テニス上達メモ538.総理指名戦の今、「自分スタイル」から見た拉致問題とテニス
テニスも拉致問題も、形は違っても「本質」は同じ。どちらも、今ある現実の中で、どう立ち向かうかの「闘い」。勝ちたい、取り戻したい、諦めたくない──。「自分スタイル」で、世界と向き合う。
▶国会は「指名戦」の真っ最中
総理大臣指名選挙を巡り、揺れる政局。
政治家は「国民のため」とは言うけれど、それを善とすること自体が「不道徳」だと、ニーチェは言うのです(参考図書『道徳の系譜』)。
いっそのこと「自分たちはこれがやりたい!」などと言ってくれたほうが、結果的に「国民のため」になるのかもしれません。
もちろん政治家にも忙しい事情があるのは分かるけど、だからこそプライオリティが大切です(関連記事「⑧アルペンスキーのようにタイムを競うスポーツは、何に集中?」)。
▶「スピード感」って、誰の感覚?
物価高対策。
消費減税。
拉致問題。
政治家は「スピード感を持って」とはいうけれど、スピードとスピード感は、違うのです。
スピード感は、人それぞれ。
3日を「早い」という人もいれば、「遅い」という人もいます。
またたとえ同じ人でも、対象や状況、時期などによっても、感じ方は変わります。
同じ人でも待たされる3日は長いけれど、締め切りとなると3日は短いのです。
▶24年という「待たされた時間」
NHK『ネタドリ』。
蓮池薫さんが新潟県柏崎の海岸から、蘇我ひとみさんが佐渡市(当時 佐渡郡真野町)から、北朝鮮へ拉致されていた期間は24年。
日本へ帰国して間もなく、同じ24年を迎えると言います。
「スピード感を持って」という政府の感覚では、間に合いそうにありません。
必要なのは、1年以内などという具体的な時間=スピード。
期限を決めると、人は動く。
▶テニスにおける「スピード感」の正体
一方、テニスのプレーで有利不利を左右するのは、スピードよりもスピード感です。
興味深い動画をご紹介いただきました。
「遅すぎて返せないサーブが最強すぎる」
相手の遅いサービスにレシーバーが応じるのは、技術的には簡単なはずです。
返せなくなるのは、「イメージがズレる」から。
ですからもし、武器になるビッグサーブがなくて、サービスゲームの主導権を握れず攻めあぐねるのであれば、極端にスピードを落として山なりに打つのも一考。
スピードではないのです。
▶「遅すぎて返せない」現象の理由
大坂なおみもジャパンオープンの2回戦、手こずったそうです。
「ラメンスはサービスの威力こそないが、時速120キロ台のセカンドサービスに、大坂はむしろタイミングをつかみあぐねる」
Yahoo!版
https://news.yahoo.co.jp/articles/11604661c62cf2692db55310a51debd130b290a4?page=1
配信元のTHE DIGEST版
相手のイメージをズラす操作さえ叶えば、簡単に乱調を誘うことができる。
ご自身は相手に対して「なんで勝手にミスするの?」などと、不思議に思うかもしれませんね(関連記事「極意は?」)。
しかし相手はイメージをずらされると、どんなに頑張っても、ボールをよく見て集中しても、つまりどうしても、ミスしてしまうのです。
▶「仕方がない失点」にいちいち反応しない
無論、遅いサービスを打てば相手レシーバーが必ずミスする、というわけでもありません。
先述したとおり、速さではないからです。
もちろん対応できる閾値を超えると、追いつけないなどによる失点もしますが、それは「仕方がない」こと(関連記事「おまけ4・自己肯定感が高まる『実用の5文字』by明石家さんま」)。
仕方がない失点まで残念がるから、自己肯定感を損ねるのです。
また同時に、相手選手に対するディスリスペクトでもあるということは、 繰り返し述べてきました。
▶「イメージのズレ」について書いた作家は誰?
ではなぜ、簡単なはずの遅い相手のサービスを、レシーバーはミスしてしまうのか?
