【映画】『BTS ARMY:FOREVER WE ARE YOUNG』【感想】
【追記:2026/7/4】「映画に関する情報」にグレース・リー監督のインタビューを追加
ARMYを描いた映画を観てきました!
BTS(バンタン)ではなく、そのファンダムであるところのARMYを題材にした映画が出るよ、という噂は前から聞いており、興味を持っていました。
自分もARMYだけど、このでかいファンダム面白すぎて観察が止まらないんですよね。それが映画になるとは!
しかも近所の映画館に来たんですよ、これが。ホビやジン君のライビュは来なかったくせにおまいときたら( ゚Д゚)ゴルァ
あーこれは見たいですね、行きましょう! というわけで行ってきました。今回は感想回です。
ネタバレしかないので、未見の方はご注意くださいね。
上映期間があまり長くないので、気になっている方はお早めにどうぞ!
映画に関する情報
今やグローバルな巨大ファンダムへと成長した“ARMY”。
BTSとの出会い、そして彼らのコンサートの思い出やファン活動を通してARMYとBTSの深い絆に密着した、ARMYによるARMYのための物語。
監督:グレース・リー(Grace Lee)、パティ・アン(Patty Ahn)
製作:上記2名 + ユリー・チョン(Yuri Chung)、ノラ・チュート(Nora Chute)
製作総指揮:モーガン・ネビル(Morgan Neville)、ケイトリン・ロジャース(Caitrin Rogers)、ジェームズ・シン(James Shin)
全体的に監督も、製作総指揮のプロデューサーもドキュメンタリー畑で実績のあるメンバー。パティ・アン監督はカリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)のコミュニケーション学科准教授でもあります。
グレース・リー監督のインタビューはこちら。
ジェームズ・シンさんはHYBE Americaの映像(Film & Television)部門の社長(2023~)で、AAIM High Podcastのインタビューでこの映画について触れていました。
今取り組んでいるのはBTSのファンダムについてのプロジェクトです。ご存知ない方のために説明すると、彼らは歴史上でも最も偉大なボーイバンド、アーティストグループ、バンドと呼べる存在です。
ビートルズと比較されることもありますが、特筆すべきは、彼らが全員アジア人であることです。この時代にそんなことが可能だなんて、本当に素晴らしいことですよね。『Dynamite』や『Butter』といった曲をご存知かもしれません。
このプロジェクトが非常に面白いのは、バンドそのものに焦点を当てているわけではないという点です。バンドについてはすでに多くのことが知られていますからね。カメラの焦点を反対側に向け、このバンドの人気を支えるファンダムを構成するファンたちに光を当てています。
この作品に携わることは本当に光栄です。オスカー受賞歴のある映画製作者、著名な監督であるグレース・キム、そしてパティ・アンと共に制作しています。2025年3月にサウス・バイ・サウスウエスト映画祭で初公開する予定です。本当に、本当に、とても影響力のある作品になると思います。
クレジットを見た感じ、HYBE Americaが窓口になって版権協力し、映画のクルーはアメリカ・メキシコ・韓国にユニットを置いて撮影した様子。
「私たちは数年かけてアイデアを練り上げ、一緒に楽しく過ごし、ARMYのどんな側面に焦点を当てられるかを考えました。もちろん、HYBEの協力と支援なしにはこの映画は作れませんでした」とアンはDeadlineに語った。「私たちはほぼ独立して創造的に作業しましたが、アーカイブ資産や音楽の権利などについてはHYBEの許可が必要でした。」
リー氏はさらにこう付け加えた。「BTSの音楽とアーカイブ映像を使わずに、BTSについての映画を作ることはできません。ですから、レーベルのサポートと承認は、実際に映画を制作するために必要不可欠なものでした。」
読まなくてもいい予備知識
映画公式のXアカウントポストのコメントを読むとわかるんですが、この映画前評判からしてわりと荒れており、海外ARMYの一部はこの映画を観るべきではないと怒っています。
一番大きい理由は、ボイコット垢の関与疑いだと思います。話の中心になっているアカウントが消えてることもあって、最初は流れがよくわからなかったのですが、話を総合するとこんな感じのことが起きたらしいです。
Instagramに「@criticalbtsreader」というアカウントがいた(削除済み)。
「@criticalbtsreader」と、映画監督のパティ・アンに交流がある / あったと言われている。
「@criticalbtsreader」は以前「Bangtan Remixed: A Critical BTS Reader」という本(ARMYによるバンタン論集)について紹介したことがあるが、その共同編集者の中に映画監督のパティ・アンも入っていた。🔗
パティ・アンはこのアカウントの投稿をシェアしたことがあったらしい。
「@criticalbtsreader」はシオニズム排斥を唱え、BTSに対してボイコット運動をしていた。🔗
そのため、パティ・アンもボイコット活動家と見なされ、今回の反応に至った様子。
ここまでは理解したのですが、とりあえずパティ・アン監督が直接ボイコット活動に関与した物証はありません。シェアや交流の有無は、ボイコット活動を実施した証拠にはなりませんので、一旦気にしないことにして観に行きました。批判するにしても、観ないと始まらないですしね。
「they/them」代名詞を使うアン氏は、社会科学部コミュニケーション学科の准教授です。学者であり実践家でもあるアン氏は、グローバル文化、メディアアクティビズム、ドキュメンタリー映画制作、コミュニティベースのストーリーテリングなどの講座を担当しており、K-POPの歴史と世界的な進化に関する人気講座も含まれています。
感想と復習
この映画は、複数のARMYの証言とバンタン映像を繋いで、2013年のデビュー前からジン君転役までを追ったドキュメンタリーです。そのため、私にとっては過去学んだことの復習回に近くなりました!
ファン向け映画なので説明はスキップされがちなため、映画観に行くならある程度時系列を把握してる方が理解しやすいと思います。一応これ置いときますね。
視点はアメリカ中心ですが、ストーリーテラー的な役割に韓国含む他国ARMYもいるので、わりとバラエティに富んだ仕上がりになっています。
ちなみにイルアミ(日本人のBTSファン)は浴衣着てる女子が1カット映ったくらいで、ほぼいません( ;∀;)クソー
プロローグ~デビュー前夜


