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国内外の「恋愛ドラマ」に前ほどハマれない…その理由を考えてみた

このブログを始めたのは、コロナ禍の真っただ中だった。
 
当時は、毎日のニュースに気疲れして、シリアスなコンテンツを見る気力がなくなっていた。頭をからっぽにして見られる国内外のラブコメディドラマに癒されていた。
 
評判の良いドラマがあれば、国、時代を問わずに視聴して、気まぐれに紹介してきた。その国の恋愛観、国ごとのベッドシーンの出現スピード、仕事観と恋愛観、国の放送規制……など、ドラマを通じて文化の観察も楽しんできた。

 現在、フォローしてくださっている方の中には、恋愛ドラマに関する記事を期待されている方もいると思うので、私が今、恋愛系のドラマとは距離を置いていることをお伝えしておきたい。

(初めての方は、過去記事から、私が恋愛ドラマを偏愛していたことが伝わると思う)

それでは、恋愛ドラマオタクが、ドラマから距離を置いた理由を記していく。


1:中国ドラマ/最近、政府の文化芸能に対する干渉がさらに強くなっている

noteでは、中国で配信中(おもに日本未上陸)のドラマについて多く書いてきた。この数カ月、中国政府が文化芸能への影響をさらに強めていると感じる機会がにわかに増えた。直近の例を紹介する。

  • 中国のスター俳優やインフルエンサーが皆そろってSNSで「抗日戦勝80年」を頻繁にPRしている(7月~9月)

  • 旧日本軍を扱った映画『731部隊』が柳条湖事件勃発の9月18日に公開。メディアは初日の客入り数を喧伝。クチコミサイトdoubanでは酷評が相次ぐものの、レビュー人数と点数はまだ表示されず(9月)

中国ドラマを好んで見てきた私でさえも「日本軍憎けりゃ、その子孫も現政権も憎い」という印象を与えても仕方のないような党の広報活動に後ずさりしてしまう。

多くの国が加害と被害の歴史を背負っている。現在の世界情勢を見渡すと、過去の被害の記憶を煽り、国民の憎悪を煽って軍事行動につなげる国がいくつかある。

この雰囲気、内政がうまくいっていないのかな……などと勘ぐってしまう。

そして、特定の分野の厳しい取り締まりは、往々にして、別の分野に飛び火することもあるので、今後のクリエーターの表現活動を案じている。
 
――というように、いろいろ気になってしまうので、今の私、中国のラブコメ視聴に向いてない。 

2:韓国ドラマ/過去のヒット作の焼き直しが増えたと感じる

数年前、ラブコメディには「型」があっても、設定や演技の違いを楽しめばいい…というようなことを書いた記憶がある。

 しかし、さすがにいろいろ見すぎた。正直「ああなって、こうなって、そうなるんだろうな」と感じた瞬間に3倍速ボタンが欲しくなる頻度が増えたので、もう「ラブコメ愛好家」を名乗らない方がいいと思った。
 
例えば、現在Netflix日本のドラマランキングでは、韓国ドラマの『暴君のシェフ』が常に上位にランクインしている。日本のレビューサイトFilmarkでは☆4.2(10/1時点)と評価がかなり高い。

しかし、何話か見てみたら「これ、中国ドラマの『シンデレラシェフ(2018年)』のキャラ設定と、日本の『信長のシェフ(2013年)』の構成と、香港映画の『食神(1996年)』の調理対戦をミックスしたような感じだな…」などと、思って早々に離脱した。そして、この感想は、世の中の評判とはかい離している。
 
もう、タイムスリップとか、生き直しとか、気難しい御曹司や世子との恋愛とか、リベンジ劇とか、超人間(宇宙人、神、鬼、精霊など)との恋愛劇に飽きてしまった。
 
非現実的な設定を純粋に楽しんだ時期があったのだが、今は純粋にラブコメを楽しむ心を失いつつある。

3:欧米のドラマ/仰々しいラブシーンで引いてしまう

それなりに人生経験を積んだ私は、「人生を変えるような、マジカルな性体験」や、「一生リビドーに支配され続ける運命のような関係」は、アメコミのヒーロー並みにファンタジーだということを心得ている。性生活の質や頻度で愛情を実測することがいかに難しいことかも、心得ている。
 
