灼熱のアグリジェント 古代遺跡で干からびる〜イタリア🇮🇹| 40女のヨーロッパ乗り鉄旅 | #20-2
【Day69: シチリア島パレルモ↔︎アグリジェント】
シチリア島の南海岸沿いにあるアグリジェントへ。とにかく暑い陽射しの中、古代ギリシャ遺跡に向かう
🚊96日間の旅エッセイ。前回のお話はこちら↓
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##古代ギリシャの植民地
翌日はゆっくり起きて部屋を引きはらい、シチリアの別の街へ遠出することで夜行列車までの時間を過ごすことにする。
目的地はパレルモから南下した島の反対側にある海辺の街、アグリジェント。
古代ギリシャの植民地として栄えた街とのことで、今でもギリシャ式神殿をはじめとする遺跡が残る街である。
ここを選んだのは、昔もらった手書きスケッチの絵葉書シリーズの一つに荒涼とした大地にポツリと建つギリシャ神殿が描かれていたからなのだ。

アグリジェント、どこそれ?という感じ
列車はシチリア内部を突っ切って走るのだが、レモンの木やオリーブの木で埋め尽くされた畑を通ったかと思えば、見たこともない荒野が続くなどバラエティに富んだ車窓が楽しめる。


##何もない駅
終着駅であるアグリジェントに到着すると、駅はかなりの高台にありホームから遥か彼方に海が見え、海までの広大な平地エリアがどうやら古代ギリシャ遺跡のエリアのようだ。

この高台からあの遺跡エリアに行くにはどうしたらいいのだろう?駅ロータリーを見渡してもバス停らしきものが見当たらない。
タクシーなどもちろんいない田舎町のようで、仕方なく2-3キロはありそうな道を歩いて行くことにする。

##ナポリよりひどい惨状
南に来たせいか日差しはさらに強烈になっていて、少し歩くだけでクラクラと倒れてしまいそうな暑さだ。
遺跡エリアに下りていく道を探して住宅地に迷い込むと、傾斜地に段々と立ち並ぶ家々が見渡せて実に美しいのだが、ここでは今までのどの街よりもゴミの散乱がひどかった。
美しい景観から足元に視線を下ろすと、まるでゴミ溜めに立っているように思えるほどだ。

その足元といったら…
食べかけのごはんや靴など、こんなものまでこのまま捨てるか?と思うほど様々なものが無造作に捨てられた住宅地を抜け、滑り落ちそうなほど急な坂道を降りていく。

これ、行きはいいけれど帰りは何としても交通手段を見つけないと登れないな、と思いながら歩いているとフェンスで仕切られた広大な遺跡エリアに到達した。
##広大な古代ギリシャ遺跡
遺跡エリアはかなり広大なようで、一体どこから入れば良いのか分からない。

さらに下って何とか入口らしき場所に辿り着いた頃には暑さでクラクラしていて、もうこの炎天下の中、日陰のない古代遺跡を見て回る元気は残っていなかった。
モンセラートやニースの旧市街のように、絵葉書と完全一致の景色を写真におさめたかったのだが、道路からチラリと間近に見えたギリシャ神殿を、開けた場所からのぞむ絵葉書の風景がどのあたりなのか検討もつかない。


遺跡エリアの入場料も高いし帰りの列車までそんなに時間はないし…遺跡を見ないで引き返す言い訳だけは次々と思いついてしまう。
絵葉書の場所特定も、ニースの感動以上のものが得られるとは思えないし。
⭐︎ニースでの絵葉書場所特定のエピソード↓
##素敵な人生の先輩たち
もう引き返そう、そう決心して今度は帰りのバス停を探す。
バス停らしき場所で待つヨーロピアン老夫婦に声をかけ、
「これはアグリジェント駅まで行きますか?」
と尋ねると、フランス人らしく英語が分からないといった仕草をされる。
そして「日本人?」と聞かれた上で、先頭あたりに座って並ぶ人を指さし、「日本人がいるから彼女たちに聞いてみたら?」と言われたようだ。
見ると完全なる日焼け対策をした60代くらいのアジア女性が2人座っているのだが、派手目な色のつば広帽子やサングラスのせいでどこの国の人なのか判別がつかない。
恐る恐る近づいて、
「日本の方ですか?」と声をかけてみると
「あらー!日本人!珍しい。この旅ではじめて会ったわー」と元気な反応が返ってくる。
確かにシチリアに来てからまだ日本人を見かけていないので、彼女たちにとっても突然日本語で声をかけられて驚いたのだろう。

