お客様は神様から家族へ
vol.1612
今日は多くの小売企業が初売りを行う日。
ひと足早くスタートした企業もあり、例えば昨年、セブンアイを抜き時価総額で2位に躍り出たイオンは、総合スーパー380店舗の元日初売りで633種類の企画商品を販売。
食品や日用品、家電などを買い物カートいっぱいに詰めた「福カート」(2200〜1万1000円)のほか、今年は対象の商品を購入すると無料の商品が付いてくる「1+1」企画を初めて開いたこともあり、イオンリテールの1日正午時点の売上高は前年比8%増となりました。
〈日本経済新聞 / 2026年1月1日〉
また、ヨーカ堂は年始向け商品として、福袋を含めた約230品を用意。
物価高を考慮して詰め放題の商品も販売しました。
1000円のお菓子などのお楽しみ袋や、寿司、刺し身の盛り合わせが人気だったとのことで、75店舗の1日正午時点での売上高は前年と比べ約1割増で推移。
福袋といえば、新年の風物詩ですが、この福袋にも昨日お話しした “実感” の波が押し寄せています。
体験重視の福袋
体験という実感、つながりという実感。
福袋はモノからコトへと移ってきています。
名鉄百貨店本店は本日から営業開始なのですが、「ブルーミュースカイ」を「ありがとう名鉄百貨店号」として運行する貸し切り乗車福袋を販売。
〈読売新聞オンライン / 2025年12月31日〉
開催は1月31日なのですが、名鉄一宮駅を出発し、通常は運行しない豊川稲荷駅(自由時間約100分)を経て、名鉄名古屋駅に到着します。
また、同店は2月28日に閉店することから、思い出福袋を用意。
スタジオで撮影した自分の写真を、名鉄百貨店本店のシンボル「ナナちゃん人形」や垂直落下式エスカレーターなど、「思い出スポット」のうち1ヵ所の画像と合成してポスターに。
1組5人まで、20組に1万1000円で販売します。
思い出といえば、3日から営業開始する松坂屋名古屋店では、家族との思い出を福袋に。
自分のスマートフォンなどに撮りためた子どもや孫の写真や動画を、映像制作のプロによる編集で「思い出ムービー」としてDVDに残します。
…ただ、お値段は20万2600円。
…果たして、どんな反応になるのか…?
ほかにも、中学生以下を対象に、元プロ野球・中日ドラゴンズの有名選手によるマンツーマンの少年野球指導が受けられる福袋も。
ただし、これはさらに1桁多い202万6000円。
付加価値の高い体験型商品で勝負をかけます。
学びということでいえば、ジェイアール名古屋高島屋が、フードコーディネーターによる自家製みそづくり体験福袋を用意。
こちらは、1万1000円と比較的リーズナブルに貴重な体験を味わえます。
タイパ重視と長居の間で
消費はかけるところにはかけ、かけないところにはかけない。
100円ショップが愛される中で、推し活には惜しみなくお金を使う。
そうした消費の二極化が進んでいることは周知のことですが、小売業は時間の二極化も進んでいます。
ポップアップストアの出店支援などを展開するカウンターワークスは、早稲田大学ショッピングモール研究会と共同で実施した調査でも、その傾向は如実に見られるのです。
〈1都3県に住む18〜24歳の男女497人が対象〉
〈Forbes JAPAN / 2025年11月2日〉
最も多く訪れるのが郊外型ショッピングモールで、1回あたりの平均滞在時間は44.5%が1時間前後。
そして、13.5%が30分未満。
つまり、6割近い人たちがほぼ1時間で用を済ませて帰ることが分かりました。
買い物の時間は単に必要なものを買うだけだと、なるべく早く済ませようとする傾向が強い。
一方、目的別で滞在時間が最も長いのは、ポップアップストア、イベント、催事でした。
特にZ世代を惹きつけるのは、推しイベントやコラボ企画、期間限定のイベントやショップ。
これらは滞在時間を長くするばかりでなく、それを目指して遠くからでも訪れたいという来館意欲を高める効果があります。
また、「友人や恋人と一緒に楽しめる」ことも重要な要素になる。
こうしたものが充実すると、若者たちは「体験を軸にゆっくり過ごす傾向」にあるのです。
