【饂飩美味紀行】#52 湯田製麺(山口県山口市)
" 湯 田 の 湯 香 る、熱 き 手 打 ち の 一 膳 "
❖ 山口県山口市の位置
長州の国における中枢の地、山口の郷。瀬戸内と日本海の狭間、山々に囲まれた盆地にあり、古より文化の薫り高き地として知られておる。今や異国の瓦版――「ニューヨーク・タイムズ」と申す洋夷の新聞にて、「二千二十四年 行くべき五十二ケ所」の一つとして選ばれたとのこと。西国の小さき城下が、はるか彼方の異国にまで知られるとは、世も変わり申した。
山口の旅にて、まず訪ねるべきは「湯田温泉」。城下の中ほどに湧き出る名湯にて、その湯量は日々二千石にも及ぶとか。白狐がその身を癒したという伝説も残り、泉質は肌にやさしく、湯あたりもまろやか。湯の香ただよう町並みは、旅人の足を自然と止めるものなり。

次に挙げたいは、「中原中也記念館」。この中也という男は、詩を以て己が想いを綴りし文人にて、短き生涯を燃やし尽くした才人である。その詩は時に烈しく、また静かに胸を打つ。記念館には直筆の詩稿や遺品が展示され、彼の魂を感じることができる。学問を好む者、筆をとる者には格好の場にて候。

そして春の訪れとともに見逃せぬは、「一の坂川の桜並木」。この川の両岸には数百本の桜が植えられ、春風に誘われて花開く様はまこと見事。夜ともなれば、行燈のごとき灯りが桜を照らし、川面に花影を映す。まるで夢幻の世界に迷い込んだかのような美しさに、誰もがしばし時を忘れるであろう。

このように、山口の城下はただの田舎にあらず。温泉あり、文学あり、四季の移ろいあり。武士も町人も、心静めたい折にはぜひ足を運ぶべき地にて候。
世の浮き世に疲れたとき、そなたもまた、この静謐の都を訪れてみてはいかがかな。
❖ 店舗外観
❖ 饂飩絵図

❖ 饂飩膳の記録

◆ 朝餉の饂飩、夢うつつにて啜るが如し
安芸の国にて所用あり。拙者、時を明けきらぬうちに、そっと門を抜け出し、馬車(くるま)を走らせ候。
夜の名残を纏いし山々を見やりつつ、筑前から長州の国へと足を進め申す。
道中、腹の内に風が吹き始め、どうにも収まらぬ空腹感。
「これは尋常ならぬ。腹の虫が、肚の太鼓を打っておる」
そう思うた刹那、霞の向こうに現れしは――湯気たつ一軒の饂飩茶屋。
朝八ツにて既に暖簾が揺れており、「これぞ、神の導き」とばかりに、手綱を引きしめ候。
◆ 茶屋の様子、いと趣あり

茶屋の前には、旅人の駒をゆうに十頭は繋げるであろう広き駐馬場。
中を覗くと、木の香残る清き佇まい、掃き清められし床板に、主の誠実が滲み出ておる。
「朝餉に饂飩とは粋なものよ」と呟きつつ中へ入れば、既に二組の常客が椀を啜っており候。
その姿、まるで社中のごとし。黙々と、しかして満ち足りた顔。
◆ さればこその、天婦羅ふたつ

此処は「己が欲を律すること」が最大の試練なり。
――と申すも、目の前に並べられしは、舞茸の天、鶏の天。
湯気は立ち昇り、油の香は鼻をくすぐる。
いかに武士といえど、これを前にしては理性も溶ける。
「ええい、旅の途中じゃ。罪にはなるまい」
そう言い訳を心で唱え、盆にふたつ、天婦羅を乗せ申した。
◆ 麺の神髄、椀にあり

主に「ぶっかけの熱きものを所望いたす」と申し上げるや、
美しき椀が、まるで早駆けの如く差し出され候。
麺は、白き肌に艶を湛え、つるり・もちり・そして跳ね返るが如き弾力。
このコシ、まさに鍛錬を積んだ武士の筋に通ず。
出汁は昆布といりこを基とし、まろやかにして雑味なし。
あゝ、これは……夢うつつに啜る味ぞ。
そして、何よりも耳に嬉しき知らせがあった。
「ただ今の刻、十時までに参られし御仁には、饂飩すべて、百円お引き申す」とのこと。

なんと、朝餉の誉れにして、財布にもやさしき一椀。
旅人にとって、これぞ天の恵み。
心の膳に加え、懐も温まるというもの也。
◆ 余情残心

札には「地の食材を用い、地の舌に合わせ候」と。
言葉は控えめながら、味は堂々たるもの。
椀に誠を盛るとは、まさに此処のことなり。
しかも、子らの来訪も歓迎とあれば、武士とて頭が下がる思い。
朝餉としてはやや過ぎた量なれど、百円引きなら文句などあるべくもなし。
まぶたに少し重さを覚えつつも、再び下道をゆるりと安芸へ向かう。
❖ 店の評判帳
❖ 詳細な絵図
❖ここにしか無き逸品、郷より届く品々(宣伝)
長州は山口の地にて、古くより親しまれておる名物菓子――それが「外郎(ういろう)」にござる。
中でも「御堀堂」の品は別格。極上の国産本わらび粉に、手づくりの餡を練り込み、丁寧に蒸し上げた一品にて、
舌ざわりなめらか、上品な甘さが身に染み入り申す。
伝統の製法を守る唯一の店として、地の者はもとより旅の者にも広く愛されており候。
山口に立ち寄られたなら、ぜひ一棹、お試しあれ。


❖ 過去の饂飩絵巻
美味を求む饂飩侍、風の如く歩みし味巡礼の記録なり
❖ 諏訪たけしの饂飩美味紀行全集
#おいしいお店 #うどん #食べ歩き #饂飩美味紀行 #ご当地グルメ
#山口県 #山口市 #湯田温泉
#山口グルメ #山口ランチ #讃岐うどん #ぶっかけうどん
#湯本製麺 #外郎 #御堀堂 #ふるさと納税
