「中学に入ったら急に数学がわからなくなった」——発達障害・ADHDのある中学生が数学でつまずく理由と対策|特性別サポートまとめ
「小学校の算数はなんとかなっていたのに、中学に入ってから数学がまったくわからなくなった」——。
発達障害やADHDのあるお子さんの保護者の方から、こうした声をよく聞きます。中学の定期テストで急に点数が下がった、宿題に手をつけられなくなった。そんな変化に戸惑っている方も多いのではないでしょうか。
中学数学で急につまずくのには、発達特性と深く関わる明確な理由があります。「やる気の問題」でも「教え方が悪い」のでもありません。この記事では、ADHD・ASD・LD別のつまずき原因と、方程式・一次関数・因数分解それぞれの教え方の方向性を整理しました。
この記事でわかること
発達障害の子が中学数学でつまずく3つの理由
ADHD・ASD・LD別の対策の方向性
方程式・関数・因数分解——単元別の教え方記事へのナビゲーション

発達障害の子が中学数学でつまずく3つの理由

小学算数と中学数学の間には、発達特性のある子にとって大きな3つの断絶があります。
小学算数と中学数学の「抽象度の壁」
小学算数は「3+5」のように具体的な数を扱いますが、中学数学では「x」「y」が登場し抽象度が一気に上がります。数字を「量」として捉えていた子は、文字式になったとたんに理解が難しくなりやすいのです。
なお、国立特別支援教育総合研究所(NISE)の基準では、算数障害(ディスカリキュリア)は「学年相当に比べ1〜2学年以上の遅れ」が目安の一つとされています。クラスに一定数いる特性であり、珍しいことではありません。
ワーキングメモリへの過負荷
方程式では「変数を保持しながら移項し、同時に計算を進める」という二重処理が求められます。ADHDのある子はワーキングメモリに課題がある場合が多く、途中で「今何を計算していたのか」を見失いやすくなります。一次関数では「表→式→グラフ」の3段階処理が加わり、負荷はさらに高くなります。
手順の連続実行困難(継次処理の困難)
方程式の解法や因数分解では、決められた手順を順番どおりに実行する力が必要です。ADHD・LDの子は手順を飛ばしたり順序を入れ替えたりしやすく、「計算ミス」に見えても実は手順管理の困難が原因であるケースが少なくありません。文部科学省もLDの困難として「計算する又は推論する能力」の著しい困難を定義に含めています。
小学算数のつまずきも気になる方へ
中学数学の前に小学算数の土台を確認したい場合は、発達障害がある子への算数の教え方|特性別サポートまとめ もあわせてご覧ください。
ADHD・ASD・LD別の数学への影響と対策の方向性
ひとくちに「数学が苦手」といっても、発達特性によってつまずくポイントは異なります。
ADHDのある中学生の場合:ワーキングメモリと衝動性が壁になる
数学への影響:
計算途中に何をしていたかわからなくなる
衝動的に手順を省いてしまい、符号ミス・移項ミスを繰り返す
対策の方向性:
解法手順を「①移項 ②計算 ③確認」と番号つき手順表にして手元に置く
5問以内・10分以内のスモールゴールで組み、式変形は必ず全ステップ書かせる
連立方程式の具体的な教え方は
ADHDのある子が連立方程式でつまずく理由と教え方 で解説しています。
ASDのある中学生の場合:「なぜそうなるのか」の根拠を求める
数学への影響:
「なぜ移項すると符号が変わるのか」の根拠がないと納得できない
公式の「例外パターン」で混乱しやすい
対策の方向性:
公式の「成立する理由」を先に説明する(「ルールだから覚えて」は通りにくい)
問題のパターン分類を先に示し、「このタイプならこの手順」と見通しを確保する
一次関数が苦手な子への教え方は
発達障害のある子が一次関数でつまずく理由と教え方 で段階的に解説しています。
LD(算数障害)のある中学生の場合:数の量感が弱いまま文字式へ
数学への影響:
分数・小数が定着しておらず、方程式の分母を払う操作でつまずく
因数分解のように「乗法の逆算」という抽象操作の意味が掴みにくい
対策の方向性:
文字式は「りんごが x 個」など具体物での置き換えから始める
方程式は天秤モデル、因数分解は面積モデルで視覚化する
因数分解が覚えられない子への教え方は
ADHDのある子が因数分解でつまずく理由と教え方 で視覚化の方法を紹介しています。
図形の証明でつまずいている場合は
視空間認知・ワーキングメモリ・論理的言語化という3つの認知ハードルと、合同条件カード・穴埋めフレームを使った教え方を発達障害のある中学生が図形の証明問題で詰まる理由と対策 で解説しています。
※特性には個人差があります。上記はあくまで傾向です。
どの単元でつまずいているか確認する
対策を始めるには、まず「どこでつまずいているか」の特定が大切です。
チェックリスト:
▢ 1次方程式を手順通りに解けるか
▢ 連立方程式で2つの式を同時に扱えるか
▢ 一次関数 y=ax+b の傾きと切片が理解できているか
▢ 因数分解でパターンを見分けられるか
▢ 図形の証明で「仮定→根拠→結論」を順番通り書けるか
さかのぼりの起点目安:
方程式の手順がわからない(等式の性質・移項の概念)
→ 連立方程式の教え方一次関数の式が立てられない(比例・変化の割合)
→ 一次関数の教え方因数分解のパターンが覚えられない(乗法の公式〈展開〉)
→ 因数分解の教え方図形の証明で仮定・根拠・結論が書けない(合同条件の定着)
→ 図形の証明の教え方
小学算数の分数・小数・比例が怪しい場合は、中学の内容に取り組む前にそちらからさかのぼるほうが結果的に近道です。