「スターダムを駆け上がっていくバンタンを支えたのはARMY」
「BTSとARMYは、BTSとARMYにしか実現できない社会的ムーブメントだ」
という説明と共に映し出される、世界各国のARMY。

名称の意味も紹介されており、「BTS」はボーイスカウトの方で説明してた気がします。
「BTS」の由来:
公式的には「Beyond The Scene(現実に安住せず、夢に向かって絶えず成長し続ける青春)」。これは本格的にグローバル化した2017くらいから。
欧米圏では、意訳や直訳で「Bulletproof Boy Scouts」「Bangtan Boys」と呼ばれたり、防弾少年団の読みから「Bangtan Sonyeondan(방탄소년단)」だと言われたりしていた。
ちなみに防弾少年団という名前自体は、グループ結成前から温めていたという話を、パンPDのお母さんがしていた。
「ARMY」の由来:
公募した候補からバンタンが選び、2013/7/9に決定。
公式的には「Adorable Representative MC for Youth(若者を代表する魅力的なMC)」。初期は「A.R.M.Y.」表記もあったが、「ARMY」表記に統合されていっている。
元々は「防弾チョッキ(バンタン)と軍隊(ARMY)は常に一緒」的な意味合いで、ファンからはフランス語の「ami=友だち」を重ねられることもある。
初期のVlogがいくつか映ってます。
バンタンをデビュー前から追いかけていたアメリカARMYたちが、当時を振り返ります。
デビュー前の未完成な状態を見せているのが異色だったこと、その姿をSNSで公開したことで、視聴者のコミュニティが生まれたこと。
韓国では彼らが売れていないように見え、実際売り上げも配信もそこまでではなかったこと。
未熟なバンタンに少女たちが自らを重ね、彼らの成功を我が事のように願っていた様子が語られています。弱さを持つバンタンに共感し、互いに必要とし合いながら友情を育てた、という表現が印象的でした。
私は後からこのファンダムに来たので、最初に出会った彼らは既にトップスターの大人でしたが、当時の様子をこうして見聞きすると、バンタンもARMYも若い時代だったのだなと感じます。
BTS 2014 (SHOW & PROVE コンサート)
韓国デビュー→日本デビュー時代を丸ごとすっ飛ばして、アメリカ編へ。潔い編集ですねwww
アメリカンハッスルライフの最後にやってたコンサートが、ARMY側の目線から語られています。わあ、珍しい!
ケイトリンさんは、限定200名招待と聞いたので、朝の4:00から17時間も並んだそうです。バンタンがチラシ配りしてたからハラハラしてたけど、そういえば会場満員だったw
Entrance will be starting from 6 PM. 200 people can come, 'free' entrance. The name will be <SHOW & PROVE Concert>. We'll show you what weve
— 방탄소년단 (@BTS_twt) July 13, 2014
まだ見たことない方はこちらへどうぞ!
公式から行きたい人は、この再生リストを「아메리칸허슬라이프」で検索してください。ハングルなんで、私最初気づかなかったですw
ファン向けの映画なので、背景説明がかなりはしょられてますが、一応3回くらいミニ用語解説が入っています。ここで出たのは「BIAS=推し」。
というわけでデビューし、アメリカにも顔見せしたバンタン。
K-POPらしからぬ彼らのスタイルは、衝撃を持って受け止められたようです。バンタン、K-POPとHIPHOPのハイブリッドアイドルなんで、状況によってK-POPの文脈で語られたり、逆になってたりして面白いですw
まあ、体制に反抗するアイドルが、この後世界を舞台に成長していくわけですから、外からしたらこんなの見たことない!ってなったでしょうね……。
ここで「当時セクシュアリティに悩んでおり、体制への反抗を訴える彼らに共感した」という証言が入るあたりが、アメリカっぽいなと思いましたw
トランプ政権になって少し状況が変わりましたが、撮影当時はちょうどポリコレ全盛期と被ってるので、「Speak Your Sexuality」ブームですね……。
BTS人気が最初に爆発したのは2014
最初に世界が気付いたのは2014 KCON頃からだ、という話がありました。当時KCONでバンタンにインタビューしたダム・ファウンデッドが出てます。

彼はアジア系アメリカ人のラッパーで、バンタンにとってはある意味先輩ポジションにいます。
バンタンとARMYが「バン!」「タン!」って韓国語で掛け合いをやってる光景に喜んでおり、アメリカ音楽界のマイノリティ住人が新しい時代到来の予感に驚いている気配を感じます。


KCONとは
K-POPショー+韓流文化体験会みたいな、大型カルチャーイベント

ダムがナムペンであることもあって、ここでは「RMの英語力を通じて世界とつながり、ファン層が一気に拡大した」と語られています。
BTS 1st Fan Meeting in Europe & South America
ちょっと時間軸が前後して、KCON前にやったペンミの様子が出てますね。
ちなみにデビューからの流れは、「韓国デビュー→日本デビュー→北米・南米・ヨーロッパで顔見せ→KCON」になり、この後はもうワールドツアー「The Red Bullet」に入ります。

