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質問187:ラケットを替えたいとずっと思ってる(副題:長嶋茂雄と王貞治のバット観に学ぶこと)

※昔にいただいたご質問に対する回答を加筆修正し、掲載していますので、古い情報が含まれます。

はじめまして!私は、テニス歴15年の主婦です。
すごくためになるサイトありがとうございます。
目からうろこです。


相談させていただきたいのは、ラケットを替えたいとずっと思ってるのですが・・・
今は10年前に購入したプロスタッフツアー90を使ってるのですが、もう結構ぼろぼろでヒビのようなものもみられ新しいラケットを買おうと試打し、
実際購入しても1ヶ月もたてば元ラケットに戻ってしまいます。今まで3本ラケットダメにしてしまいました。


試打した直後は「これはいい!これしかない!」と思うのに、2週間・・・1ヶ月たてば、不安になり、元ラケットに落ち着いてしまいます。
試打は1週間しか借りられないし・・・


特に「違う!」と思うのは試合です。
精神的なものが大いにあるとは思うのですが、打つ瞬間「打てない、振れない」感覚に陥りスライスで返してしまったりするのです。
もうそうなると、怖くて怖くていつものスイングを思い出して!とやってみるのですが、実際相手のボールがバウンドした瞬間ふわっとした感じで振れなくなるのです。


どういうときにそうなるか考えてみると相手のボールが活きてない死んだボールで滞空時間がめちゃくちゃ長いときです。
ボールに合わせて、足もとまり上体も起き上がっていて、いつもの後ろ足でグッと溜めて引き込んで打つことが出来てない気がします。


これは、プロスタッフの場合でもそうなんですが、新ラケットでは、全てのストロークにおいて打てませんでした。
相手のボールが勢いがあると割と打てたりします。


自分は、軟式してた事もあり、どっちかというとヘビースピナーです。振ってる割にスピンがかかりすぎてボールが短くなることが多々あります。
あとフレームショットがしょっちゅうあります。


今も実は試打中なのですが、ラケットはプロスタッフシックスワン95です。
元ラケは90なので、フェデラーの340gのにした方がいいでしょうか?


色々質問すみません、よろしくお願い致します。

回答


▶「ラケットの性能<打球タイミング」の相関


まず知っていただきたいのは、ラケットを買い替えたからといって、今まで打てなかったショットが打てるようになったり、スピンがよくかかり出したり、コントロールがよくなったりするという改善が恒久的に起こるということは、ほとんどないという事実です(試打した直後は「これはいい!これしかない!」と感じる理由は後述)。

面が大きかろうと小さかろうと、芯を外す人は外すし、食う人は食います。

数平方インチ程度の違いで何がどう変わるというものでもありません。

なぜなら、ナイスショット、あるいはミスヒットが出る本質的な原因は、ラケットにあるのではなく、打球タイミングの是非によるからなのですね。

▶悩みたい私たち。その心はマゾヒスト


購入の折には、いろいろ悩みたくなるというのが人間のさがでして、刺激的でさえあれば悩みでも何でもいいから、求めてしまいたくなるのです。

これが、望みもしないのにマイナス思考などになってしまう原因で、何も慌ただしいテニスのプレー中に、わざわざ思考なんてしなければいいものを、あえて心配などをして自分で自分を追い込むような自滅をやらかしがちなのです。

「またミスするんじゃないかな」、なーんて(関連記事「ミスは『衝撃』。続くと思うから不安になる」)。

それが、モヤモヤしたりするストレスなのですね。

悩むくらいなら、どちらにも欠点があるということですから、ストレスを溜めないようにサッサとどちらかに決めてしまうのが精神衛生上、好ましいと言えます。

▶ラケット選びは「悩むより慣れろ」


ずいぶん横道に逸れてしまいましたが、ラケットを買い替えたからといってプレーが劇的に変わるという改善はほとんどなく、古いお箸を使おうと新しいお箸を使おうと、豆をつかむパフォーマンスはそんなに変わらないという程度の話です(特に試合で「違う!」と思う理由は後述)。