鉄道駅の先にバスターミナルがあって、バスはそこまで行くこと、バスターミナルと駅は歩いてすぐということが分かった。
そこからお二人のトークが止まらず。
お二人はイタリア好きの旅仲間で、今回の旅ではシチリアの東側を中心に旅をしているそう。
今日はシラクサから少し足を延ばしてバスでアグリジェントに来たそうだ。
「ひとり旅なんて勇気あるわねー!でも私も若かったらやりたかった!」
「夜ごはんとかどうしてるの?一人で困らない?」
と矢継ぎ早に質問される。
「夜はレストランであまりたくさん飲めないのが辛いですねー」
と言うと、彼女達も大のお酒好きらしく
「私たち毎日ボトル1-2本飲んでるわよ!時間あったら一緒に飲みましょうよ!」と嬉しいお誘い。
今日はこのまま夜行列車で本土に戻ること、次の目的地はアルベロベッロであることなどバスに乗ってからも賑やかな日本語トークが続き、楽しいひと時。
「だんだん年を取るとひとり旅は不安になるからね、あなたもお酒好きの旅友達を作るといいわよ~」
と人生を楽しむ先輩として何とも有益なアドバイスをいただくとともに、パワフルに旅を楽しむお二人が眩しくて私もまだまだ色々な旅をしよう!と夢が膨らむ。
バスターミナルで元気な彼女らとお別れし、次の列車まで簡素な売店でまたもやアランチーノとジェラートを食べながら空腹と暑さを和らげたのだった。

駅から見回しても気づかなかったわけだ
##パレルモで楽しいディナー
21時前にパレルモを出発する夜行列車まではまだ時間がかなりあるので、パレルモ駅近くの雑多な市場ゾーンを歩き回り、疲れてきた頃合いで駅前のトラットリアに恐る恐る入ってみる。

細かい三つ編みしてくれる店がたくさん
家族経営の食堂といった風情の小さな店内は温かみある清潔感に溢れていて、メニューに迷っているとイタリア親父らしい恰幅の良いお父さんがイタリア語とジェスチャーでアドバイスをしてくれる。
お勧めのパスタと白ワインをデキャンタでオーダーすると、すぐに見慣れないスナックのようなものを持ってきてくれた。
ナニコレ?と不思議そうにしていると、何やら名前を連呼してくれるが初めて聞く言葉で正しくオウム返しできない。
クロス代わりに敷かれた白い紙に“PANELLE”と書いてくれて、これがパレルモでよく食べられているひよこ豆のスナックであることが分かった。ひよこ豆とは、なんだかアラブっぽい。

この写真は撮ったのに肝心の食べ物が映ってない!

次にやってきたパスタがメカジキのスパゲティ。初めて見る味の想像がつかないパスタだが、一口食べて感動!
お魚がふわふわでスパイスが効いた複雑な味わいはなんとも形容しがたい絶品パスタだ。

食べ進めてみるとミントの葉がたっぷりと混ざっていて、ミントとスパイスがお魚の臭みを消しているようなので、これまた北アフリカの香りを感じる。
このエキゾチックな味わいがシチリア料理ぽさなのだろうか、シチリア滞在の最後に絶品料理に出会うことができた。
おじさんに「ボーノ!」を連呼し美味しいことを伝えていると、うちのレモンチェッロも美味いぞ!とさらにレコメンドされるので、このまま列車でコテンと寝るべくレモンチェッロもオーダーする。

これまた本当に美味しい!気を良くしたおじさんはサービスでメロンを出してくれて、夜行列車に乗るという私を盛大に送り出してくれた。


🚊次回、夜行列車で本土へ戻り、三角屋根の家々で有名なアルベロベッロを目指す。が、公共交通でのアクセスは難易度高すぎて…
📘この投稿は「40女のヨーロッパ乗り鉄旅」の一編です。全編はこちら↓