メキシコARMYが出て来て、壁に書いた曲のコードをスマホで読み込み、楽しんでる様子が映ってます。わあ面白い( *´艸`)
「バンタンがスペイン語圏に目を向け始めた。『血、汗、涙』にもラテンのフレーズが感じられる」という話をしていて、楽曲面からもグローバル展開を印象付けているのは珍しい論調ですね。興味深いです。
ここで「黄金マンネ」の用語説明が入ってますが、字幕のせいか一般的な「マンネ(集団内の年少者)」と混ざってた気がします。
発音が「マクネ」で海外っぽいですね💜
「マンネ」はオックスフォード英語辞典にも載った、有名な韓国語。
「막내」をローマ字表記すると「mak-nae」になるので、「マクネ」と呼ぶ海外ARMYもいる。
韓国語的には、鼻音化ルール(kとnが続いたらngになる)により「マンネ」発音になるので、ローマ字表記を気にしないイルアミはそれに慣れている。
ちなみに「黄金マンネ」は一般名詞ではなく、リーダーのナムさんが何でも上手にできるグクを褒めて付けたあだ名。
メキシコシティでのK-POPバザーが映っており、メキシコARMYがお買い物中。仲間を集めて誕生日パーティをするらしく、ユンギのパネルが欲しかったのと即決お買い上げしてます(480メキシコペソ=3,750円くらい?)。
待って、何でそんな普通に等身大パネル売ってるのw 日本でも新大久保とか鶴橋行けばあるの?
著作権グレーなマーケットだと思うんですが、公式全面協力映画で思い切り映してる辺りがK-POP界らしくて、ちょっと笑いました。ちなみにこの後の韓国シーンでも、公式じゃないグッズショップっぽい店内が映ってます。
誕生日パーティは20人くらいいた気がします。
このへん、集まってる人が皆Big Hitのロゴキャップとか(時々ジン君が被ってるやつ)、カエル目玉のカチューシャ(タリョラEP.51バイキングクイズ回のやつ)つけてて、一目でARMYってわかりますね。素敵w

中に「人と親しくなるのに時間がかかるタイプ」なユンギペンさんがいたのですが、その人愛のあまりファンベース作ってトラック走らせたり、ユキヒョウの里親になって「ミンユンギ」って名前つけたりしてたので、推しの存在ってすごいな……と顎を落としました。めっちゃアクティブやんw
薄紫色のチャドル(全身を覆うタイプの被り物)が印象的な、インドネシアARMYも出ていて、このファンダムの多様性を見せています。
テテペンで、「彼は天然なんです。それから……すごくセクシー。夫がこれを見ないよう祈るわw」って言ってて、一気に親近感が湧きましたw

Tokopediaの出演回がちらっと映ってました。
これインドネシアの大手オンラインショップらしくて、一時期バンタンがCMしてました。自分がインドネシアARMYなら、あの動画一生再生しますw
ファンによる翻訳ネットワーク
私が映画を観てて、「おっ来た来た!」と拳を握ったのは、「Bangtan Subs」の話が出た時でした。
初期に出会って、その活動の凄さに感心し、「さすがグローバルファンダム、やることがでかいでぇ……!」と思ったことがあるんですよね。出てたのは、翻訳者のフェイスとアディティ。
「Bangtan Subs」とは?
防弾少年団デビュー前の2013/5/5に設立。
ARMYによる、非公式・非営利の韓国語コンテンツ翻訳ネットワーク。英語が中心だが、欧米・オーストラリア・日本など多くの国からARMYが参加。
世界中のARMYが「BTSが実際に何を言っているのか・文化的背景ごと理解したい」という思いに応え、翻訳者自身が韓国語・韓国文化について調査・討議しながら字幕や投稿を作成している。

