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【饂飩美味紀行】#51 那珂川うどん 誠屋(福岡県那珂川市)【隠れた名店】



" 国 道 三 八 五 号、誠 屋 に て 姫 と 出 逢 う "




❖ 福岡県那珂川市の位置


筑前の国、那珂川の郷は、博多の城下より馬を駆けることおよそ三十町(車にて三十の刻)にて至る地にて候。都の近きにありながら、山川の恵み深く、里人は四季折々の自然と共に日々を営み候。

南の果てには、佐賀との境にそびゆる山々あり。その上流に築かれしは「五ケ山の堰(五ケ山ダム)」。近年にて開かれし此の大堰のまわりには「五ケ山越(五ケ山クロス)」と呼ばるる遊山の場あり。旅人はここにて、幕を張り火を熾し、川音に耳を澄ませながら野営(キャンプ)を楽しむ由。峠道には足軽も駆けるがごとく、駕籠ならぬ自転車の列も絶えず、まこと風流の境にて候。

また、郷の東の方には「裂田溝(さくたのうなで)」なる水路あり。これは千三百年の昔、農のために拓かれし導水の道にて、今なお水をたたえ、田を潤し続けて候。秋の夜ともなれば、竹の灯籠に火がともり、あたり一帯はまるで極楽浄土のごとく、幻想の趣きに包まれ申す。

北のあたりには「現人神社(あらひとじんじゃ)」あり。夏の候には、風鈴回廊なるもの設けられ、百千の鈴が風に舞い、その音、涼を誘うことこの上なし。参詣の折には、是非とも耳を澄ませていただきたく候。

さて、この地にて育まれし特産といえば「ヤーコン」という珍しき芋。形は薩摩芋に似れども、歯触りは梨のごとくしゃっきりとし、ほの甘く滋養に富むと聞き及び候。御膳に添えれば、客人もきっと驚かれ申すこと請け合いにて候。

このように、都近きながら、山紫水明の恵み豊かなる那珂川の郷。まこと、旅に、隠れ住まいに、またと無き佳き処にござり申す。




❖ 店舗外観




❖ 饂飩絵図


⦅🌟🌟🌟☆☆》かけうどん  ※撮影 2025年3月


❖ 饂飩膳の記録


筑前・那珂川にて立ち寄りし縁

拙者、筑前那珂川の地にて米を求めて下向致し候。
されど目的の品は手に入らず、空振りに終わりし帰路、ふと目に入ったるは「那珂川うどん誠屋」なる看板。
国道三百八十五号沿い、昨年三月十五日、南区曰佐より移転し、新たに暖簾を掲げしと聞く。

すでに日も傾き始めし日曜の昼下がり。
腹の空き具合も相まって、店内へと歩を進めし次第なり。


食券制と、整然たる所作

店に入ると、まずは席に案内され、品書きを手に取り、注文を決した上で食券を買い求むる作法と心得たり。
券売機にて「No.1セット」なる名を冠した品を選択。
内容は、名物「姫あまえびうどん」に「ミニ炙り親子丼」「小鉢」「ミニサラダ」を添えたる、実に充実せし構成。

いずれも店の精魂を傾けた献立なること、券売の文言より察することが叶い申した。


姫甘えび、軽やかなる香ばしさ

まず供されしは「姫あまえび」。
黄金色に揚がりし甘えび天は、箸にて持ち上げると衣の軽さが指先に伝わり、口に含めば、衣は心地よく崩れ、香ばしさが広がる。


そのままいただくも良し、饂飩の上に置いて汁を吸わせ、食感の変化を楽しむも良し。
まさに一品にして二様の趣きあり。


饂飩の麺は、福岡県産「筑紫こがね」なる小麦を用い、塩・水に至るまで選り抜かれし素材にて仕立てられしもの。
一口啜ればその滑らかさ、程良き弾力、喉越しの冴えが明らかに手練の技を物語っており、流石の一語に尽き候。


親子丼に見る火加減の妙

次いで現れしは、「炙り親子丼(小)」なる丼物。
鶏肉には「はかた地どり」、卵には「金太郎卵」と、いずれも品格ある素材を用いし一品。
卵の柔らかさ、火の入り方、鶏の炙り加減、いずれも一分の隙なく整い、丼を成す要素として均衡の取れた味わいであった。


また、量の加減も良く、主役の饂飩を邪魔することなく、むしろ両者が互いを引き立てる構成に感服致した次第なり。


出汁の深みに宿る誠

饂飩の出汁に用いられし素材は、伊吹島産のいりこ、羅臼昆布、うるめ節、鯖節、鰹節と、いずれも吟味の跡うかがえし品々。
澄み切った色、控えめにして深みある香り、味の余韻。
これは決して「濃さ」にて勝負する出汁にあらず、むしろ素材の力をそのまま引き出す誠実な仕事が為されておる証左なり。

完食後に喉を潤すその最後の一口までも、飽きの来ぬ味わいにて、まさしく「締め」の役目を果たしておった。


店名「誠屋」に偽りなし

このたびの訪問において、拙者、改めて「誠実なる店」というもののあり方を学び得たり。
素材選び、調理の妙、店内の清潔感、接客の整い──いずれも「誠」の字に恥じぬ構え。

うどんと親子丼、二本の柱は、決して互いを競わず、補い合いながら一つの美しき構成を成しており、まこと見事なる完成度にて候。

那珂川の地を訪れし折には、ぜひ一度足を運び、その「誠」に触れてみられることを勧め申す。


❖ 店の評判帳


残念至極ながら、店の評判帳を見出すことが叶わず


❖ 詳細な絵図



❖ここにしか無き逸品、郷より届く品々(宣伝)


広き鶏舎にて伸び伸び育ちし鶏たち、口にする餌も人の身にも良きものを厳選いたし候。白身は澄みて弾け、黄身は深き旨味にて、臭み一切なし。
先ほどの炙り親子丼の写真こそ、何よりの証拠。
卵は金色に輝き、鶏は香ばしき焼き目を帯び、丼の上に美しき調和を成しておる。これを見て、口にせずにおれる者、あらじ。
金太郎たまご――世界に誇る至高の逸品、ここに参上つかまつる。



❖ 過去の饂飩絵巻


美味を求む饂飩侍、風の如く歩みし味巡礼の記録なり


❖ 諏訪たけしの饂飩美味紀行全集




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