「大学・学校の志望理由」となる「志望先の特長・魅力」を適切に取り上げるために必要な考え方【志望理由書対策】
更新日:2025/05/11
小論文・作文指導者の〆野が普段の添削・採点指導で教えている、作文・小論文・志望理由書作成における実践的な技法をレクチャーするのが、このシリーズ【文章作成の実践】。
※記事内に広告があります。
(〆野の自己紹介はこちらから見られます。)
「なぜ、その大学・学校を志望したのか」という問いに対する有効な回答として「志望先の魅力やよい点・特長」を挙げるためには、どう考えるべきか?
志望理由書では、「なぜその大学・学校を志望したのか」といった「大学・学校の志望理由」を明確にする必要があります(※大学の他、専門学校や各種学校を志望する生徒もいるかと思いますが、これ以降は便宜的に「大学」の表記に一本化します。大学以外を志望する生徒は、「大学」のところを専門学校や各種学校に置き換えて、これ以降読み進めてください)。たとえば、「私は将来会社を起業し経営者になりたいと考えているため、貴学の経営学部を志望します。」と書いたとして、それ自体は「大学に進学する動機」として受け入れられる内容ではあります。しかし、これだけでは志望理由書として不十分な内容です。なぜなら、これ自体は「どうして『その大学の』経営学部を志望したのか」について何も回答をしていないからです。「経営者になりたいから経営学部に行きたい」、これはわかります。しかし、それは、「その経営を学ぶために、なぜその大学の経営学部でなければならないのか」という「大学側が一番聞きたい問い」に対しての回答になっていません。そのため、志望理由書の中では、「大学の志望理由」に言及することが不可欠になります。ここまでは、以下に挙げる記事でも、以前説明したかと思います。そこでは、「大学に進学する動機や必要性」を述べた上で、「なぜ、その特定の大学を志望したのか(大学の志望理由)」を述べるといったように、「二段構えで志望理由を考えることの必要性」について、お話ししました。
ここでは、その「大学の志望理由」に焦点を当て、「その大学を志望先として選んだ理由」をどのように考えてまとめるべきか、お話ししていこうと思います。なお、「大学の志望理由」は、志望理由書のメインの内容となるため、この記事は、私の志望理由書対策の記事の中で最も大切なものと言えます。
「こういった理由で、その大学を志望した」と言うには、「その大学を志望先として選んだ決め手となったこと」を挙げる必要があります。「その大学のこういうところがよい」、あるいは「その大学のこういうところが魅力である」といった自分の考える「よい点(特長)」や「魅力」があって、「だから、その大学を志望した」となるはずです。そうした「よい点」や「魅力」を適切にとり上げるためにどのように考えたらよいか、についてこの後、お話ししていきます。さて、どのような点に注意して「よい点」や「魅力」をとり上げたら、適切な回答となるのでしょうか?間違えやすい事例などを引きながら、説明していきます。
大学・学校が「教育・研究機関」であることを忘れるな
大学の「よい点」や「魅力」を挙げると言っても、いたずらに自分の「よいと思う点」を片端から挙げて並べ立てても余り効果はありません。むしろ、そうやって挙げられた「よい点」や「魅力」は、相手(大学側)が生徒に「よい点」や「魅力」と評価されたいことからずれていることが大半であり、この場合は、「大学の志望理由」として適切ではない内容となってしまいます。
たとえば、よくある「間違って『よい点』や『魅力』としてとり上げられやすいもの」を例で挙げると、以下のものがあります。
1.「家から近い」・「大学までの交通の便がよい」
2.「大学の周りは豊かな自然に囲まれた素敵な環境」
3.「新築なので、教室やキャンパスがきれい」・「学内にカフェテリアがあり、おしゃれ」
4.「(オープンキャンパスのときに)先輩方が親切だった」・「教員の方が優しい」
5.「(高校でやっていたラグビーを大学でも取り組みたいと考えているため)貴学のラグビー部が強いことが魅力」・「講義がないときはバイトができる」
これは、今まで私が志望理由書の添削をやっている中で「よく目につくNG例」です。