バンタン人気が世界に広まった背景には、各音楽番組などから無料映像が大量に出て消費しやすかったというのがあると思いますが(実際ブラジルで流行った理由がそれ)、そこでの功労者はこのARMY達に代表される、翻訳・字幕ARMYだと思うんですよね。
そりゃ著作権的には公式がやるのがベストかもしれませんが、こういう文化の相互理解を含めた翻訳を愛情マシマシでやってくれるとか、ほんとファンでないとできない部分があると思うんですよね。
あの同時に喋るバンタンの翻訳、めっちゃ大変だと思います。本職さんもよく手が止まってますよねw 皆さん本当にありがとう!!(エキサイト)
プロの付けた字幕のクォリティは、もちろんすばらしいです。
しかし、ファンの付けた字幕は、「キャラを理解している」「落とせないセリフをわかっている」の2点で、多少の拙さがあろうが、それをカバーして余りある品質になります!
彼らが文化間の誤解を解いてくれました。その存在がなければ、翻訳ファンダムでの共同作業は無理だったと思います。
韓国文化への理解をSNS側から深めたとして、YouTuberのDKDKTV(韓国人2人組による英語コンテンツ)さんも紹介されてます。
リアクションから始まり、『SPINE BREAKER』『뱁새 / Silver Spoon』』といったバンタン曲歌詞に含まれる社会背景などを解説したとのこと。
BTSに関する発言で一回炎上したことあるらしくて、映画の中でその件に触れてました。
彼らの歌詞解説が見たい場合は、この再生リストからどうぞ!
ファンダムが投票に参加した日
2017、ビルボード(BBMAs)で、当時ジャスティン・ビーバーが連続受賞していた「Top Social Artist」賞にノミネートされたBTS。
投票していたARMYのエイミーが、当時を振り返ります。
あの時、ファンダムが初めて連携して投票しました。
バトンパス方式で、KST(韓国基準時)にするとまず4:00にアメリカが投票を開始。これはカナダや南米大陸も含まれます。
アメリカが寝たら、次はヨーロッパが投票をし始めます。
これは噂ですが、北朝鮮からも投票があったと聞きました。
それまで投票などにはあまり参加せずにいましたが、彼らが望むなら投票しなきゃ!と思ったんです。
BTS ARMY! Top Social Artist winners @BTS_twt will be hitting the stage to perform "DNA" at the @AMAs on 11/19! 🙌 #BTSxAMAs pic.twitter.com/Y5uGELlLKd
— Billboard Music Awards (@BBMAs) November 3, 2017
世界中のARMYが協力した結果、バンタンは他の候補者に2桁の差をつけて受賞。
「何故アジア人が?と大混乱も発生」したと語られており、実際BANGTANTVのEPISODEにはない、憮然とした表情でステージへ向かうバンタンを見送っている参列者が映っていました。
そこでARMYに浮かんだのが、この疑問。
「Top Social Artist」受賞者なのに、
何故アメリカのラジオで曲が流れないの?
アメリカARMYのラジオ攻略
@BTSX50Statesのメンバーが登場し、当時の様子を語っています。主に語っているのはアマンダさん。
2017年当時、ナムさんが記者会見でHot100に触れたこともあり、メンバー内でその方法について話し合われていた様子。
RM「なんていうか……突然僕たちが1位になったり、目が覚めたら3億ビューになっていたり、ミュージックビデオが10億ビューになっていたり、そういうことを願うのではなく、ずっと僕たちが本当に着実にやっていけば、いつかHOT100で1位になるという夢も、一度は大胆に見てみることができる日が来るんじゃないか、という考えで今活動しています。
なので、まずはHOT100に入ってみよう、韓国語の歌でHOT100に入ってみよう、それが僕たちの目標です。夢はいつも大きく持っています」
結局メンバーがHot100チャートマネージャーに直接問い合わせたところ、親切に教えてもらえたそうです。
当時を振り返って、「彼は後悔したでしょうね、怪物を野に放ったわけだから」って言ってて笑いましたw
必要なのは「配信、売上、そしてラジオ」。
早速オンライン上にオフィスを設け、リクエストを呼び掛けたそうです。見た感じ、ワンクリックでラジオ局に直接電話がつながるようになってたのかな?
でもラジオ局からはにべもなく門前払いを受ける日々が続きます。
「誰それ」はまだしも、「本物の曲でないと」「中国の曲はかけない」など、K-POP夜明け前と言うか、アメリカ人はアメリカの曲が聞きたいはずだ、そうだろ?的なナショナリズムを感じる局側の反応が語られてました。
二カ月半苦戦したところでKISS FMのDJ サシーにツイートしたところ、たまたま彼女の目に留まります。
「聴いたことがあるわ。かけてほしいのね?」と、放送してくれたのが運命の『DNA』。アマンダさんが曲紹介コメントしてました。
キャッチーな曲調を気に入ったサシーはMVを見て即ハマり、「上司に何を言われるかわからなかったけど、リスクがあってもかまわない」と決意。
しかしARMYが逃さずキャッチしてくれて、5,000人だったKISS FMのフォロワー数が、夜2回目の放送時には36,000人になっていたなど、目に見える反響を呼んだそうです。ちなみにサシーはグク推しw
長い間、K-POP音楽の重要性について率直に語ってこられましたが、K-POPムーブメントを支援することで、あなたとあなたの放送局はどのような価値を得ましたか?
このことについて話せて本当に嬉しいです。というのも、私がBTSをかけ始めた頃は、彼らをかける番組はごくわずかだったからです。『Mic Drop』のことではなく、もっと前の話です。私は、彼らが最初にラジオを試みた曲『DNA』をかけていました。私はK-POPをしばらく聴いていましたが、このグループとこの時代の音楽には何か特別なものがあり、「これは良い……これはうまくいく」と思ったのです。
今やBTSは地球上で最大のグループとなり、すべての番組担当者が彼らの一部を欲しがっています。BTSの熱心なファンであるARMYのおかげで、私の放送局はEntercom(訳注:ラジオ放送会社)でトップのリスナー数を誇るTop 40放送局の一つです。私はARMYの一員であることを誇りに思います。
当時K-POPアイドルファンは「少女=購買力がない」ので対象外と思われていたのか、サシーが「@BTSX50Statesのメンバーに、アイコンをアイドルじゃなく自分の顔にし、多様なファンがいることを見せるよう助言した」という内容の話をしています。
実際、メンバーには弁護士・デザイナー・看護師など、様々な職業の人がおり、ミレニアル世代(80~90年代生まれ)がメインだったようです。
テネシーのBTSレディと、ソウルのダンストレーナー
わりとしっかりフォーカスされてるARMYは、他にも何人かいました。
テネシー州に住んでいるジャッキーさんは、ご夫婦共にARMY。
BTSの曲を聴いて鬱から立ち直る経験をし、「地域の人はBTSを知らないだろうから、知らせるために何かしたい」と思って広報家になったそう。
映画で映ってるフェスティバル、この人が主催者だったんだwww

ソウルでBTS曲専門のダンススタジオ「DANCING BORA」を開いているチェヒョンさん。
『Let Go』のダンスをめちゃめちゃ練習し、バンタンが見てくれるかな~と思って投稿したところ、コメントに「ダンスを教えてほしい」とあったのが、きっかけになったそうです。
これ、日本語で作って日本で出した完全日本語曲だから、日本公演でしかパフォーマンスしてない気がするんですが、円盤買ったんですね。
いやこの曲のダンスめっちゃいいから、お気持ちわかります!!
私この曲の振付け大好きです。フォーメーションがクルクル入れ替わるし、ペアでの動きも入ってて、見てて飽きないですね。
立ち去る仲間の背に手を伸ばすなど物語性も強くて、バンタンの良さが炸裂してます。
(注:まだ語ってるので是非感想記事をお読みください!)