家庭サポートの3つの共通原則
お子さんの特性や、学習単元に関係なく、家庭で数学をサポートするときに有効な原則が3つあります。
原則1:「今の学年」より「つまずきの起点」に戻る
中学数学のつまずきの多くは、小学算数の未定着が起点です。「戻ること」は後退ではなく、最短ルート。中学2〜3年でつまずく子は、中学1年の方程式の理解が曖昧なケースが多く見られます。中学生から始めても遅くはありません。
原則2:「頭の中」を紙に出す習慣をつくる
式変形は省略せず全ステップを書く。手順を番号で書き出す。図や表を必ず描く。紙に出すことでワーキングメモリの負荷が下がり、「省略」から生まれるミスを防げます。
原則3:「できた問題」で終わる設計にする
難しい問題を最後に置かず、「解ける問題」で締めるようにします。前日間違えた問題を翌日冒頭で解き直し、1セッション10〜15分・5問以内を基本にします。
これをすべて毎日やらなければ、と思う必要はありません。できそうなステップを1つ選んで試すだけでも十分です。
つまずきを放置するリスク
中学数学は「積み上げ型」の教科です。文部科学省の学習指導要領解説(数学編)でも、前の学年の理解が次の学年の土台になると示されています。
中学1年の方程式でつまずけば連立方程式・二次方程式が積み上がらず、比例が曖昧なら一次関数・二次関数まで連鎖します。
ただし、「今すぐ完璧に解決しなければ」という話ではありません。「どこでつまずいているか」を特定して手当てを始めることが最も大切です。焦らず、できるところから一つずつ対処していけば十分です。
毎日教えるのが大変と感じている保護者の方へ
ここまで紹介した対策を毎日実践するのは、正直なところとても大変なことです。
そういった方に参考にしていただきたいのが、家庭学習デジタル教材「天神」です。天神は中学生版も用意されており、方程式・関数・証明などの単元ごとにアニメーションのレクチャーと一問一答演習が用意されています。
天神を使った研究では、週1回・たった10分の使用を3ヶ月続けるだけで、すべての対象児童の視覚ワーキングメモリ課題の数値が改善したという結果が、日本LD学会で発表されています。
文部科学省・経済産業省など4省庁後援の日本e-Learning大賞グランプリを受賞し、障がい児教育の専門家・山内康彦先生(障がい児成長支援協会 代表理事)も「一番おすすめの教材です」と推薦している教材です。