これが「現実に対するイメージのズレ」のなせるわざなのです。
もっと速く(それに伴い深く)飛んで来るイメージがあるのに、現実のボールは遅い(それに伴い浅い)から、身体はイメージに引きずられて、打球タイミングを取り損ねてしまうのです。
いつも同じ例ばかりで恐縮ですが、いえ、脳は繰り返し復習しないと忘れるから、もっと言えば「KTK(高速大量回転)」しさえすれば定着するので、あえて何度もお伝えしているのですけれども、村上春樹流に言うと「イメージのズレ」とは、待ち合わせの時刻と場所は合っているのに、日付が違っているようなもの(参考図書『女のいない男たち』)。
2人が絶対に「会わない」のと同様、イメージがズレていると、打球タイミングも絶対に「合わない」のです。
言い換えれば、「打ち方」や「フォーム」をどんなに変えたところで、ショットの結果は変わりません。
▶「100ミリリットルの例え」が教えるもの
ほかの例でいえば「100ミリリットルはこれくらい」というイメージがあるのに、現実はもっと多かったり少なかったりした場合、量をぴったり合わせることはできませんよね。
だけど100ミリリットルのラインが引かれているビーカーを使えば、ピタリと合わせることができるのです。
▶「基準」がブレを止める
またイメージはショットの速さばかりではなくて、風の有無や、サーフェスの違い、弾道の高さ、あるいは対戦相手の体格などによっても、グラグラ揺らぎます。
ビーカーの筒が太かったり細かったりすると、100ミリリットルに関する量を誤りがちなのと同じです。
しかし基準線があれば、迷うことがなくなる「正確性」が手に入るのです(関連記事「ところが、だまされてしまう!」)。
▶ズレをなくせば「勝手に」強くなる
テイラー・フリッツや大坂なおみクラスでも、イメージがズレると上手くプレーできませんでした。
200キロは返せても、120キロは返せないのです。
それが証拠に、思い当たる節はないですか?
「簡単なはずのボールなのに、なぜ自分はミスしたのだろう?」などと。
ご自身も、打ち方やフォームではなく、「イメージ」について学んでみませんか?
もちろん、フィジカルにもよる限界は否定しませんが、今よりもっと速くて、もっと正確で、もっとコントローラブルで、もっと安定したショットを、操るテニスができるようになりますよ。
そして、こう思うのです。
「簡単なはずのボールなのに、なぜ相手はミスしたのだろう?」などと。
▶テニスを通じて見た拉致問題とその課題
テニス(のサービス)では、速さそのものよりも対戦相手に「どう感じさせるか」というイメージのズレに由来する「スピード感(それに伴う距離感)」が、勝負を左右します。
一方、拉致問題の解決では、漠然と「速く」と言うだけでは不十分。
被害者の帰国までの期間、政府の対応を鑑みると、必要なのは「1年以内」などという具体的な期限、そして(スピード感ではなくて)行動の「スピード」。
期限が明確なら、人は動きやすく、進展への道筋も見えてくる。
▶テニスコートに「居場所」がない
拉致問題とテニスを一緒くたに書くなんて、不謹慎のそしりを受けるかもしれません。
だけど空気なんて読めなくても、(何も上げないよりは)声を上ればいいと思います(関連記事「『その教え方ではできません!』と声を上げる」)。
私もかけ出しのころ、一般的なフォームを教わるレッスンに参加した経験がありますけれども、「どんどん打てなくなる自分」に居場所のなさを感じ、一刻も早くお家へ帰りたくなったことがありました。
▶現実的なイメージを持ち、タイミングに合わせて動け
たとえばミュージシャンが反戦を歌い、写真家が目の前の現実を切り取るように、私にできるのはテニスを通じた世界の「見方」(関連記事「『見方』が大事」)。
テニスも拉致問題も、「本質」は似ていると思うのです。
状況について現実に即したイメージを持ち、タイミングに合わせて、動く。
違いは、舞台とルールと、選べる自由。
それでも、揺れる思いはともにある──そんなことを、ふと感じて書いたテニス上達メモ。
即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
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テニスゼロ代表
吉田無型(よしだ・むけい)
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スポーツ教育にはびこる「フォーム指導」のあり方を是正し、「イメージ」と「集中力」を以ってドラマチックな上達を図る情報提供。従来のウェブ版を改め、最新の研究成果を大幅に加筆した「note版アップデートエディション」です 。https://twitter.com/tenniszero