーと同じようにオーブンプリントシートでロゴを焼き付けました。

いよいよ、ほぼ!完全再現
で、実際に家で作ってみたのがこちら。

トッピングなしの純粋な「牛すじネギカリー 元祖・名物」。とろとろの牛すじの甘みを存分に感じながら、徐々に辛さが舌に溜まっていく感覚。シャキシャキのネギで口内をリセットしながら、烏賊墨の旨味とコクがたっぷりのルーをかきこみ、気付けば一気に完食。得も言われぬ満足感に包まれる、、、味はもちろん、見た目も湯気もほぼ完全に再現出来ていると自負しています。
私自身20年以上前から通い続ける、根強いファンの多い大阪カレーチェーンの名店。カレー作りが趣味の方であれば、ここまでの内容を参考に少し試行錯誤してもらえれば、同じように作れるように書いたつもりです。
が、今すぐ正解にたどり着きたい方に向けて、ここから先は、材料・分量・手順などを細かくご紹介します。調理工程を詳しく説明する動画の完全版もご覧いただけます。
おひとりさま分の「牛すじネギカリー」を作るために考え抜いた結果です。ぜひお試しください。
興味のある方は、こちらのダイジェスト版動画をご覧ください。
※ちなみに、大阪「インデアンカレー」、大阪・北浜「カシミール」、大阪・難波「自由軒」、東京・上野「デリー」、大阪「肥後橋南蛮亭」の再現レシピも投稿しています。もしご興味があれば、こちらからどうぞ。
注)以下の再現レシピで使用している「炒め玉ねぎ」は、香取薫先生の「本格カレーとビリヤニ 最速レシピ」に掲載されているものを、使用する玉ねぎの分量だけを変え、他はそのまま使っています。著作物を転載することは出来ないので、「炒め玉ねぎ」の作り方だけは、上記の書籍を参考にしてください。それ以外の情報はすべて惜しまず掲載しています。
★「船場カリー」ほぼ!完全再現レシピ
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