テニス上達メモ169.考えないから上手くいく
▶考えることは崇高?
現代社会では一般に、考えることは良いことだと思われています。
思考すること、意識することができるから、ほかの動物と違って人は崇高。
「人間は考える葦である」というフランスの哲学者・パスカルによる一節は、人は非常に弱い存在だけど、考える能力があるから特別だとも、受け取れます。
しかしテニスがすぐに上手くなる人は、考えていません。
フォームや打ち方をどうすればいいかなど、全然考えない。
▶何も考えてなさそうな人ほど、なぜ上手い?
一方、テニスがなかなか上手くならない人は、フォームや打ち方などを、熱心に研究したりする。
そして、試合中の1つのミスを、あとで思い出して、原因を考えたりする。
思い当たる節はないでしょうか?
何も考えてなさそうな人が、すぐ上手くなるのに、真剣にテニスについて考えているあなたが、なぜか上手くなれないという不条理。
周りを見れば、図星なはずです(関連記事「チャッチャと上達していく人たち」)。
サークルやスクールでも、考えていなさそうな人ほど、あなたよりテニスが上手いでしょう。
この矛盾を逆転する方法をお伝えします。
▶バックアウトの原因は何なのか!?
私も昔はそうでした。
どうしたら上手く打てるのか?
なぜ上手く打てないのか?
あのバックアウトの原因は何だったのか……、いつもいつまでも考えていました。
考えるのが崇高だとでも、思っていたのでしょうか。
でも今は、考えません。
ただ打つだけだし、あとでミスした原因を考えることも、ない。
そうしたら、ボールをコントロールする術が、急速に身につきました。
▶カロリー計算するから太る
ダイエットなども、そうですよね。
スリムな人(本人にとって健康的な体型の人)は、カロリー計算なんか、考えません。
お腹が減ったら食べるし、満腹になれば箸を置く。
体の「感覚」に従っているだけです。
別に太っているから良くないなどと、申したいわけではありません。
ただ、ダイエットなんて「考えない」。
だからスリムなのです。
栄養士に太り気味の人もいるのは、豊富な知識に基づいて「考えるから」です。
「医者の不養生」が起こり得るのも同じような理由。
考えて薬やサプリを早くから飲んだりするため、今の時期だと花粉症にもなったりします。
▶考えるから欲望が増える
考えるというのは、人にとってストレスですから、それをまぎらわそうとして、欲望が増えます。
その結果、食べすぎるのです。
太るか痩せるかは、摂取カロリーと消費カロリーの差分によるなどと、研究者や専門家、マスコミの間でも、まことしやかにささやかれますけれども、人の体は精緻であり、それほど単純ではありません(体は精緻。そのシグナルを役立ててアクションを妨げない)。
なのに、身長と体重から割り出した基礎代謝と消費カロリーが合わせて1400キロカロリーだから、摂取カロリーは1200キロカロリー以下に抑えて……
そのためには、ご飯一杯が160キロカロリーで、間食のチョコレートひとかけが80キロカロリーだから……などと「考える」せいで(ダイエットのためには食事について考えないのが理想的なのに!)、食事のことで頭の中がいっぱいになってしまうのです(関連記事「『食べてはだめ』と思うと、食べたくなる」)。
▶なぜ、考えてしまうのか?
考えるのが人にとってストレスなのに、なぜ考えるのでしょうか。
考えることによって危険を回避できる防衛本能の側面は確かにありそうですけれども、現代人は考えすぎるせいでストレスフルとなり、かえって安全が危ぶまれています。
カロリー計算するから太るのです。
そしてより本質的に指摘するならば、考えてモヤモヤ、イライラ、ムカムカすると刺激が得られて「気持ちいい」と、脳が錯覚するからです(関連記事「意識は『猿心』だから」)。
逆に言えばストレスが多い人ほど、あれこれ考えてしまう。
テニスで言えば、上手く打てないストレスが多大なほど、思考が止まらなくなるのではないでしょうか。
「あーしよう」「こーしようかな」「どうしてだろう?」などと考えるときというのは、プレーが上手くいかない窮地だと相場が決まっています。
逆を想像してごらんなさい。
上手くいっているときというのは、あれこれ考えて生じる心身の抵抗感がなく、涼風が吹き抜けるごとく、スパーンと打ち抜ける感じがするのではないでしょうか。
▶考えるのをやめたとき、いきなり上手くなる!
ハッキリ言います。
上手い人は、考えていません。
だけど、だから、上手くなる。
なぜ?
いつもお伝えしているように、「思考と感覚は干渉し合う」からです(関連記事「『馬鹿になれ!』」)。
つまりフォームや打ち方について考えると、ボールが見えなくなるのです。
バウンド音やインパクト音が、聴けなくなるのです。
テニスが上手くなるためには、「感覚」を使わなければなりません。
そのためには、「思考」をやめる。
そうすれば、見えるし、聴けるから、いきなり上手くなります!
▶自ら目隠し・耳栓する人たち
考えながらプレーしていた今までは、あたかも目隠し・耳栓をしながら、テニスをしていたようなもの。
視覚障害のブラインドテニスや、聴覚障害のデフリンピックテニスがとても難しいのは言わずもがなでしょう。
たとえばブラインドテニスでは、晴眼者が目隠しして視覚障害者と組むダブルスがありますけれども、ラケットにボールをまともに当てることすら至難の技。
そんなハードモード設定をあえて自ら課していたから、大きな網の目のついたラケットで、近くて広い相手コートへ打ち返すだけの競技なのに、テニスがとんでもなく難しいスポーツになっていたのです(関連記事「どうして広い相手コートに入らないのか?」)。
▶考えないけど、頭は使っている
考えないからといって、頭を使っていないかというと、話は別です。
ボールを見るために視神経、バウンド音やインパクト音を聴くために聴覚神経が駆使されています。
思考と感覚はトレードオフですから、考えないほど見えるし、意識しないほど聴ける相関。
そういう意味では、意識はしなくても、頭は使っているのです。
ですからテニスは、認知症予防などにもうってつけです。
▶書を捨てよ、町へ出よう
常識的なテニス指導では、フォームや打ち方などについて、「よく考えろ、ちゃんと意識しろ」と、さんざん注意されます。
そうしないと上手くなれないのだと。
しかしそれが、逆だったのです。
「努力逆転の法則」しかり、「顛倒」しかり、「ナイチンゲールの教え」しかり、常識とは驚くほど「逆ばかり」。
考えない。
意識しない。
思考・目隠し・耳栓を捨てよ、テニスコートへ出よう!
即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
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