天神の中学生版には単元ごとのアニメーションレクチャーがあり、方程式の「移項」も等式の性質から順を追って説明します。目次画面でおおよその所要時間が確認できるため、学習前に見通しを立てやすい設計です。

問題は1画面1問の表示で即座にフィードバック。手順を1つずつ確認できるため、継次処理の困難があるADHD・LDの子に合った設計です。
学年を簡単に切り替えることができるため、つまずきの起点が小学算数にある場合もカバーできます。
「学力に凹凸があるので自分の学力に合わせて選んで自信をつけさせることができる」
——天神体験後アンケートより
「レクチャーに時間が表示されているため、本人が見通しを立てやすく、取り組みやすそうだった」
——天神体験後アンケートより
アール医療専門職大学の坂本晴美准教授(医学博士・発達障害専門)が発達障害の児童を対象に行った研究では、こんな報告があります。
「天神を始めてわずか1ヶ月で自ら『習い事をしたい』と意欲を見せるなど、劇的な変化が見られました。『できた!』という自信が、学習意欲だけでなく『自立心』へと繋がっていくのです」
——アール医療専門職大学 准教授 坂本晴美先生
※効果には個人差があります。
現在、天神では無料体験を実施中です。体験専用PCを無料でお届けします。クレジットカード不要・購入義務なしなので、まずはお子さんが実際に取り組む様子を確認してみてください。
→ 天神 無料体験・資料請求はこちら
https://www.tenjin.cc/lp/wp/hattatsu-s-02-price/
まとめ——中学数学の単元別教え方マップ
つまずきは「特性によって原因が違う」「単元によって難しさが違う」という2軸で理解することが第一歩です。
連立方程式(ADHD:ワーキングメモリ・手順省略)番号つき手順表・全ステップ記述 → 連立方程式の教え方
一次関数(ASD・LD:表-式-グラフの変換)見通しの確保・視覚化 → 一次関数の教え方
因数分解(ADHD・LD:公式の記憶・パターン変化)面積モデル・パターン分類 → 因数分解の教え方
図形の証明(ASD・ADHD・LD:視空間認知・ワーキングメモリ・論理的言語化)合同条件カード・穴埋めフレーム → 図形の証明の教え方
小学算数に戻りたい場合は → 発達障害がある子への算数の教え方
よくある質問
Q. 診断がなくても数学が極端に苦手なら算数障害ですか?
算数障害の診断は医師・心理士にしかできません。ただ、診断がなくても特性に合った支援は始められます。気になる場合はスクールカウンセラーや発達支援センターへの相談を検討してください。
Q. 天神の中学生版の価格は?
月額費用なしの買切りタイプで、月額換算で約2,750円〜です。兄弟姉妹は追加料金なし。無料体験はクレジットカード不要・購入義務なしで、体験専用PCを無料でお届けします。
Q. 「グレーゾーン」でも使えますか?
天神は様々な特性を持つお子さまに幅広くお使いいただけます。診断の有無ではなく、お子さんの今の学び方に合うかどうかが大切です。スモールステップの演習・さかのぼり学習・音声読み上げなど、学習につまずきやすいお子さんにも取り組みやすい機能が揃っています。まずは無料体験でお子さんの反応を確認してみてください。
参考文献
文部科学省「学習障害(LD)について」
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/mext_00808.html国立特別支援教育総合研究所(NISE)「学習障害(LD)」
https://cpedd.nise.go.jp/rikai/about/ld国立特別支援教育総合研究所(NISE)「学習障害(LD)のある子どもの指導・支援」
https://cpedd.nise.go.jp/shido_shien/ld文部科学省「中学校学習指導要領解説 数学編(平成29年)」
https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2019/03/18/1387018_004.pdf
この記事は天神メディア編集部が作成しました。発達障害の特性には個人差があります。気になることがある場合は、専門機関へのご相談もあわせてご検討ください。
