【この嘘は悪いことでしょうか。】東野圭吾『嘘をもうひとつだけ』
こんにちはうみです🐬✨
漫画編集者を目指している大学生です。😍
今日は東野圭吾の『嘘をもうひとつ』という作品から、「嘘」というこのについて考えてみようと思います。
「嘘」って難しいですよね…。「噓つきは泥棒の始まり」のように「嘘」はいけないこと、私たちは悪いことだと言われて育ちますが人間正直なだけでは生きていけないし、その「正直」が人を傷つけることもあります。
たぶん私たちはその狭間で微妙に揺らぎながら生きているような気がします。そんな揺らぎを繊細な表現で描いているのがこの作品、東野圭吾氏の『嘘をもうひとつだけ』です。
下からネタバレが含まれるのでご注意ください!
①作品情報・あらすじ
この作品は東野圭吾氏によって2000年に発行された作品です。全5編の物語から構成されており、「加賀恭一郎」という刑事の捜査を中心とした刑事モノのお話となっています。
すごく簡単に言うと『名探偵コナン』のように事件が起こり、その犯人を加賀刑事が突き止めるという展開の話です。しかしこの作品は犯人が「嘘」をついた理由や犯行に至った動機、背景に特に焦点を当てていることが特徴です。
また、この5つの話の中の「冷たい灼熱」と「狂った計算」という話は『多摩南署たたき上げ刑事・近松丙吉シリーズ』という作品としてテレビ映像化しています。
②印象に残った話
5つの中でうみが印象に残ったのは「第二の希望」というお話です。
このお話のあらすじとしては、スポーツ少女:楠木理砂を娘に持つ、ある母親:楠木真智子の愛人が殺され、その犯人を加賀刑事が捜査するというお話です。
この話の展開も始めは他の話と同じように中心人物である母親に容疑がかけられ、加賀刑事がじわじわと追い詰めていきます。
しかし、この話真犯人はこの母親ではありません。実際に愛人を殺したのは娘の方でした。
一般的に母子家庭と聞くと、皆さんはどのようなイメージを持つのでしょうか。死別?あるいは事情があって(浮気、関係の悪化等)離婚というようなこともあると思います。ここでは母子家庭という設定が強調されています。たった一人の家族を支えるために奮闘する母親と、器械体操に通う娘という描写は一貫していますが、後半になるにつれて本当の関係性が浮き彫りになっていきます。
まず、元夫からの電話によって、離婚の原因が娘の体操であることが判明します。そして常軌を逸した真智子の体操への情熱の背景、理砂への高い期待が明らかにされます。ここの表現は「自分の考える幸せ=娘の幸せ」を信じて疑わず、娘にもその考えを強要しているように感じられます。
そして、その後加賀刑事に問い詰められていった真智子は自らが愛人を殺したと供述します。しかし、加賀刑事は娘の理砂の方が殺したと話し始めました。
最後場面では、真智子の心中で娘への犯行動機が語られます。それは「二人で体操を第一にすると誓ったが、自分は愛人を作ってその誓いを破ったためそれに娘は不満だった」というものでした。
娘の口から動機が語られることはなかったため、真相はわからないままです。真智子の言ったように母親を取られた不満による犯行かもしれませんし、はたまた自分が体操で縛られる日常から逃げたかったという考えかもしれません。
ですが、娘への期待からだとしても自らが殺人の濡れ衣を着に行く母親の胆力は相当なものであると思います。そして娘への期待は自分の成し得なかった夢からだとするとどうしても高くなってしまうものです。この母親のついた「嘘」は子供を守る愛情だったのでしょうか。それとも子供を体操に縛り続けるための残酷なものだったのでしょうか。加賀刑事の暴く「真実」は然るべきものなのでしょうか。それとも残酷なものなのでしょうか。
③嘘とは悪いことでしょうか
そしてタイトル通り、「嘘とは悪いことか」と考えさせられる話が最後に書かれています。それが「友の助言」というお話です。
このお話は加賀刑事と親しい関係である萩原保という男が主人公のお話です。この話は萩原が高速で事故を起こし、そこに加賀が見舞いに訪れる場面から物語が動きます。加賀は刑事であることを利用し、萩原を殺そうとしたのは彼の妻であることやそのトリックを暴きます。そして妻の人間関係まで推理してしまいます。
加賀の暴いたことは、萩原が気付いていながらも気付かないふりをしていたことであり、気付かなければ平穏な関係でいられるものでした。まだ幼い子供のいる萩原にとって、気付いていないふりをする「嘘」とは子供を思っ手のことであり、自分を騙すためのものでした。
加賀に指摘されたことで妻に真実を問わないといけない義務感に駆られた萩原は結果として妻を手放すことになってしまいます。「真実」という客観的に見て絶対的なものは、結果として家庭という大切なものを壊すきっかけになってしまいました。
加賀の伝えた「真実」とは良いことだったのでしょうか。萩原のついていた「嘘」とは悪いことだったのでしょうか。
まとめ
今回は東野圭吾氏の小説から「嘘」というものについて考えました。加賀刑事って冷静に見れば「真実」を暴くいい人のはずなんですよ。でも読んでいるうちに登場人物の大切なものを壊していく、残酷な人のように思えてきて。笑
「嘘」と「真実」のバランスって生きていくのにすごく難しいなぁ…と読みながら勝手に思っていました。この記事で『嘘をもうひとつだけ』が気になった方はぜひ書店等で1度手に取ってみてください😆
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今日も夢に向かって頑張ります😍
(最近記事を書くスケジュールが乱れているので修正しないとな、と思いながら書いています……🙇♀️🙇♀️)
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