でも、欧米、特にアメリカのドラマは「充実した性生活を送れ!それですべて解決じゃ!」「燃えあがっているなら、態度で示せ!」みたいなシーンがあって、ちょっと胸やけすることがある。
 
お互いに意識し合った2人が土や砂の上で絡むシーンで「うわ、砂が性器に入ったら痛そう…」と思ってしまったり、食器をなぎたおしてダイニングをベッドにして抱き合うシーンは「うわっ、背中が痛そう」と思ってしまう。
 
刺激と情熱のバロメーターを恋人に示し続けなければならない関係、サステナブルじゃない。
 
かつて桐島洋子が「性の自由をむさぼりながら、愛の不毛にいらだち、崩れゆく家庭からさまよい出て新しい人間のきずなを求める男と女」と著書『寂しいアメリカ人』で描写していた言葉が脳裏をよぎる。
 
よって、今は「性から愛へ」的な欧米の恋愛ドラマ、気分じゃない。

4:ドラマを見ていると「現実」が頭をよぎる

恋愛ドラマにハマった5年前から時が経ち、育児のステージはずいぶん進んだ。上の子は小学生から高校生に成長した。地域の保護者と話していると、韓国のポップカルチャーにのめりこんだ思春期の子どもが、容姿に悩んで整形や痩身を望んでいる……という話を耳にはさむ。俳優たちの容姿は、先祖からのギフトと絶え間ない努力と、それを引き立てる職人たちの仕事による賜物だと思うが、演者のシミやシワや毛穴くらいちょっと見せてほしい。その点、日本や欧米のドラマを見るとちょっとほっとする。
 
また、私は日常的に、中国・韓国の苛烈な教育熱を間接的に浴びている。体感温度では、日本人の教育熱を軽く凌駕している。中国人の子どもが大泣きしながら塾に通うシーンを何度か目にしているし、子どもの成績を見て嗚咽するという同じ地域の母親のエピソードを耳にしたことがある。外国籍の母親とのちょっとした立ち話では、子どもの塾の送迎や学習サポート、習いごと費を稼ぐ仕事に追われ、ほっとできる時間がない、という声に触れる。
 
結婚を意識した恋愛をしているカップルがいるとする。結婚後、衣食住、子の教育に関するあらゆる問題に対峙するために、計算高く損得を勘定するスキルがますます必須になっている。ゆえに、アジア圏の未婚男女のラブコメディを見ていると、ハードモードな現実がチラつく。
 
結論、今は「結婚でハッピーエンド」系のラブコメに向いていない。

5:日本のドラマ/深夜ラブコメTL原作率高すぎ

最後に日本のラブコメ&恋愛ドラマ。玉石混交だが、昨今は「石」の比率が高いと感じている。というのも、少女漫画の「TL」(ティーンエイジャー向けのエロ漫画)を原作にしたドラマが乱発されているのだ。
 
直近の半年を振り返っても『キスでふさいでバレないで』『黒弁護士の痴情  世界でいちばん重い純愛』『ただの恋愛なんかできっこない』『橘くん抱いてください』など、TLコミックから仕立てたドラマが目立つ。皆さんは、これらのドラマの原作を読んだことがあるだろうか。

地上波では忠実に映像化するのが不可能な、エロ描写満載の内容だ。原作の上澄みをすくってドラマにした感じなので、ちぐはぐ感が否めない。コミックの中では、盛り上がりすぎて避妊具なし行為に及ぶ描写が含まれていることがあるので、少なくともティーンエイジャーには読んで欲しくないし、ドラマが原作購読の入口になってほしくない。

大好きだったのに、いつの間にか流し見するようになってしまった恋愛ドラマ。皮肉にも、恋愛のように、人の心は変わり続けることを教えてくれた。 
 
今後も、心に響いた書籍、音楽、ドラマを見つけたら、気まぐれに紹介していくと思う。正義がぶつかりあってヘイトの火花飛び散るネット空間の愚痴も書き綴りたくなるかもしれない。そして、幸運にも楽しめる恋愛ドラマに巡り合えたら、また感想を書いていくかもしれない。 

 


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