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欲張らなかった一打が、次の道を開いてくれる

『欲張らない選択が道を開く』

無理に届かせるより、次が打ちやすい場所を選ぶ。
その一打が、ゴルフを少しやさしくしてくれることがあります。


フェアウェイに立つ、あの一瞬の迷い

午後のコースは、光の角度が変わります。

木の間から差し込む斜めの日差しが、芝の上に長い影を落としている。風はほとんどなく、遠くのグリーンがきらりと光って、ピンフラッグがわずかに揺れている。

ピンまで残り180ヤード。

でも、前には大きな木が立ちはだかっている。低いボールで抜けるか、高く上げて越えるか。無理をすれば、ギリギリ届くかもしれない。

「行けるかな」

その気持ちが、一瞬だけ頭をよぎります。


「無理すれば届く」が怖い

ゴルフには、「行けそう」という罠があります。

届くか届かないかのギリギリの距離。少し力を入れれば、なんとかなるかもしれない。その「かもしれない」が、判断を狂わせることがあります。

特に始めたばかりの頃は、この誘惑に負けやすいものです。

「ここで攻めたら格好いい」
「一か八か狙ってみよう」

冷静な選択より、気持ちが先に走ってしまう。

そして大抵、木に当たる。池に入る。思った以上に大叩きになる。

悔しいし、「なんであそこで欲張ったんだろう」と後悔する。
あの感覚、よく分かります。


私も、攻めたくなります

正直に言うと、私もかなり攻めたがりです。

このことに一番気づいたのは、よく知るコースでプロゴルファーの試合を観戦したときでした。

私は勝手に、ツアープロなら250ヤード先の池も当然越えていくのだろうと思っていました。

ところが実際には、越そうとする選手は思ったより少なかったんです。

多くの選手は、220ヤード地点の平らなフェアウェイにきっちり刻む。そこから残り180〜200ヤードのセカンドショットで、落ち着いてピンを狙っていました。

その姿を見たとき、少しハッとしました。

私なら「越えられるかも」と思って無理をする場面で、プロはちゃんと安全な場所を選んでいた。

もちろん、その距離からピンを狙える技術があるからこその選択でもあります。

でも同時に、「うまい人ほど無理をしないんだな」と感じたんです。


Dさんが「刻む」を選べた日

以前、ラウンドレッスンをご一緒したDさんのことを思い出します。

6番ホール、バンカー越えの残り160ヤード。Dさんは少し迷った顔でクラブを選んでいました。

「届きそうですか?」と聞くと、

「届くかどうか微妙なんです」

そう答えられました。

そこで私は、

「だったら一番手下げて、バンカー手前に刻みましょうか」

と伝えました。

Dさんは一瞬、「え、でも……」という顔をされました。
その気持ちも、よく分かります。

届くかもしれない距離で、あえて届かせない選択をするのは、少し悔しいものです。

それでも、Dさんは素直に刻んでくれました。

すると次のアプローチが、その日いちばんやわらかい球でピンに寄っていきました。

パーを取った瞬間、Dさんは、

「刻んでよかった!」

と声を上げて笑っていました。

あの笑顔が、今でも記憶に残っています。


『欲張らない選択が道を開く』

ゴルフのスコアは不思議なもので、「攻めた結果」より「丁寧に刻んだ積み重ね」のほうが、最後は良くなることがあります。

欲張らない選択は、弱さではありません。

今の自分に何ができて、何ができないかを冷静に見る力。
無理な一打より、確実な一打を選ぶ判断。

それも、ゴルフにおける大切な力だと思っています。

「悔しいような、でもホッとしたような気持ち」

その感覚こそ、正しい選択をした証拠なのかもしれません。

欲を少し手放したとき、体から余分な力が抜けて、次の一打がやさしくなる。

道は、無理に切り開くものではなく、丁寧な選択の先に自然と開いていくのかもしれません。


今日から一つだけ試してみてください

コースで「届くかどうか迷う距離」に立ったときは、まずこう考えます。

「成功したらどうなるか」よりも、
「失敗したらどこに残るか」。

そして、無理に届かせるクラブではなく、次が打ちやすい場所を選ぶ。

バンカーを越えるか迷ったら、手前に置く。
木を越えるか迷ったら、横に出す。
池を越えるか迷ったら、いったん安全な場所へ運ぶ。

その代わり、刻んだ後の一打を、今日いちばん丁寧に打つつもりで構える。

それだけで、スコアも気持ちも、少し変わってくるはずです。


夕暮れのグリーン、スコアよりも残るもの

ラウンドの最後、クラブハウスへ戻りながら今日を振り返る。

「あそこで刻んでよかった」

そう思える一打が一つあるだけで、なんとなく今日のゴルフが好きになれる気がします。

スコアが良くても悪くても、あの「悔しいようで、でもホッとした」選択の感触だけが、じんわりと手に残っている。

欲張らなかった自分を、少しだけ褒めてあげたくなる。

そしてまた、次のラウンドで同じような場面に立ったとき、少しだけ落ち着いて選べる気がする。

夕暮れのグリーンに長い影が伸びて、ピンフラッグが小さく揺れている。

無理をしなかった一打の先にも、ちゃんとゴルフの楽しさは残っています。


あなたは最近のラウンドで、「無理せず刻んでよかった」と思えた一打がありましたか?
あるいは、どうしても攻めたくなってしまったエピソードなど、ぜひコメントで教えてくださいね。


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