ミカン選びに混ざっている猛毒オレンジ
NGワードが止まらない――「極端な思想を洗い出せ」の先にあるもの
選挙は“ミカン選び”のようなものだと言ったのは、つい先日のことだったが、参院選の投開票日が迫る中、参政党代表神谷宗幣氏のNGワードが止まらない。
そんな中、7月14日、松山市で行われた街頭演説で、神谷氏はこう述べた(毎日新聞より)。
<自民党がもうアメリカの民主党みたいになっているんですよ。だから全然自民党がトランプ政権とうまくいかないでしょ。関税交渉もいかないでしょ。それは官僚ですよ。官僚、公務員。そういった極左の考え方を持った人たちが浸透工作で社会の中枢にがっぷり入っていると思うんですよ、ね。これをね、洗い出して、ね、極端な思想の人たちは辞めてもらわないといけないと思います、私は。これをね、洗い出すのがスパイ防止法です>
以前からナチを想起させる言葉を連発していた神谷氏だが、ついに今回、「思想の統制」という最も危険な領域にまで踏み込んだのだ。
「極端な思想の公務員を、洗い出して辞めさせる」
これは、思いっきり憲法に抵触している。
日本国憲法第19条
思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。
「極端な思想の公務員、洗い出し辞めさせる」というが、何を“極端”とするかは彼らの匙加減次第だ。「反戦」「憲法擁護」「多様性の尊重」「政権批判」さえ“極端”とされかねない。
もし万が一、それを実行したら今度は表現の規制にかかるだろう。自分好みの味付けにしたいから、 自分の好みに合わせて社会全体の思想を“調味”しようとする発想自体が、民主主義の否定だ。
そもそも彼らは、憲法を変えよう。いや、憲法を創ろう、創憲だ!と主張している。彼らが行いたい思想統制が、現行の憲法に抵触するのであれば、自分好みの憲法を作りたいのは当然だろう。
歴史が証明している「思想統制」の危険性
ナチス政権も、戦前の日本も、まさにこのようにして“思想統制”から“言論弾圧”へと進んでいった歴史がある。
◆ナチス・ドイツ(1933年以降)
・共産主義者・社会民主主義者を「国家の敵」として公務員から排除
・公務員法を改正し、“アーリア人”以外の公務就任を禁止
・思想・芸術・学問に対する検閲を実施(焚書、展示禁止など)
・国民に「国家への忠誠」を誓わせる法制度を構築
◆戦前の日本(1930年代~)
・治安維持法で“思想犯”を検挙(共産主義者だけでなくリベラル思想も)
・公務員や教員に「教育勅語」や天皇への忠誠を強制
・軍部が検閲を強化し、新聞・書籍・映画などが事前検閲の対象に
・「非国民」「反日」などのレッテル貼りで反対意見を封殺
こうした“思想の選別”と“忠誠の強制”が、やがて戦争と全体主義へと繋がっていった。
思想統制が行われたら、次に言論が統制されるのは想像に難くない。
ミカンのふりをした猛毒のオレンジ
二週間前の記事で、『選挙がミカン選びに、ちょっと似ている』と話した。
自分が投票しなくても、白票を投じたとしても、他の大多数が選んだミカンを、結局みんなで食べることになる。

スパイ防止法の制定自体を否定しているのではない。だが、「思想の洗い出し」に使うという発言は、まったく別次元の問題だ。
たとえ、それがグズグズにカビて腐ったミカンであっても、
明らかにお腹を壊すと分かっていても、
「みんなが選んだ」以上、一緒に食べることは避けられない。
ただ、その選択肢の中に、ミカンのふりをした猛毒のオレンジが混ざっている。このオレンジを食べると、民主主義が死ぬ。自由が死ぬ。
もし、身近に食べようとしている人がいたら、頭ごなしに否定するのではなく、そのオレンジがどんな毒を含んでいるのか、冷静に、丁寧に伝えていただきたい。
投開票日は、三連休の中日、7月20日に迫っている。
私たちはいま、「猛毒のオレンジ」を選んでしまうかもしれない、岐路に立っている。
それでは、長文読んでいただきありがとうございました。
もしこの記事が、少しでも考えるきっかけになったり、共感いただける部分があれば、「スキ」やフォローでリアクションいただけると、とても励みになります。これからも、表現と社会のあいだについて、考えていきたいと思っています。
🗳【投票の方法について】
参議院選挙の投票日は、2025年7月20日(日)です。
期日前投票は、7月4日(金)から全国の自治体で始まっています。
仕事や予定がある方は、最寄りの期日前投票所で済ませることも可能です。
旅行や出張中でも、不在者投票の制度を使えば、滞在先の自治体で投票できます。
※詳細は、お住まいの市区町村の選挙管理委員会ホームページなどでご確認ください。

いいなと思ったら応援しよう!
記事をご覧いただきありがとうございます!チップで応援していただくと、嬉しさのあまり、ウラケンがジャンピングジャックで跳ねます!どんどん痩せます!