他にもカバーダンスをしているARMYが出て来て、ダンスを通して自分のセクシュアリティを見つめ直した話をしてます。
推しを通して自分語りをするのが好き、はオタクの本能ですが、そこにセクシュアリティが入ってくるのは、イルアミ感覚だと珍しいですね。積極的なカミングアウトが認められる文化から発信されてるドキュメンタリー、って感じがします。
ジミンちゃんの仕草などを指して、「見たことがないジェンダー表現が出てくる」と語っており、非常に印象的でした。
どれのこと言ってるのかが、めっちゃ知りたい。メンバーに対し上から抱き締めていく包容力なのか、すんごい勢いでオラみ出してくる釜山男子っぷりなのか……!
ストリートでの、『FIRE』カバーダンスシーンが映ってます。
キム・ミンソンさんとスティーブ・アオキ
HYBEのBTS専用練習室から、Big Hitパフォーマンスディレクターのキム・ミンソンさんがコメントしています。
パフォーマンスディレクターはパフォーマンス全般に関わり、統括します。
カル群舞は完璧を追求し、ただ1つのミスも許しません。カル群舞はまさに血、汗、涙の物語なのです。
ちなみに「カル群舞(칼군무)」とはK-POPを代表するダンススタイルのひとつで、中二病的に言うと「刃の舞」です。
全員の動きが徹底的に揃い、まるで刃物のように鋭く美しいグループダンスのことで、バンタンもデビュー前にフレーム単位で揃うまで練習したという逸話が残ってます(パンPDが、当時俺もちょっとアレだったニュアンスで振り返ってました)。
スティーブ・アオキ(Steve Aoki)も出てますね!
自作のBTS×アオキコラボジャケット着てて、凄いインパクト。この人、私の中で岡本太郎と同じ引き出しに入ってます。

2016年頃、Big Hit Entertainmentから「アメリカで広めたい曲があるから、リミックスを頼みたい」と連絡があった。
人が踊りたくなるような曲にということだったので、どんなビートにするか、どんな音にするか、考えたよ。
BTS人気とK-POP人気が重なって、曲はアメリカで大ヒットした。彼らの音楽は、国境を越えたんだ。
スティーブ・アオキの言葉を映像化するように、今度は世界中のARMYが参加しての『MIC Drop (Steve Aoki Remix)』カバーダンス映像が流れます。
先に出たソウルのダンスインストラクターさんを始めとして、ブラジル・シンガポール・デンマーク・フィリピン・ウガンダ・メキシコ・アメリカ(テキサス)・ウクライナ・ベルギー・トルコ・オーストラリア・イタリア・フランス……色んな服装や背景の人々が、同じ曲を愛し踊る姿は感動的です。
さりげなくウクライナ入ってるとこが印象に残りました!
エレンショーやSNLのカットも入っていて、この曲が欧米シーンで広く受け入れられたことを伝えています。
「でも当時、ARMYは彼らの葛藤に気づいていなかった」とのつぶやきに、ああ2018 MAMAが来るんだなと予感し、身構えました。
ARMYの中に残る棘:2018 MAMA
映画の中では、2018 MAMAホビの涙とジン君の「解散も考えた」発言が取り上げられています。
これ個人的に、「2022涙の防弾会食」「2022~2023バンタン入隊」と並んで、ARMYの三大トラウマシーンだと思っています。忘れられないですよね……。
ここはARMYのコメントも多めに拾っていて、当時のファンダムの動揺が伺えました。
グループが弱さを見せた。全員が再契約のため、困難な交渉に挑んだ。
ペースを緩めまいと、BTSは必死だった。
いつも複雑な感情を抱いていた。Billboardやラジオに担ぎ出したのが早すぎて、彼らに重すぎる荷を背負わせてしまったのではないかと。
誰もが知る存在にすると誓い、実際にそうなった。
――でも、名声にはいい面も悪い面もある。

