『カチューシャとおむすびの共通点:USJ出身者が挑む、地方で勝つための「里山コト消費マーケティング」』①
【作品概要】
本作は、USJの物販・飲食ビジネス責任ある立場として22年間培った「テーマパーク流マーケティング」を、54歳にして倍率460倍の地方の「道の駅」副業へ投入し、わずか5年で売上1.3倍を達成した実録ビジネスドキュメンタリーです。「モノ消費からコト消費へ」と言われる時代に、日常では買わないカチューシャが爆発的に売れる本質を紐解き、どこにでもある「お米」を大ヒット名物「のせむすび」へと変貌させた、泥臭くも再現性のある里山マーケティングの方程式を全5話で明かします。
【こんな方におすすめ】
会社の外で通用するスキルに不安がある方 ミドルシニア層
予算や人が足りず、綺麗事が通じない現場で戦っている方 地域創生・自治体の関係者
既存商品が売れず、「コト消費」の仕掛け方に悩む方 マーケター・店舗運営者
【連載の構成】
第1話:キャリアの葛藤と挑戦 公開中
第2話:データ分析と戦略の転換 公開中
第3話:マーケティング理論の核心 公開中
第4話:具体的な演出とヒットの瞬間 公開中
第5話:チームビルディングと未来への決意【完結】 公開中
第1話:キャリアの葛藤と挑戦
「私のスキルは、会社の外で通用するのか?」50歳・USJ物販・飲食ビジネス責任ある者が、460倍の倍率を突破して「道の駅」へ飛び込んだ理由
順調な日々の中で、ふと頭をよぎった「2つの問い」
「ごはんが炊けるのが間に合わない!」
土曜日の昼下がり、大阪の山奥にある道の駅。能勢の美しい山並みを背景に、小さなプレハブ小屋の前には40分待ちの大行列ができていた。
なぜ、50歳を過ぎてから460倍の倍率を突破し、この泥臭い現場に飛び込むことになったのか。これは、大企業のマーケティング論をもって地域創成に挑んだ私の、5年間の記録である。
USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)のなかで、物販・飲食ビジネスの責任ある立場として、企画、開発、仕入れ、運営のすべてに関わる日々。事業は順調で、自身のキャリアも順調そのものでした。
しかし、50歳を過ぎたころ、私の頭にふと2つのことがよぎるようになりました。
ひとつ目は、「この知識をボランティアでもいいから、地域に還元できないか」ということ。
サラリーマンとしての終わりがなんとなく見えてくる中で、自分が培ってきたエンターテインメントやビジネスのノウハウを、社会に恩返ししたいという想いが芽生えた瞬間でした。
もうひとつは、プロフェッショナルとしての「静かな焦燥感」です。
社内での立場が上がっていくにつれ、自分で手を動かし、分析をしたり資料を作成したりする機会が減っていきました。むしろ、優秀なチームメンバーに託した方が、遥かにいい資料が出来上がってくるぐらいです。指示して、目を通して、承認印を押す毎日に、自分の存在理由を見出せなくなっていく感覚。
「果たして、自分のスキルは今、会社の外に出たとき、社会の中で通用するのだろうか?」
そんな疑問と向き合っていたとき、偶然目にしたのが、ビズリーチの「副業・兼業募集」の記事でした。
460倍の針の穴を通した、3つの理由
舞台は、大阪府能勢町の「道の駅」。
実は私は、もともと大の道の駅好き。休日には必ずと言っていいほどドライブがてら地域の道の駅に足を運び、その土地の宝物に出会うのを楽しみにしていました。
「地域への恩返し」と「外の世界での力試し」、そして「大好きな道の駅」。
すべての点がつながった気がして、私は応募を決意しました。
結果は、見事採用。
あとから聞いて驚いたのですが、なんと460人以上の応募があったそうです。なぜ、私がその針の穴を通ることができたのか。のちに聞いた理由は、次の3点でした。
公的機関の文脈がわかっていること:USJには第三セクターとしての期間があり、行政や公的機関の流れを理解していた。これは、意思決定のスピード感や手続きが民間とは違うプロセスになり、時期によっては時間がかかることに代表されることです。
現場の責任者であること:USJの物販・飲食という、まさに道の駅の核となる事業の責任ある立場だったこと。
「ストーリー」を提示したこと:単発のイベントを企画するのではなく、地域創生をひとつの持続可能な「ストーリー」としてプレゼンしたこと 地域創成の中核としての道の駅の発展を描いたことです。
こうして私は、USJの物販・飲食の責任ある立場でありながら、地方創生のプロデューサーという「第二の人生」の第一歩を踏み出すことになったのです。
「くりの郷」で突きつけられた、最初のギャップ期待と緊張を胸に、いざ初めて能勢町の道の駅へ足を運んだときのことです。
そこには、「くりの郷」という魅力的なサブタイトルがついた施設がありました。大の道の駅好きであり、ビジネスのプロである私は、胸を躍らせました。
「よし、ここなら年中美味しいくりご飯が食べられるに違いない!」
しかし、現実は違いました。
ここが、私の大企業マーケティング論が通用しない、地方創生のリアルな「ギャップ」のスタート地点だったのです——。
マガジンにまとめていますので、こちらからよろしくお願います
(第2話へ続く)
