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イラストレーターが自分の世界観を見つける方法|「4つの縛り」と「4つの実践」

自分の世界観を持っているイラストレーターは強い

と、言われる。確かに、あ!この絵は、あの人が描いたんだなとわかるイラストレーターは強い。

では、イラストレーターの世界観とはなんだろう。世界観。抽象的な表現である。非常に掴みどころがない。ただ、イラストレーターの名前を隠しても、長場雄さんの絵は、長場さんが描いたとわかるし、白根ゆたんぽさんの絵は白根さんだとわかる。

長場雄さんのイラスト
白根ゆたんぽさんのイラスト

イラストレーター界隈の人であれば、黒田潔さんの動植物の絵を見て、白根さんが描いたと言う人はいないだろう。

黒田 潔さんのイラスト

つまり世界観とはそういうものだ。イラストレーターの名前を知らなくても、そのイラストが「誰の作か」わかる全体の空気感である。その世界観がイラストレーターにとっては名刺であり、看板になる。

では、世界観を構築する要素とは何か。イラストレーターが自分の世界観を持つには、世界観という便利な言葉の概念を解剖する必要がある。

世界観の解剖

世界観のわかりやすい例として紹介した先の3人のイラストレーターであるが、彼らは超大御所であり、もはやアーティストの域に達している方々であると私は思う。

これから私が語りたいのは、クライアントやクリエイティブのオーダーに合わせてイラストを描く、商業イラストレーターについての世界観だ。

商業イラストレーターもまた、世界観を持っているイラストレーターは強い。

なぜなら、この商品には可愛い動物のイラストが欲しいね。だったらサタケシュンスケさんかな。

いやでも、動物は動物でももう少しキャラっぽくして絵本のような物語性を持たせたい。だったら、中川貴雄さんかも。

と、発注側が連想しやすいからだ。

プラモデルのパッケージに超かっこいいモビルスーツを描いているイラストレーターに、可愛い動物のキャラを描かせようというデザイナーはあまりいない。

とまぁ、ここまで書いた段階ですでに、世界観を構成する大きな要素が2つ見えている。それは、

タッチ(絵柄)、そして、モチーフである。

つまり、
を、
どう描くか。

これによってイラストレーターの世界観は構築されると仮定できる。

私は商業イラストレーター16年目だが、正直言って仕事を始めた当初から割と近年まで、自分自身が世界観の迷子だった。広告、Web、書籍、CMなどなど、家族5人で生活していくに何の支障もないくらい仕事はいただいていた。だがしかし、確固たる自分の世界観を持っていたかというとだいぶ怪しい。

自分の世界観とは何ぞや?

と、世界観の迷子になり、色々なタッチを試した。自分の描きたい絵とは何か?そもそもそんなものなどあるのか?いや、ニーズに応え稼げているのだから、それで良いではないか。器用貧乏という言葉があるが、器用大富豪なれば良いのだと、自分なりの答えを出そうとはしていた。

商業イラストレーターに求められる4大要素

私はCM畑出身のイラストレーターである。なので、クライアントとクリエイティブ、そして全体を仕切って作品を仕上げていく制作スタッフが、何を必要としているかはわかっているつもりである。

・仕事の相談がしやすく
・ある程度のクオリティを
・要求に応えて柔軟に対応し
・予算内にスピーディに仕上げる

これである。イラスト業に限らず、お仕事に関する全ての業界はほぼほぼこれで成り立っているのではないかと思う。

自分も制作スタッフだったので薄々勘づいているが。発注側は、スタッフ(この場合はイラストレーター)をざっくり格付け、ジャンルわけしている。クライアントやクリエイティブから明確な指定がなければ、制作スタッフ的には上記4つに対応してくれるスタッフで、その作品のテイストにさえ沿っていれば割と誰でもいいとなりがちである。この場合、求められているのは、アーティストではない。職人なのだ。

イラストレーターという職人

職人ではいけないと言っているわけではない。そもそも、職人として上に挙げた4点ができていなければ、業界の信用も、仕事も勝ち取れない。

実績と信用を積み、クライアントの要望に応えた上で、自分の味付けを許されるようになり、最終的にとにかくあなたが描いてくれれば良いという段階になる。

だが、可能な幅でさまざまなタッチに対応し、案件をこなしまくり、「これは私じゃなくても良いのでは?」という自問自答を繰り返していくうちに、気づくのである。

「逆に、私じゃなきゃダメな仕事とは何だ?」

と。そうなのである。色々描いてるうちに自分の世界観を構築するタッチがわからなくなるのである。

以前書いた記事でもまとめたが、ある程度描けるイラストレーターは、大体他のタッチも描ける。キャラっぽい絵も、抒情的な絵も、アウトラインがある絵も、ない絵も、大体描こうと思えばこなせる人が多い。なので、器用すぎる人はタッチの迷子になりやすい。だが、それはそれで色々なタッチで描けるというその人の味であり、器用大富豪を目指すという道もある。