アーティストと共に上を目指し続けてきたファンダムが、彼らの涙を見て立ち止まり、私たちは今どこにいるの?と考えた瞬間のように感じられました。
実際にラジオ活動などをしたアメリカARMYがつぶやく、「担ぎだしたのが早かったの?」はけしてファンの責任ではないと思いますが、でも動いた当人たちはそう考え続けるだろうというのはわかります。
この映画は基本的にARMY目線なので、「その時バンタンや会社はどうしていたのか」みたいなメタ視点の話は出ません。でもファンにとってはその方が自分事として受け止めやすい面があるため、共感を抱かせる切り口になっているように感じられました。
2018年には解散も考えたと、後にジン君が話しています。この時、彼らは自分の人生だけでなく共に育ってきた会社の生死も握る状況であったため、非常に重い決断を迫られていたのではないでしょうか。
未来の保証がない中、バンタンがこの船に再び全員で乗る決断をしてくれたことには感謝しかありませんし、そこには彼ら自身の強い意志を感じます。
2019ウェンブリーでの『EPILOGUE : Young Forever』
LYSYツアーのロンドン公演(ウェンブリースタジアム)で行われた、有名なサプライズ。現地のファンが企画し、事務所に通して実現したという話を読んだ気がします。スクリーンに「ARMY SING」って表示されてるので、運営側が協力してるのがわかります。
映画では、以下の部分のシーンが映っていました。
アミボムでウェーブ。それ自体は他の会場でもあるんですが、ウェンブリーでやると会場の巨大さがよくわかって、圧巻です。
コメントタイムの後、ナムさんがスマホをかざしてフラッシュをつけるように促すと、スタジアム全体が銀河のように輝きます。キレイ……!
そこで流れたのは、『Mikrokosmos』ではなく『Young Forever』。ARMYからのサプライズギフトです!!
状況を飲み込み、思わず「これは反則だよ」って言ったナムさん。目を閉じて歌声に身をゆだねるホビと、会場を愛し気に見つめるユンギ。目を潤ませながら歌うジン君とテテ。涙で喉を詰まらせるジミンちゃん。頬に幾筋も涙を伝わらせながら、一緒に歌うグク。
いくつか、撮影者の名前がある非公式カットが混ざっていたので、FanCamも採用したようです。映画に使用できるレベルのFanCam、ものすごいですね!
パフォーマンスが出来なくなることへの恐怖を歌っている歌なの。大切に思うからこそ、怖くなる気持ちを歌ってる。
私たちは10年間人生を共にしてきた。BTSが完璧になるには、ARMYが必要。ARMYにもBTSが必要よ。
YouTubeのリアクターとマッチョ論
インフルエンサー・リアクター(リアクションする人)であるNicoさんの活動(WhatchaGot2Sayチャンネル)が紹介されています。活動に参加している兄弟のAJJ、いとこのブレイズは二人ともラッパー。
ここでOT7の説明が入ってるんですけど、「One True Seven」だけで伝わるのかw
バンタン界隈では、「OT7(One True Seven=運命の7人=箱推し)」が強く謳われます。
彼らのコメントが興味深かったです。
ヒップホップから色んなことを学んだ。ラッパーとして、ハードでなきゃいけないと思っていた。
でも『Epiphany』を聴いた時、涙が出た。自分の中で何かがほぐれた気がしたんだ。僕はハリケーンに被災し全てを失い、何年もかけて再構築した経験があるが、その喪失と結びついた気がした。
弱さをさらけ出して泣く彼らを見て、感動した。男が泣くのを見ると、クるものがある。
それは文字通り「Epiphany(悟り)」だったよ。自分を愛さなきゃ。
素人意見で恐縮ですが、一昔前だと特にヒップホップには男性性を誇示する文脈があったように思います。アメリカもマッチョ文化ですし、「男らしさ」が重要な社会や世界観の中で生きていたのではないかと想像します。
そういう人がK-POPを見て新しい価値観に触れ、自分を構築し直したというのは、非常に印象的でした。
メキシコARMYのチャドビさんも、同じことを語っています。
この社会では男は強さが求められ、メイクや服装を理由に否定される。
でも彼らは違う。もっと洗練された自己表現を獲得してる。

ここの部分は、映画を観ながら考えさせられました。
私元々文化人類学とかが好きなので、色んな国の人のバンタン論を読んできたんですが、この手の話題はわりと多かったからです。
「男は強くたくましくなければならない」というマッチョ国の人が、バンタンやK-POPのメイク・衣装・スタイル・パフォーマンスを見て、何だこれ!?ってなった話はよく聞きましたが、実際目の当たりにすると衝撃が伝わってきました。
これ、韓国もマッチョ文化があるので、バンタンが海外で売れた時に国内から「男のくせにメイクなどをしている姿を見せ、韓国の品位を下げた」と怒る人がいた、という話も聞きました。
海外の人が「すごい!」となってる横で本国からそういう意見が出たことに、「バンタンの価値を一番知らないのはバンタン保有国の国民」という自虐的な怒りをつぶやく韓国語での意見もあり、受け取り方の多面性に改めて驚いたものです。
バンタンの場合、K-POP世界で生きてきた後、軍隊という強烈なマッチョ界を経験しています。彼ら自身の受け止め方は、何か変わったのでしょうか。私はテテのマッスルボディも愛していますが、以前の彼らを見て価値観の変容を経験した人々は、今どのように受け止めているのでしょうか。
生きている人を推すとリアルタイムで色んな変化がありますが(歴史好きの発想)、こういうケースもあるのだなと変な感心をしました。
ちなみにNicoさんはARMYとのイベント(ReactorCON)も主催しているようなのですが、そのシーンでのコメントもまた印象的でした。
僕たちには互いしかいない。愛する気持ちや理由は、普通の人には理解されない。
彼は「大切にされてる、愛されてると感じる」ということも言っていて、全体的にBTSやコミュニティからの受容が非常に重要で安心できると感じているように見
えます。逆に言うと、それ以外からはそういうものを受け取っていないということなのでしょうか。
マッチョ文化の話と少しつながるのかもしれません。
BTSをきっかけに、「人と異なる価値観を持っている自分」に気づいた人の中には、その時点でマイノリティとしての自覚を持ってしまい、居所をファンダムに求めるケースもあるということなのだろうかと思いました。
ちなみにこのReactorCONのシーン、参加者はほぼ成人以上熟年前後だった気がします。バンタンの活動も長いですから、当時少年少女だった人たちも成長し変化するのだなと感じました。
韓国文化への扉を開くBTS
ナムさんがソウルへおいでと微笑みかけてきます。ソウル市観光協会CM……!

聖地韓国へ行ってみたい、バンタンが歌い話す言葉を理解したい、彼らが食べているものを私も味わってみたい!という欲望は、ファンなら誰でも持つものですよね。
「韓国人以外が(牛の小腸=コプチャン)を食べる理由はBTSだ」ってジョークが出てて笑いましたw
Nicoさんも「韓服買ったんだ」って喜んでます。グクの生活韓服だwww
実際、バンタンは韓国文化とハングルを世界に広めた貢献を称えられ、韓国政府から勲章をもらっています。凄い影響力ですね!
李洛淵(イ・ナギョン)首相はスピーチで、「誇らしいBTSに勲章を授与することを、韓国政府は昨日の国務会議で決定した」と明らかにし、その理由として、「世界中の若者がBTSのハングルの歌詞を書き留め、歌う」と述べ、韓流や韓国語の普及に貢献した功績を挙げた。
ただ、これについては韓国側から冷静な意見も出ていました。
洗練されたK-POPを通じて韓国を知り、韓国をK-POPのテーマパークのように見ている人もいるし、ITに強い未来社会というイメージを持つ人もいる。
だが、そこにある現実はまた違う。実際の韓国には軍隊が存在し、経済格差がある。この国が語るべきことは、他にもある。
コロナ禍がもたらした、ファンダムの変容
アルバム発表後ワールドツアーに出て兵役へ向かおうとしていたところに、立ちはだかったコロナ禍。

