【つながる旅行記#433】『写実・奇想・超細密』に酔いしれる【大塚国際美術館】
前回はルネサンスからバロックの時代に突入し、魅力的な写実の世界の始まりを楽しんだ。
そして自分は今、とある絵の前にいる。

こちらの絵の題名は『キリスト昇架』。
フランダースの犬というアニメで登場した有名な絵なのだが、とはいえ子どもの頃の自分ですら「昔のアニメだなぁ」と感じていたくらいなので、今の若い人には馴染みがないかも……?
(フランダースの犬のラストシーンでは、この『キリスト昇架』と『キリスト降架』という絵が登場したのだ)
ちなみにこの絵は、中央・左・右の計3つのパネルで構成されているので、『三連祭壇画』と呼ぶらしい。
どれどれ……?



いやはや、これまた素晴らしい写実描写だこと……!
そして画像では伝わらないと思うが、なにせ高さ4.6mなので、馬の威圧感が凄い。
これが教会の荘厳な雰囲気と合わされば、信仰心が芽生えるのも当然かもしれないな……。
なおこの作品の作者であるルーベンスは、『最後の審判』も描いている。

なにせシスティーナ礼拝堂のあの絵があるので、同じ題材を選ぶのは覚悟がいりそうだが、こちらは右上から左下への勢いが感じられて、また違う味わいがある。
なお勢いの原因は、天使が罪人を追い落としているから。


(天使って容赦ないんだな……)


ルーベンスの部屋を出て、次のエリアに入ると……
おっ、あの絵はまさか!?

アルチンボルドの有名な絵だ!!
これは確か、歌川国芳の特集番組か何かで紹介されていて知った気がする。
そう、歌川国芳もこんな感じで『寄せ絵』というものを描いているのだ。
(まあ人物画だと基本的に裸の男が大集合しているので、よく見たらちょっとアレだけど……)
なおアルチンボルドのこれらの作品は1566年頃に制作されており、歌川国芳の作品群は1850年頃の制作なので、両者の時代の開きはかなりある。
鎖国下の日本でも出島などを通して西洋絵画の情報は入ってきていただろうし、歌川国芳もそれらを通して西洋の絵画技術に触れていた可能性は高そうだ。



いやしかしホントに凄い絵だな……!
近くで見ると完全に別個のあれこれなのだが、遠くから見るとたしかに人間の顔に見えてくる。
自分が記憶していたのも納得な、非常にインパクトがある面白い絵だ。
なお当時はグロテスク趣味としてこういう絵が珍重された。
そしてこれらの連作は非常に評判が良かったので、同じ題名でもいくつかのバージョンが存在するようだ。
なので「あれ? 私の知ってる『冬』と違う……?」みたいなことを思った方は、鋭い観察眼と記憶力をお持ちということである……!
さて、現在時刻は14時。
美術館に入ってからそろそろ4時間くらい経つのだが、さすがに鑑賞による疲れが出始めてきた気がする。
とはいえまだ展示は大量にあるので、ここで休んでいる場合ではないのだが……。
おや、この看板は……?

何やら現在工事中らしいが、外にも展示があるようだ。
これはちょうどいい気分転換ができそうな予感がする。
さっそく外の空気を吸いに行こう!



おぉ……!!
片面は工事中ながらも、ものすごい大きさの作品が展示されていた。
モネの『睡蓮』といえば、自分でも知っているそりゃもう有名な作品なのだが、実は『睡蓮』は250点以上存在するらしい。
(睡蓮好きすぎるだろモネ……)
そしてこの場所に飾られているのは、パリのオランジュリー美術館にある『睡蓮』だそうだ。(大塚国際美術館ではこれを『大睡蓮』と呼んでいる)
オランジュリー美術館では、この睡蓮のためだけに2部屋も使って展示をしているのだが、大塚国際美術館ではなんとそれが太陽の下で見られる。
これも陶板画が持つ、『水や紫外線による劣化がほぼない』という耐候性のおかげだ。
実寸大レプリカというだけでなく、絵画鑑賞の可能性まで広げてくれるのが陶板画ということなんですね……!




……さて、新鮮な空気と『大睡蓮』を楽しんだところで、また芸術の世界に戻るとしようか。
そしてもう少し鑑賞したらさすがに食事&休憩したいところだ。
お腹が空いているのもそうだが、足も休ませておきたいし。

さて、いきなりヘビーな絵が来てしまったが、こちらはアルブレヒト・アルトドルファーによる『アレクサンダー大王の戦い』である。
これは古代ゾーンにあったポンペイのモザイク画と同じく、『イッソスの戦い』を題材にしているのだが……もうなんというか描き込み量がおかしい。
まさに超細密画と断言できるレベルの作品だ。(サイズは1.6m×1.2m)




いやもう槍だけで何本描いてるのこれ……?
ちなみに、『逃げるダレイオス』と『それを追いかけるアレクサンドロス』もしっかり描かれている。



『イッソスの戦い』は紀元前333年に起きた戦いなのだが、ペルシャ軍10万人 VS マケドニア軍3〜4万人の戦いだったといわれている。
この作品には数千人が描かれているらしいが、実際の戦いはもっと凄まじいウジャウジャ具合だったと思うと、もう想像もできない規模だ。
(こんな時代に生まれなくてホントよかったわ……)
そんなこんなで、宗教的な絵画ばかりの状況を脱して、バリエーション豊かで面白い絵画が増えてきてこれまた楽しい。
だが、まだまだ自分の知っている有名絵画で登場していないものはたくさんあるのだ。
果たしてそれらに出会えるのかにワクワクしつつ……
次回へ続く!!
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