質問190:試合でビビる、勝ちきれない…そのときどうする?──集中とパフォーマンスをめぐる11問11答
質問
冬にスキーをしておりまして、週末にテニスをしていませんでした。
テニスzeroのブログは時々チェックをしておりました。
ブログやテキストまた再開したいと思います。
スキーをしていてテニスに関する疑問が出てきたのがありましたので、
テニスに関することとそれ以外のスポーツとで質問させていただきます。
いままでブログであげていただいたことと重複しているかもしれません、そのときは申し訳ございません。
(回答とともに関連する上達メモ・質問回答があれば、あげていただけると助かります)
中にはこんなことを聞いていいのかな?というのもあります。回答が重複する場合はまとめて下さって結構です。
また、数が多いので、順次の回答で構いません。
◆テニス関連;
① 過去に負けた場面があり、テニスで5-3とリードしている場面で、6-3と勝ちきる切るにはどのようなことに集中すればいいのでしょうか?
② いい流れでゲームを終え、コートチェンジで休憩するときはどのようなことを考えればいいのでしょうか?(余計なことを考えてしまうので…)
③ずばり、びびったときはどうするか?
・勝ちびびりをなくすには?
・相手が強くて、びびってしまったときはどうすればいいか?
・フレームショットになり次の打球で置きにいってしまう(ざっくりでもいいから、思った方向に飛んでくれればいいのにと思うが悪循環になる)
④「違和感」を感じたときはどうすればいいのでしょうか?
⑤距離感を自分の身体に植え付けさせる工夫として、“プレーとプレーの間に、ラケットの面の真ん中にボールを当てるように、ボール突きをする”のはどうか?それだけに集中するのはどうか?ボールに集中すれば、勝手に身体が距離感を合わせてくれると考えてよいのでしょうか?
⑥ラリーの最中に、ボールに集中するための工夫として、
ボールが自分の打点に近づいてくるときに、あらかじめ打つと決めたコースを狙うために、「ボールのどこどこに当てる」というような、釘を刺すように方向を自分の頭の中に印をつけるのはどうか?
⑦「身体に染みこませる」という表現をスポーツの練習で使いますが、
テニスで言えば、“動きの確認と定着(自動化)は素振りで繰り返しておこない、ラリーの時にはボールに集中するということ”に当たると理解してよろしいのでしょうか?
◆テニス以外(zeroの考え方が使えるのか素朴な疑問が沸いたので質問させていただきました);
⑧アルペンスキーのようにタイムを競うスポーツは、スキーの動きに集中すればいいのか?リズムに集中すればいいのでしょうか?
⑨ 車のレース(特にパリダカールラリーのようなもの)はどこに集中すればいいの か?車の動きなのか? ライバルの車が存在したり、障害物があったりと状況は刻一刻と変わります。
⑩ プロ野球選手などプロスポーツ選手が、アウエーの時に、ヤジなど浴びせられることがあります。彼らは、どのように集中力を発揮するのでしょうか?
⑪ フィギュアスケートの演技では、集中のしどころ(テニスで言えばボールにあたるもの)がどこなのか?どうやったら5分以上の長い演技を再現できるのか?びびったりしないのかいつも見ていて不思議になります。
以上になります。
長くなり申し訳ありませんが、回答をよろしくお願いいたします。
以上
回答
◆テニス関連
①5-3リードから勝ち切るには?
集中の対象は、テニスであれば、インプレー中はつねにボールです。
アウトオブプレーでは、ストリングの交点など(関連記事「雑情報に対して『手ぶら』でいるのは危険!」)
5-3リードで、「あと少しで勝てる!」「次のゲームは慎重にいこう!」
そんなふうに何か(結果ややり方等)を考え出すと、それまでの調子は音を立てて崩れます(関連記事「好調が崩れた誘因」)。
特にリードしているときは「変えない」のが鉄則(関連記事「良い流れは変えない」)。
なので、戦術について考えるなどを含め、思考から離れてください。
リードの流れに身を任せ、自分が「無」でいると、結果的に勝利を手繰り寄せます(関連記事「ノボトナの涙」)。
▶②チェンジエンドで休憩するときは?
最も避けたいのは、自分に意識を向けてしまうこと。
つい、「さっきのミスはああだった」と過去を振り返ったり、「次はこうしよう」と未来について考え始めたりしてしまいがちです。
意識を頭の中から引きずり出して、外側の対象(①を応用)へ向けるのがよいと思います。
▶③ずばり、びびったときはどうするか?
ビビったときは、ビビリを否定せず、ビビった自分を認める受容が肝心です。
「ビビらないようにしよう!」「いや、ビビってなんかいない!」と否定すればするほど、セルフトークモードへ(関連記事「セルフトークをなくすには? 」)。
受容するには、まずビビっている自分に気づけなければなりません。
ビビリは、気付いた時点でもう半分は解消したようなもの。
客観的な視点で見ている自分がいるわけですから、半分は他人事みたいなものだからです(関連記事「『念力』は苦しい感情の『万能薬』」)。
なお、ビビリは悪くありません。
ジム・レーヤー博士は、4階層あるうちの最高位である「チャレンジ」の次に、「ビビリ」を位置づけています。
▶④「違和感」を感じたときはどうすればいい?