それよりも慣れのほうが影響しているというのが、ご自身が「元ラケットに落ち着いてしまう」とおっしゃる根拠です。

元巨人軍の王貞治さんが現役時代、「僕はバットを一切変えない」と言ったのと同じ話。

とはいえ、ヒビが入るほどだと、買い替えたほうがいいと思います。

▶大事なのは重さとバランス


いろんなテクノロジー等があるみたいですが、重視してほしいのは、シンプルに重さとバランス、それとフレックス

だけどフレックスの部分はストリングの調整である程度代替できるものなので、やはり重さとバランスです。

それに導かれるスイングウェイト。

要は振ってみて、ご自身がより振りやすいと感じるほうがベターです。

とはいえこちらでも述べましたが、スペックの数値を確認してほしいと、言っているわけではありませんよ。

それは、頭に騙されます。

むしろ、スペックは「一切見ない」のです。

体で感じるようにしてください。

ラケット選びは「(頭で)悩むより(体で)慣れろ」

ブルース・リー「考えるな、感じろ」に通じるところがあるのです。

▶機能に目を奪われることなかれ


どちらが自分の感覚にマッチしそうかを二者択一のふるいにかけて、より振りやすいほうを取捨選択していくという方法でいいと思います。

フレームの厚みとか面の大きさとかは、これもぶっちゃけ慣れ。

ですから慣れるのが速い上級者は、少し使えばどんなラケットでもそつなくプレーできます。

ただし、重さとバランスだけは操作性に関わるので、振りやすさ、振りにくさ、打ちやすさ、打ちにくさに、影響があります。

一方、数平方インチの面の大きさの違いや、ストリングパターンのわずかな本数の違い、なんとかテクノロジーがあるかないかの差異などで、「振りやすさ」を犠牲にしてそちらを選択しようものなら、後悔しかねないのでご注意ください(面の大きさやフレーム厚による空気抵抗の加減から受ける操作性への影響は、考えなくていい誤差の範囲と割り切る)。

▶「弘法筆を選ばず」by長嶋茂雄


おっしゃるとおり、精神的なものは多分にあります。

むしろ、ラケットのことなど一切気にならないくらいボールに集中すれば、どんなラケットであってもプレーできるものです。

逆に言えば、ボールに集中しているとき、ラケットについて気になりません

まさに「弘法筆を選ばず」の教えのとおりで、技量や調子によっては道具に左右されないのです。

先の王さんに対して、同じインタビューの席で長嶋茂雄さんが、「僕はバットは何でもいいんですよ」と言ったのが、印象的でした。

敬遠へのアンチテーゼとして、「バットを持たずに打席に入った」といいます(ノーガード戦法?)。

テニスなら、相手の無気力サービスに対して、ラケットを持たずにリターンに臨むようなものでしょうか。

恐れ入ります。

▶試打ラケットがよく思える理由


新しいラケットを使ったときに、「これはいい!これしかない!」とよく感じるのは、ラケットに集中するので、ラケットがよく思えるからです。

グルメリポーターの感想は「美味しい」と相場が決まっているのと同じです。

味わうことへの集中度が上がるのですね。

「味がする」のではなく、「味わう」のですから、感じ方が変化するのは当然です。

だけどテニスの場合その時のボールの質自体は、実はそれほど上がっていないということは少なくありません。

これはプロレベルでも勘違いしやすいところです。

▶重さとバランスに由来する「振りやすさ」


私は実際に打った経験がないので推測の域を出ませんけれども、「プロスタッフツアー90」からの乗り換えであれば、「プロスタッフシックスワン95」か「フェデラーの340g」を選ぶのは、妥当かと思われます。

上記の重さとバランスに由来する「振りやすさ」を目安に、決めてみてはいかがでしょうか。

それにしても、女性でといったら怒られるかもしませんが、かなりカッコいいチョイスですね!

振れる御方なら、これくらいの重さがあってもいいと思います。

▶※1-1「これしかない!」と思う理由


人間関係と同じです。

最初は新鮮だから、「いい人!」と思いがち。

お互い、相手によく思われたい承認欲求がありますから、取り繕うのですね(その演技は、相手に対するディスリスペクト!)。※1-1-1

ルックスや言葉遣い、気遣いの表面的な上辺で判断してしまう。

しかしつき合いが長くなるにつれ、取り繕うのにも限度があるから、ドロドロとした相手の本性も見て取れて、最初が良かっただけに減点法の効果で、悪いところばかりがかえって目についてしまいがちです。

※1-1-1
ですから、いわゆる「いい人」の自己肯定感は、往々にして低めです。

▶※1-2・選ぶ基準はスペックorフィーリング?


またスペックでつき合う人を選んでしまわないのも、ラケット選びと同じです。

年収、偏差値、身長、年齢……。

ハロー効果で本性を見誤るのです。

改めまして、「しっくり来る」というフィーリング

お互いにどれだけ、相手の「ありのまま」を受け入れ合えるかどうか、でしょうね。

感覚のフィルターに濾過されて、残った宝こそ「善友」と言えます。

▶追伸・それはラケットのせいではありません!


「どういうときにそうなるか考えてみると相手のボールが活きてない死んだボールで滞空時間がめちゃくちゃ長いとき」

うーん、これは、ラケットによる影響というよりも、「現実に対するイメージのズレ」。

つまり『ベースメソッド』が扱う領域です。

ラケットのせいではありません!

特に試合の時に「違う!」と感じるのはその典型例で、こうなる原因をうっかり「精神的なもの」にすり替えてしまうと、自己肯定感が崩壊します。

「緊張しぃ」だとか「メンタルが弱い」だとか、自分についてジャッジメントして(決めつけて)しまうからです(関連記事「『決めつけ』は自己肯定感を損ねる」)。

イメージは、試合と練習、風の有無、サーフェスの違いなど、さまざまな影響により揺らぎますが、使用するラケットでズレることはありません

「精神的なもの」の影響は、ラケットに集中した場合の「これはいい!これしかない!」という感じ方なので、混同なさらないようにご注意してください。

即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
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テニスゼロ代表
吉田無型(よしだ・むけい)

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