まず、1~3に関しては、「次に引っ越しする住居を探しているんじゃないだから……」とつっこみたくなります。これが、住居やホテルなどの宿泊先ならよいでしょう。しかし、相手は「大学」なのです。1は、単なる「通学の利便性」の話です。もちろん、悪いよりいいに越したことはありませんが、「これでこの大学を選びました」と言われたら、私が大学職員ならイスからずり落ちます。また、2は「大学の周辺環境」の話です。私が大学職員なら「いや、だったら大学自体の魅力を挙げてよ」と言いたくなります。「周りの環境のよさを言われても……」という感じです。3は「大学をホテルか何かと勘違いしているのかな」と思ってしまいます。「貴学はとても『おしゃれ』で『快適』でよいですね」と褒められても、大学側としては困ります。ホテルやカフェじゃないので、「おしゃれさを志向した空間つくりが一番の売り」ではありません。4はオープンキャンパスの経験を持ち出すのはよいですが、「教員や先輩方が優しい」と言われても、それは「個人の人柄の問題」であり、「大学自体のよさ」とは言えません。そうではなくて、むしろ「オープンキャンパスで何を学んだか」、そしてそこから「その大学で何を学べるとわかったのか」という点から志望先の魅力を挙げて欲しいです。5は完全な勘違い。「中学・高校の志望理由」なら「部活動も教育的指導の一環として推奨している」ためよいですが、大学の部活動は自主活動なので「その部活動の強さ」は「大学のよさ」とは言えません(※ただし体育学部・スポーツ健康学部系受験者やスポーツ推薦系選抜受験者は除く)。「バイト」に至っては意味がわかりません。大学から言わせれば「そんなの勝手にやってよ」という話です。
これらに共通して言えること、それは「大学が教育・研究機関であることを忘れているということ」です。当たり前ですが、「大学は勉強や研究をする場」なのです。ですから、ここでいう大学の「よい点」や「魅力」とは、単に「自分が『いいな』と素朴に思ったこと」ではありません。「自分が学ぶ上、その大学が教育・研究機関としてどのような点がよいのか」ということです。ここを履き違えてはいけません。
(「大学は教育・研究機関である」ということを忘れないでください)
志望先での「将来目標に向けた自身の学び」を現実的にイメージしよう
「自分が学ぶ上で、その大学が教育・研究機関としてどのような点がよいのか、魅力なのか」を挙げるためには、「志望先での自身の学び」を想定する必要があります。その想定がなければ、「その大学のどこが『自身が学ぶ場』としてよいのか」、答えることはできないでしょう。ですから、「大学の志望理由」をまとめるためには、「志望先で何をどういうかたちで学ぶのか」、リアルにイメージすることが大切です。
このときに注意して欲しいことは、「その学びが自身の将来の目標を実現するための取り組みである」ということを強く意識することです。恣意的に何かを学べばいいということではなく、「進学の動機として挙げた将来の目標をかたちにすること」という、その大学で学ぶことの大目的に向けた学びであることを決して忘れてはいけません。たとえば、「弁護士になりたい」と考えてその大学の法学部を志望したのであれば、「『弁護士になる』という究極目的をかたちにするために志望先で何をどのように学ぶのか」ということを考えるのです。そうした観点からそのような学びに活かされることを志望先の「よい点」や「魅力」として挙げられると、適切な選択となり有効な「大学の志望理由」としてそれらをまとめることができます。
まとめ~「大学の志望理由」の決め手となる「志望先の魅力やよい点」とは、「自身の目標実現のための学びにとってメリットとなるもの」である~
ほとんどの受験生は、「大学の志望理由」としてその大学の「よい点」・「魅力」を挙げる意識はあるようです。しかし、一部の生徒はそれらをとり上げる観点が少しずれています。
ただ、自分がいいなと思うことをいたずらに羅列していっても効果はありません。ここで言う「志望先の魅力やよい点」とは、「自分が将来の目標として考えていることを実現するための進学後の学びに活かされるようなもの」です。それは、具体的に言えば、志望先のカリキュラムや講座の内容、ゼミや研究室の研究内容、教育・研究施設としての設備の充実などを指します。志望先のことをしっかり調べた上で、これらのものを活かして、自身の目標をかたちにするための学びが志望先でどのように行えるか、現実的に考えてみましょう。そしてそういう点から「志望先の魅力やよい点」を挙げて、「大学の志望理由」をまとめていくとよいでしょう。
(こうした本も活用して、「大学の学び」について調べてみてください。大学は「学修や研究の場」であることを強く意識して、その大学の特長をおさえるようにしましょう。)
(志望理由書作成のためのサイトマップはこちら)
「志望理由書の書き方」にお悩みの方には、こちらの「〆野式テンプレ志望理由書作成法」がオススメ!(2025/03/25に値下げしました!)
医学部(及び医療系学部)志望者のための、志望理由書作成で押さえたい5つのポイント!
いいなと思ったら応援しよう!
「記事が参考になった!」と思われる方がいましたら、サポートしていただけると幸いです。いただいたサポートはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます! 