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「龍が如く」ファン必見。映画に惚れた。【映画「ヘルドッグス」】

どうも、まろん亭奏字と申します。

今回は「ヘルドッグス」という映画についてお話します。

「突入せよ!あさま山荘事件」「クライマーズ・ハイ」の原田眞人監督作品。深町秋生先生の同名の小説が原作となっています。
以下、ネタバレアリ。

原田監督、好きなんですよね。
特に「金融腐食列島[呪縛]」からの昭和三部作が。
ハリウッドにいらっしゃっていたこともあり、日本映画っぽくないテンポの良さ、丁々発止のやり取りが気持ちいい。

冒頭のいきなり、ブチかまされる岡田君と元殺し屋の格闘場面から一気に心を鷲づかみにされちゃいましたね。
二人がもみ合っている時にビールケースが崩れるところがあるんですが、「これ、計算ずくなの?」ってくらいビールケースの崩れるタイミングとか崩れ方が完璧で「すげー」って思いました。

こういうサビの部分から見せてくれる映画って日本だとあまりないですよね。岡田君が元殺し屋を倒して、警察に電話し、次のシーンでは岡田君がもう捕まっていたりとか、省き方が激ウマ。

その後、酒向芳さん演じる刑事から「潜入捜査官になれ」と言われます。
酒向さんといえば「検察側の罪人」のあいつのイメージなんですけど、今回もハマり役でしたね。いい意味で気持ち悪い。
立場的には「インファナル・アフェア」のウォン警視なんですが、真逆のいかがわしさ。
そんな酒向さんが早口でこれから潜入するヤクザ組織の説明をしてくれるんですが、「ちょ、ちょっと待って。もうちょっとゆっくり説明してくんない?」というくらい固有名詞のマシンガン。
しっかりホワイトボードと写真つきで説明してくれるんですが、「東鞘会」と「ヘルドッグス」と鼻を食いちぎられてサメ革のマスクつけている人がいるくらいしか頭に入ってきませんでした。
で、なんか「こいつに近づけ」みたいに言われるのが、三流YouTubeみたいなアンちゃんで、こいつが後に岡田君演じる兼高のバディとなる坂口健太郎君演じる室岡です。

話はいきなり1年半後にジャンプ。
東鞘会の組員となった兼高は、室岡と一緒に敵対する組織のメンバーを始末するため、沖縄の廃墟でターゲットが来るのを待っているシーンに。
セリフだけで2人の関係性が伝わってくる脚本がうまい。
舞台となる廃墟も印象的でした。

無事任務を達成し、親分の北村一輝さん演じる土岐に報告する兼高。
この北村さんがめっちゃかっこいい。
いや、北村さんはいつだってかっこいいんだけどさ、もうベスト・オブ・一輝だよ。最後までかっこよかった。

その北村さんの愛人役が松岡茉優さんなんですが、彼女も良かったですね。松岡さんって気づかないくらいハマってました。
こういうボスのオンナみたいなキャラって、「アウトレイジ」の大友の愛人もそうだけど、ちょっと男たちから距離を置いた感じになりがちなんだけど、もうバンバン男たちの会話に口挟んでくるの。
で、北村さんも何も言わない。説明役っちゃそうなんですが、いいポジションでしたね。
このボスの女が岡田君とも男女の関係になっていて、潜入がバレるかバレないかのドキドキに加え、ボスの女と寝てるのバレるかどうかみたいなスリルも入るのかー、なんか胃が痛くなる話だなーって思ってたら、このあたりが結構雑な感じに、「ごっめーん、あたしも潜入だったんだー」みたいなオチで、さらに「象がなんたら」みたいな原田作品にありがちな本編とあまり関係ない、監督の趣味丸出しなトリビアエピソードが入って、おいおいと思っていたら、最後はヒロインらしくヴィランに捕まって殺されかけ、でも生き残ってストーリー的に一番おいしい役回り。

沖縄での仕事を終え、東京に戻ってくる兼高・室岡コンビ。
2人が事務所に出勤したら、入り口の暗証番号が変わってて、「なにしとんじゃー」「うっせー」みたいなよくわかんないくだりがあって、そこがまんま「クライマーズ・ハイ」の新聞社のノリだったので笑ってしまいました。今回も「クライマーズ」みたいに端役のヤクザにも細かい設定作ってたりするのかな。
原田監督のこういう男子校的なわちゃわちゃしたノリって好きなんですよね。「関ヶ原」とか「燃えよ剣」にはそれが足りなかった。
新選組なんてもうわちゃわちゃにうってつけだからかなり期待してたんだけどなあ。
今回、そのわちゃわちゃで「クライマーズ」の追村ポジにいるのが、「燃えよ」で藤堂を演じていた金田君でして、この金やんがいいんだわ。
最後のほうで、岡田君が潜入だというネタをつかむも、それを活かせず死んでしまうところとかも愛おしい。いや、そこ一番ドキドキするところやん。でも、見事にハズしてくる。さすが原田監督。

わちゃわちゃシーンの後は高級なお店で祝勝会。熊さんはそこが初登場だったと思うんだけど、冒頭の説明でついていけなかった私は、誰この人?みたいな感じでしたね。
でも、いいんです。全然ストレスにならない。「テネット」と同じで、原田映画の群像劇は理解しようとしたら負け。
二回目観て、「あっ、そうだったのね」とわかればいいんです。
私はもう何回も観ているのに、未だ「あさま山荘」の警察内の人間関係がよく理解できてません。

熊さんはよかったね。演じているのは吉原光夫さんという劇団四季の人らしいんですが、たぶん、数年後、「クライマーズ」の堺雅人さんみたいにブレイクするんじゃないかと思ってます。「ヘルドッグス」の中で上司にしたい人ナンバーワン。
この熊さんと北村さんと鼻のない人の三人が東鞘会三羽烏というトップスリーで、このあたりの構図が「クライマーズ」みたいなんだけど、トップが山崎努さんではなく、若手のMIYAVIさんというところが実はこの話のキモだと思ってます。

「関ヶ原」「燃えよ剣」で不満だったのが、昭和三部作の時、明確だった「父なる存在との対立」という構図が崩れ、原田さん自身が「父なるもの」になってしまったことで、テーマがふわふわしていたことで、それが今回、MIYAVIさん演じる十朱という、言ってみれば「息子なる存在との対立」という話にシフトして、新しいテーマになっている。

それは、兼高と室岡の関係にも表われていて、たぶん、原田さんの中で「クソ爺どもの作ってきたルールなんてブチ壊してやる」といったテーマから、「最近の若いヤツ、怖い。あいつらとどうやって折り合いをつけていきゃいいんだよー」ということに関心が移っているのかなと思いました。

かつては原田さん自身がそういう「若いヤツ」だったわけで、ラスト近く、土岐が会長の十朱に腹パンした後、エンコ詰めるところなんかは、これが原田さんの今考えている「折り合い」なのかな、と思いますね。

で、その息子なるものを演じているMIYAVIさん。
本業はミュージシャンらしいですが、圧倒的な存在感でしたね。
なんか丸い石みたいなのをカチャカチャいじりながら出てきたかと思うと、いきなり部下に拳銃をぶっ放し、「さあ、戦え」といってけしかける。
そうかと思えば、新しくボディーガードになった兼高と室岡の前でワインボトルに回し蹴りするのを披露し、しかも、兼高たちが去った後、割れたボトルの破片を自分で片付けるというお茶目な一面も。

久々に映画に惚れる作品でした。

それでは、また。


「ヘルドッグス」

2022年公開
日本映画
監督: 原田眞人
出演: 岡田准一、坂口健太郎



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