しかし皮肉なことに、この期間にBTSの認知度が高まり、多くのファンを獲得しました。そのタイミングで出たのが、全編英語曲の『Dynamite』であり、映画の中ではこれが「POPと英語への転換点」になったと語られています。
Billboard Hot100 一位、グラミー賞ノミネートと、破竹の勢いで進撃を続けるバンタン。LEGOやマテル社からもグッズが出、有名ブランドとも次々CM契約を結びます。
そんな彼らを前に複雑な思いを語る韓国ARMYと、ファンダムの変化を語るアメリカARMY。
正直、少し失望しました。大きく成長した彼らを、遠く感じてしまったんです。
世界中に、同時多発的にファンダムが発生しました。彼らのやり方は……そう、それまでのARMYとは少し違うところもありました。
本国ARMYが「K-POPには相手を守り、応援したくてやりすぎる文化があります」と語り、ジェームズ・コーデンの失言による炎上が取り上げられています。DKDKTVも炎上し、謝罪をしています。

あー、言葉を選んでしまいますが、正直韓国ARMYの突撃精神を、世界中のファンダムが「そういうもの」として学んでしまった感は無きにしも非ずですね……( ;∀;)
弱かったのはデビュー時のこと。今はもう違うと、ファンが言いきれずにいた。
韓国の無名なアイドルから、世界の舞台へ駆け上がったBTS。
彼らを影響力を持つスターとして見ている新規ARMYと、過去の目線を捨てきれずにいる古参ARMYとの葛藤も、垣間見えた気がします。
SNSの使い方も変わり、ルールややるべきことを話し合う場になりつつあった頃、アメリカでBLM運動が起きました。
社会運動に目を向けていくARMY
これアメリカの映画だからなのか、背景が全然説明されていなかったので補足しておきますね。
BLM(Black Lives Matter)運動とは?
アメリカで黒人男性が白人警官に取り押さえられた際死亡した事件をきっかけに、黒人に対する差別や暴力の撤廃を訴える社会運動が世界的な広がりを見せました。
この時、アメリカARMYが当事者として「何かしなければと思った」はわかるのですが、「BTSに集中するのか、現実を巻き込んでいくのか」で迷ってる人がいたり、「黒人層は何故BTSは沈黙するのか不思議だったと思う」という意見が出たりしていて、この社会運動にARMYとしてのベースを持ち込む考えがあることがわかります。
映画の中で本国ARMYが「K-POPアイドルは政治色を出さない」と言っていましたが、ここすごい難しかったと思います。確かにそうなんですけど、韓国政府や国連は既にバンタンを巻き込みまくってましたからね……。
個人的には、アイドルに政治色を求めません。
本人たちがしたいなら自由にしてもらえればそれで良く、こちらからどうしてしないのと訊く必要も感じないため、「発言しなくても普通だと思うが、何故それを意図的な沈黙と取るのだろう」くらいに思っています。
結局、事件から一か月後にバンタンはこの問題についてのポストを出しました。
ここについたコメントを読んでいると、ARMYにも様々な意見があり、けして一枚岩ではないことがわかります。母体がでかすぎますから、初期アメリカARMYのコミュニティのような、密接で許容度の高い集団に戻るのは厳しいですね💦
우리는 인종차별에 반대합니다.
— 방탄소년단 (@BTS_twt) June 4, 2020
우리는 폭력에 반대합니다.
나, 당신, 우리 모두는 존중받을 권리가 있습니다. 함께 하겠습니다.
We stand against racial discrimination.
We condemn violence.
You, I and we all have the right to be respected. We will stand together.#BlackLivesMatter
バンタンはBLM運動に100万ドルの寄付をし、ARMYもそれに応えて同額の寄付を行いました。
「商業に向けられがちな目を、ARMYは活動家へ向けた」と誇らしく語っているアメリカARMYの笑顔が印象的でした。
メンバーのジンは、「海外に行ったときとか、またはほかの状況で、僕らだって偏見にさらされたことがある。偏見は許容されるべきではないと感じている。本当に存在する意味がない」と述べ、「寄付なり、ほかの何かでも、支援するために何かできることはないかと話し合った。そこから会話が始まったんだ。偏見を軽減すべく、何かできることがないかと想像するところから」と説明している。
BTSの寄付が報じられると、感銘を受けたA.R.M.Y.がSNSで決起し、24時間以内に同額を関連団体に募金した。SUGAはファンのこうした行動に感謝しつつも、「自分たちが政治的だとは思っていない。政治主張をしたくはない。僕たちのイニシアチブは、公正な世の中で暮らしたいと思っている誰もが追求したいと思うようなものだ」と説明し、「(BLMを支援することに関しては)すごく簡単なことだと思っている。僕たちは人種差別と暴力に反対だ、ということだ。ほとんどの人がそれらに反対するだろう。自分たちも偏見を経験したことがある。人種差別や暴力の対象にならないことは、誰もが持つ権利だと思っている事実を発信したいだけだ」と語っている。
このシーンは、映画の中でも特にはっきり社会活動に関する意見を述べた部分だと思いますが、それでも語り切るには尺が短く、紹介程度に終わっているように感じられます。
こういった問題について知りたいと思う方は、是非色んな記事を読んでみてください。
2021 「BTS PERMISSION TO DANCE ON STAGE-LA」
コロナ禍を乗り越えてようやく実現した、対面式コンサート。会場を埋め尽くすアミボムの映像が、これでもかと投入されていて、非常に美しいです。
再会を喜ぶと同時に、別れを感じた。お別れが来ると思うと、心が沈んだ。
この意見は、さすがだと思いました。兵役が待ってるのがわかってるんですね。
ストーリーは涙の防弾会食やソロ期をすっ飛ばして、一気にジン君の入隊が発表され、悲しみに沈むファンダムを描きます。
アメリカで、「人気絶頂のアイドルが兵役に行くのはエルヴィス以来です」と報道されている様子が映ってましたが、正直こっちはグループとファンダムの存続もかかってるので、皆気が気じゃなかっただろうなと思います。
当時の痕跡を探してみても、K-POPに詳しい人の方が、軍白期のもたらす影響の大きさを知っている分、完全体復活には悲観的な見通しをしていたのではないかという気がします。離脱した人も多かったようですし。
K-POPでは入隊が一つの区切りである印象も受けるので、それがいい悪いではないのですが、ファンダムに思い入れを持っている人は辛かったのではないかと感じました。
メンバー達が入隊前に残したWeverseライブ配信が流れる展開に、場内でも泣いている人が多かったですね……。
兵役の義務があることが、すごく悲しい。
アイドルを含めた韓国人の日常に、南北分断が深い影響を落としている。

