【ショートショート】いとおかし作家
1人の菓子職人がいた。飴細工を得意とする男は、過疎化が進む町興しのため、限界に挑んでいた。
飴を細く伸ばし、幾重にも重ねていく。もはや飴ではなく糸のようになったその糸お菓子を、更に細く、髪の毛よりも細く細く。
あるとき、限界を超えた飴はその存在を消した。目に見えなくなった飴を、男は一心不乱に紡ぎ続けた。紡いだ飴は開いた窓から風に乗り、町中に散っていった。
その町の空気は不思議と甘い、そんな噂が広まると観光客は次々にその町に訪れた。町興しに成功した男は、それでもその手を止めることはなかった。
「もっと……もっとだ」
数カ月後、男は飴の繭に包まれていた。透き通った透明な繭の中で、男の体は形を変えていく。甘い匂いに誘われたのか、男の繭の前に小さな双子が現れた。
時を同じくして、巨大な怪獣が日本に上陸した。怪獣は次々に街を破壊し、男の愛する町に迫っていた。
繭が、割れようとしていた。
【次週、モスラVSゴジラ】
終
これは久々に……
なんのはなしですか?
たらはかにさまの毎週ショートショート【いとおかし作家】に参加させて頂きました。
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