練習では、違和感は先生です(関連記事「『違和感』は心が伝える重要なシグナル」)。
イメージ? リズム? タイミング?
何かが「ズレている」ことを伝えてくれているシグナルです。
とはいえ試合中にとらわれると、そうも言っていられません。
違和感に不快感を覚えるならば、自分の内側に意識が向いているからです。
違和感があったときは、外側の対象にフォーカスしてください(①参照)。
ですから、外側の対象に意識を向ければ、違和感は和らぎます。
▶⑤ボールに集中すれば、勝手に身体が距離感を合わせてくれる?
そうとも限りません。
保有しているイメージがズレていると、距離感は、どんなにボールに集中しても合いません。
換言すれば、イメージが現実どおりであれば、あとはボールに集中すれば、距離感は身体が勝手に合わせてくれます。
後述する⑦をご参照ください。
なお“プレーとプレーの間にボール突き”をしても、飛んでくるボールの距離や速度との乖離が大きすぎるので、その感覚は流用できません。
▶⑥「ボールのどこどこに当てる」というようなのはどうか?
特別に意図した練習では、いいかもしれません。
とはいえ、ボールのどこどこに当てるというのも、原則的には「意識」していることになるので、「無」から遠ざかります。
深く集中し切ったとき、ゾーンに入ると、人はそういった「どこどこ」を考えずに、ボールをコントロールしてしまうのです(関連記事「ボールをコントロールするのは『場所』ではなく『時間』」)。
不調や期待、願望があると、いろいろ試行錯誤してみたくなる。
それはそれで構わないのですが、そのせいで集中がブレてしまいませんように(私はそれをよく、「思考錯誤」とたとえます)。
「ああしたほうがいい、こうしたほうがいい」などと、自分が自分にアドバイスしてしまうのがセルフ1の「罠」です(関連記事「『やるな』と言われると『やりたくなる』」)。
▶⑦動きの確認と定着は、素振りで習得し、ラリーの時はボールに集中?
動きにはおもに2種類あります。
スイングの確認と定着は、仰せの素振りが役立ちそうです。
一方、ボールとの距離を合わせる動き。
これは「現実に対するイメージのズレ」がない大前提が求められます。
この動きを「身体に染み込ませる」実践が、『テニス・ベースメソッド』です。
この場合は「ボールに集中」を、いったん脇へ置いていただきます(関連記事「現実に対するイメージの一致が必要。その次のステップとして、集中」)。
◆テニス以外
▶⑧アルペンスキーのようにタイムを競うスポーツは、何に集中?
頭が体に「ああせよ」「こうせよ」と、いちいち命令しないこと(⑥の「セルフ1」参照)。
プレーの設計図であるイメージができていて、競技の本質である対象に集中すれば、体は勝手に動きます。
その本質となる対象が何かを見つける作業、これがプライオリティワンで、誤ると何をやってもてんで上達しません。
テニスでフォームに集中するのは、その最たる典型例です。
スキーなどは、感じるがままに動くことが肝要でしょう(関連記事「感性でプレーするのは簡単」)。
「Don't think.feel」ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=2d5o8d1kitM
▶⑨パリダカのようなものはどこに集中?
車のレースなどは(⑧のスキーも)、基本的には「行く先」に集中ではないかと思います(関連記事「ボールに集中すると足が速くなる」)。
ただし、パリダカのような長いレースでは、戦略的な比率も高くなると思われますし、逆に技術的な比率は、状況などにもよるかと思いますがテニスよりも低くなるかもしれません。
その分、戦略により多くのメモリーが割り当てられるのではないでしょうか。
▶⑩プロ野球選手などのヤジは?
プロ野球のアウェーで受ける野次。
確かに集中を乱されやすいですね。
ときに味方の応援であっても集中を乱します(関連記事「伊達公子さんの『ホントにうるさかった』」)。
そのような状況でも集中できるように、日常生活を淡々と送るのです。
何か特別なことをしなくても、てんやわんやの「日常」こそ、最高のメンタルトレーニング道場と禅では位置づけます(関連記事「肥溜めを全部ぶちまけても……」)。
▶⑪フィギュアスケートでボールにあたるものは?
これも⑧の「Don't think.feel」。
ブルース・リーの言う「月を指差すのと似たようなもの」なのかもしれませんね。
決して、手をどう動かすとか、足をどう動かすとか、フォームや滑り方は考えません。
考えると動きがギクシャクするからです。
自然体でなくなるのです(関連記事「自然体を意識すると『不自然になる』」)。
テニスでもフォームを意識すると、動きがギクシャクします。
これが、微妙なタイミングを喪失する原因(関連記事「フェデラーは『5』のタイミングで打つ」)。
自分(の筋肉)に意識を向けるのか、持ち上げる砂袋に意識を向けるのかで、パフォーマンスはかくも違ってきます(関連記事「おまけ1・自分に意識を向ける『使えない筋肉の正体』再考」)。
https://www.youtube.com/shorts/p22GnRnuaSE?feature=share
即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
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テニスゼロ代表
吉田無型(よしだ・むけい)
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スポーツ教育にはびこる「フォーム指導」のあり方を是正し、「イメージ」と「集中力」を以ってドラマチックな上達を図る情報提供。従来のウェブ版を改め、最新の研究成果を大幅に加筆した「note版アップデートエディション」です 。https://twitter.com/tenniszero