ナムさんとテテからのお別れメッセージは長文なのでリンクにしておきます。
兵役に入ったアイドルの多くが復活していない。
彼らは復活するだろうか?
ARMYは同じでいられるだろうか?
BTS不在のARMYとは何なのか?
ファリダが「すごく悲しい。でも、ポジティブなメッセージを送らなきゃ。BTSが読んでくれるんだから」と、小さい紙に書いたコメントを投票箱のようなところに入れていて、胸が詰まりました。
「彼らが読んでくれる」という気持ちで自分の行動を律せる姿からは、本当に心の深いところで彼らを大事にし続けていることが感じられます。
アメリカンハッスルライフのコンサートに参加してたアメリカARMY・ケイトリンさんも、「彼らの曲を聴くと感じるの。未来は明るい。前へ進まなきゃ」と、涙を乗り越え、韓国で聖地巡りをしながらバンタンの存在を感じています。
皆が色んな思いで、バンタンを待っていたのだなということが伝わります。
2024/6/12 ジン君転役

世界中のARMYを笑わせてくれたナムさんのサックス、ありがとうwww

ジンペンのケイトリンさんは渡韓して、韓国のアミ友と「2024年6月13日のソクジン、晴れ☀️」に参加した様子。この方を通じて、バンタンがまだ若いころから押し続けてきたARMYの姿を見ることができ、時の流れを感じて非常に感慨深いです!
ARMYは偶然に出会った人ですが、必然的に結ばれたコミュニティでもあります。日常の中では得難い関係です。文化・人種・宗教……何もかもが違う人同士が交流する場が、他にあるでしょうか。
転役翌日の短髪ジン君が少し震えながら叫んだ「ARMYーーー!」を最後に、この映画もエンディングへと向かいます。
皆幸せそうでした。推しとの歴史や距離感は違っても、誰もがバンタンを愛し、ファンダムで生まれる関わり合いを楽しんでいる、というのが印象的でした。
意見は色々あるでしょうが、この映画で描かれたARMYならバンタンに見せていいと感じられる時点で、私の中では高評価です。
面白かったです!
未見だけどネタバレは知りたいのでここまで読んだ、という方は是非ご覧になることをお勧めします。
この映画に出てるARMYって、ファンベースなどの活動してたりと、推し活的にはかなり活発な人たちだと思います。国籍や人種も違うので、バンタンへの接し方や推し方、見てるものもそれぞれだと思うんですよね。
でも皆、推しの話をするとつい笑ったり泣いたりしちゃってて、心の中の柔らかい部分(情動)が動かされてる印象がありました。彼らの中に、バンタンへの愛情が住んでいることを感じさせられます。
それは、推しを持つ人なら誰でも抱く感情だと思うんですよね。だからこの映画は、ARMYが見ると共感するポイントがどこかに絶対あると思います。
バンタンの映像もたくさん入ってるので楽しめますし、大体時系列で話が進んでいくので、「そんなことがあったんだ」という発見もありそうです。
公式映像に混ざって、翻訳ARMY・海賊版グッズ・FanCamといった著作権的にはグレーな世界もファン文化として堂々と紹介されてるあたり、さすがK-POPだと思いました。
個人的には、「海外から見たバンタン」「マッチョ文化圏や非アジアから見たバンタン」が描かれているので、その受け取り方に興奮しましたね。
パティ・アンの人脈か、ARMY学者も何人かいましたし、コメント自体も1つの視点に偏りすぎなくて受け止めやすかったです。学びが多いのでオススメ!
アミボムは必要か
この映画、基本的に応援上映スタイル(声出し・アミボム持ち込みOK)だと思うのですが、私が行った時はほぼアミボムなしでした。
その前の「ON:E」応援上映ではめっちゃ使われてたんですけどね。
去年のFESTA期間にBTSドキュメンタリーが3連続上映された時を思い出すのですが、ドキュメンタリーとアミボムは合わないですね。コンサート映像はいいんだけど。
日本人のDNAに刻まれた「人の話は静聴する」という文化が、点灯を許さないのよw
スタッフクレジットの後、『MAGIC SHOP』のステージミックス映像が流れ、「SING ARMY」と表示されるのですが、その時は振ってる人がいました。そこだけは安心して振れますので、最後まで席を立たないでw
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「TIME」誌は何回かARMYを取り上げてます。
ARMYとBTSの歴史をなぞった要素のある長文記事。
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