集まる・体験する・つながる場所へ
そして体験価値ということで、最近、多くの人たちから熱視線を注がれているのが高輪ゲートウェイシティに昨年オープンしたニュウマン高輪でしょう。
こちらは株式会社ルミネが運営している商業施設ですが、「100年先の豊かな暮らしのための実験場」という長期的な価値創造を目指しています。
単にモノを売る場ではなく、時間と関係性をデザインする場へ。
買い物以外の滞在理由を意図的につくっている。
館全体として「商品を取り揃える」だけではなく、試す・学ぶ・参加する余白を持ち、ワークショップや展示、トークイベントなどが日常的に組み込まれているのです。
来館者は消費者を超えた体験の参加者になります。
そして、空間そのものが体験装置である点も見逃せません。
通路や広場、緑や光の取り入れ方まで含めて、歩く・立ち止まる・人と交わるといった行為が自然に起こる設計になっており、用事がなくても「過ごしたくなる」時間価値が生まれます。
これは効率重視の売場設計とは真逆の思想。
さらに、新興ブランドや実験的な取り組みを受け入れる柔軟性も特徴です。
短期出店や手頃な条件のリースによって、これから発展する企業の成長の物語を見せている。
そして見せるだけではなく参加させ、新興ブランドの成長を来館者が支えているという構図をつくることができています。
ここで得られるのは関与感・当事者感。
こうした「体験の参加者」「物語への当事者感」というのは、これからの時代の小売のあり方を示しています。
未来調達研究所の坂口孝則さんも
「(高輪ゲートウェイシティは)『実験場』であり、だからこそ想いを一つにするお客や企業を巻き込んでいる。これを個人店に置き換えるなら、カフェが新メニューを開発する際に、常連客に試作品を味わってもらい、人気投票で決めるという施策が考えられるかもしれない。お客は単なる消費者ではなく、店の物語を一緒につくる「参加者」へと変わる。「自分ごと化」が、単なる低価格販売だけに依存しない強みになるのではないだろうか。スーパーマーケットにだって熱狂的なファンがいてもおかしくはないのだ」
と仰っています。
〈DIAMOND Chain Store / 2025年12月23日〉
こうした小売業のカタチが進んでいくと、お客さんという存在が究極的には
「『お客』という表現は失礼になるかもしれない。『ファン』も違う。『共同体』……いや、『仲間』あるいは『家族』がふさわしいだろうか」
と、一心同体の存在に変わっていく。
「お客様は神様だ」という言葉には美しい精神が宿っていますが、それだと時代から取り残されてしまう可能性は高い…
その核心を理解できた企業が革新を生み出し、新たな共創経済圏をつくっていくのでしょう😊
そのことを2026年はより意識しながら、私も小売業のマーケティングをサポートしていきたいと思います。
本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!
記事をご紹介いただきました!!
フラッシュ暗算10段で、日本一の生徒在籍のそろばん塾経営する
こう先生の【地方副業が熱くなる。 そろばん「高段位」を、今こそ活かしませんか??】という記事の中で、私の【地方副業が熱くなる】という記事をご紹介いただきました。
こう先生、記事をご紹介いただき、誠にありがとうございました!
新しい働き方が地方と都市を結んでいく。
そうした期待に私もワクワクしています😊
また、もう1つ嬉しい報告がありまして、新時代美容師の為のv-lab studioフリーランス美容師 souriant psoさんの【「個」の限界を「連帯」で突破】という記事でも、私の【“ウィズ”ビーイングで行こう】という記事をご紹介いただいたのですが
souriantの経営者さんは、実は私が講師を務める美容サロン向けの勉強会にも参加してくださっており、リアルでもつながっている方。
そうした会社さんとnoteでもつながれて、非常に嬉しい気持ちになりました。
こうしたご縁を今後も期待しながら、記事を書き続けたいと思います!
souriantさん、改めて記事をご紹介いただき、誠にありがとうございました!!