そして、何やかんや対応しているタッチの中で、仕事が多くきているタッチが、そのイラストレーターのタッチとして、顔として定着していく。

だがやはり世界観は、無いよりあった方が良い。

何故あった方がいいのか。私自身、自分なりに世界観を見つけようと、七顛八倒し、あえぎ、もがき、ボンヤリとした概念の先に一筋の光明が差し、どうやら世界観っぽいものを掴み、ある程度定着した結果わかったことがある。

このタッチで描いて欲しいという発注が増えたのだ。

だいたいヒトがやらかしました 絶滅生物事典
だいたいヒトがやらかしました 絶滅生物事典


ユニクロさんのCM
ユニクロさんのCM
https://ulaken.com/2676-2/
https://ulaken.com/2676-2/
https://ulaken.com/2676-2/
https://note.com/ulaken/n/n3e84e3b4aa49
福岡市地下鉄 六本松駅の壁面
https://ulaken.com/kagakukan/

つまり、世界観が構築されているイラストレーターは単純にランクが上がり、値段の交渉もしやすくなり、イラストレーターとしてやっていく上で、大きな武器になるのである。皆さん!世界観を持ちましょう!

だから、それが決まらんのだろうがい!


以前の私ならそう言うだろう。

私の場合、世界観を掴むまでに10年以上かかった。その間ずっと仕事がなかったわけではない。広告、Web、書籍、CMなど、生活していくには十分な仕事をいただいていた。

それでも、自分の世界観とは何かと聞かれると答えに詰まっていた。率直に言って遠回りをしたと思う。だからこそ、もし今同じ場所で悩んでいる人がいるのであれば、その10年分の遠回りを少しだけ短くできるかもしれない。

ここから先は、私が自分の世界観を見つけるまでに、実際に辿った工程をまとめたロードマップのようなものである。大きく分けると、

「止めたこと(縛り)」が4つと、
「始めたこと(実践)」が4つだ。

タッチの迷子になっている方、何を描くべきか迷っている方。あの日の私と同じ場所にいる方の参考になれば幸いである。

世界観を掴むために|4つの縛り

まず、「止めたこと(縛り)」である。縛りと言うと大袈裟だが、実は、「世界観が揺らいでいるのはこれが原因なのでは…」と私自身薄々勘付いていた。そこで、心当たりがあるものを断つという意味での縛りである。

縛り①イラストレーターのフォロー

私はメチャクチャ影響を受けやすい。映画紹介イラストを見れば映画紹介イラストを描きたくなるし、エッセイ漫画を読めばエッセイ漫画を描きたくなるし、動物イラスト図解を読めば動物イラスト図解を描いてしまう。

しかも、自分で言うのもなんだが、小器用なので、割とそれっぽく描けてしまう。実際、エッセイ漫画にしろ、イラスト図解にしろ、描いたことによって仕事につながっている。とはいえ、イラストレーターとして軸になる世界観を持ちたい。では、どうすれば良いのか。単純である。他を見ることをやめるのだ。自分の輪郭が見えるまでは、同業者からのインプットを減らすのである。

コンテンツを描きたくなるのはまだギリOKだが、問題はタッチだ。タッチまで影響を受けすぎると、それはもうそれこそインスタに溢れまくっているジェネリック長場雄さんのようになってしまう。

当時の私は、世界観に悩めば悩むほど、答えを探していた。上手い人のインスタを見て、憧れのイラストレーターの作品集を買い、SNSで流れてくる絵を眺めては、

「こういう描き方もいいな」
「この色使いも素敵だな」
「こういうモチーフも描けるようになりたいな」

と考えていた。

しかし、振り返ってみると、それは自分の世界観を探しているようでいて、実は他人の世界観の影響を受けている時間でもあった。

世界観を作るにはインプットも必要だが、自分の輪郭がまだ曖昧な状態で他人の絵ばかり見ていると、輪郭が濃くなるどころか、むしろどんどんぼやけていく。

そこで、ある程度タッチの方向性が決まるまで、意識的にSNSでイラストレーターをフォローすることをやめた。実際にやってみると、頭に他人のタッチが残りにくくなった。

雑音が減り、自分が本当に描きたいものや、描いていて楽しいものが少しずつ見え始めたのである。もちろん、これは永遠に続ける必要はない。

タッチが固定された現在は、反動でガシガシフォローしている。

次に、以前と現在と比較して、描くことが圧倒的に減ったモチーフがある。世界観の迷子だった私にとっては、同業のイラストレーターのタッチよりも、むしろ長年描き続けていた"このモチーフ"の方に問題があった。

私のSNSを以前からフォローしてくれていた方であれば、ウラケンと言えばコレと言ったイメージだったと思う。

しかし最近はほとんど描いてない。ただ、コレを減らしたことでタッチのブレが少なくなった。第2の縛り、それは…

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