複雑なプロットを手際よく料理した、人気ホラーゲームのノベライズ「サイレントヒルf」
某日、楽屋にて。
弟子
「やっと小説版の『サイレントヒルf』を購入できました」
師匠
「『夜は一緒に散歩しよ』でデビューされたホラー小説家、黒史郎さんがお書きになったゲームのノベライズ版ですか。結構、人気で初版はあっという間に売り切れて、なかなか本屋さんで手に入らなかったそうですね」
弟子
「これが本当に上手くて、原作のストーリーを忠実に再現しながら、ちゃんと小説として面白く書かれているんですよ」
師匠
「確かにゲームの小説化って難しそうですね。プレイした人によって展開も変わるだろうし、ゲームならではのインタラクティブな体験って文章にしづらそうです」
弟子
「しかも、原作ってマルチエンディングなんですよ。それを上手く処理して1つの結末にまとめてあるんです」
師匠
「それはすごいですね」
弟子
「しかも、ゲームってゲームだから成立しているシチュエーションってあるじゃないですか」
師匠
「『シェンムー』の主人公が、お父さんを殺されたのに何ヵ月もブラブラしてひたすらガチャを回し続けるとかですか(笑)」
弟子
「そういうのもありますけど、『バイオハザード』シリーズとかに出てくる、誰が用意したんだよというような鍵開けのパズルとか」
師匠
「あれはめんどくさいですよね。まだやれることが少なかったプレステ1の時代に、銃でゾンビ倒すだけだと退屈だし、プレイ時間を稼ぐために入れられたって聞いたことがありますが、プレステ5の時代のアクションゲームでアレをやられるとイラッとすることありますね」
弟子
「そのあたりがうまく、省略されているんですよ。あと、これはプチネタバレになっちゃいますが、プレイヤーが『えーっ』と思うようなことを主人公がやるシーンがあって、そこを視点を変えることで上手に処理してあります」
師匠
「お前さんの話だと、『エヴァンゲリオン』みたいにだいぶ謎が多いってことでしたが、そのあたりも小説で明かされていたりするのかい?」
弟子
「僕が小説版を読みたかった理由ってそれが大きくて、原作で『なんじゃこれ?』と思っていた人はだいぶスッキリするんじゃないですかね。あと、ホラー小説家だけあって、ゴア表現の描写はかなり上手いです。とにかく文章がいいですね。アレをこんな詩的な言葉で表現するのかとか、確かにこういう書き方をすれば伝わるな、という発見がたくさんありました」
師匠
「ドラマ版の『龍が如く』みたいに、『ここはこう変えました』みたいなオリジナル設定やオリジナル展開があったりはしないんですか?(笑)」
弟子
「ほとんどありませんね。小説としてわかりやすく省略したり再構成しているところはありますが、ゲーム中に読めるメモとかもちゃんと活かして、オリジナルに忠実に書かれています。ただ、忠実すぎて小説っぽさを期待するとちょっと物足りないと感じるかもしれません。読むゲーム実況みたいな感じではあります」
師匠
「主人公の声と動きを演じられていた加藤小夏さんの実況動画が話題になっていますが、小説版の朗読をしてもらっても面白いかもしれませんね」
弟子
「いいですね。かなりゲームのこともわかっているというか、ゲームを一本の物語として再構築する才能のある方なんで、今後、ゲームを映画化する時は黒先生にシナリオを書いてもらうのはアリだな、と思いました」
師匠
「いいですね。私の好きな『レーシングラグーン』を実写化する時はぜひお願いしたいです」
弟子
「残念ながらあのゲームが実写化されることはないと思います(笑)」
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