大学受験の志望理由は「二段構え」で考えよう!【志望理由書対策】
更新日:2025/04/02
小論文・作文指導者の〆野が普段の添削・採点指導で教えている、作文・小論文・志望理由書作成における実践的な技法をレクチャーするのが、このシリーズ【文章作成の実践】。
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(〆野の自己紹介はこちらから見られます。)
「その特定の大学を志望先として選んだ理由」の前に、「大学に進学する必要性」が問われるべきだ。
毎年、大体この時期(2025年2月現在)から「小論文や志望理由書の添削」仕事が徐々に本格化していくのですが、毎年のことにも関わらず一向に慣れないことがあります。それは「手が疲れる」ことです。ずっと赤ペンを握りしめて志望理由書の書かれた答案用紙に「赤入れ」し「コメント」を加えていきます。それが長時間にわたると手がだんだん痛くなるのです。すると、頭は回っているのですが書き込めなくなってきます。いずれ、腱鞘炎にでもなりはしないかとちょっと心配しています。
パソコン上で添削することもあるのですが、やはりいまだに紙の原稿の方が多いです。ですから、「ああ、また手が痛くなる時期がやってきたな」と思ってデスクに向かっています。毎年やっていることなので、「生徒さんの書く志望理由書のNGパターン」は大体頭の中に入っていてそれは問題ないのですが、手が疲れて痛くなってしまうのはどうも困ったもので……。何かよい解決策はないでしょうかね……。
さて、それはともかく、そうした「志望理由書のNGパターン」の中で最も多いと言ってよいものがあります。それが、今回のテーマに関わる、「頭から『その大学を志望先として選んだ理由』をいきなり書き出しているNGパターン」です。「私が貴学の○○学部△△学科を選んだ理由は~」といきなり始まるような志望理由書ですね。これ、一番多いNGパターンです。「え?それの何が悪い?だって、「志望理由」書でしょ?その大学を志望した理由書いて何がおかしいの?」とお思いの方も多いかもしれません。今回は、これの何がまずいのか説明しながら「志望理由は「二段構え」で考えよう!」というお話しを、志望理由書対策として、していきます。
最初に、「なぜ大学に進学するのか」について、明確に回答をすること!
「『志望理由書なのだからその大学を選んだ理由』を書いて何が悪いの?」、そう思う方が大多数でしょう。もちろん、それ自体は何も悪くありません。むしろ、志望理由書の中で、「なぜその大学とその大学の学部・学科を選んだのか」に相当する「大学の志望理由」はメインの内容と言えます。だから、それを書くこと自体が悪いわけではありません。「その内容から書き出すこと」、「その内容しか書いていないこと」、それがまずいのです。
それは、そもそも前提となる「なぜ大学に進学する必要があるのか」についての十分な回答がないまま書き出しているからです。「その大学を選んだ理由」の前に「大学に行かなければならない理由」が語られないのは、「話の順序」としておかしいし、志望理由書として不十分な内容と言えます。たしかに「高校を卒業したら大学に進学すること」は一番多い進路かもしれませんが、決して「既定路線」でも何でもありません。「専門学校やその他の学校に進学する」、「海外の大学や学校に留学(進学)する」、また「企業や官公庁などに就職する」など、将来進路として多くの「ルート」があるはずです。したがって「そうしたルートの中で、なぜ『大学進学の道』を選んだのか」について回答しないのは、話の順序としておかしいと言えます。「こういうことで大学進学を決意した」という話があってから、その上で「では、多くある大学の中でもなぜ貴学を選んだのか」という話に進むのが「本来の志望理由書の流れ」ではないでしょうか。
たとえば、将来はどうしようかと考える中で、あることをきっかけとして「医者になりたい」とあなたが考えたとします。日本では、医師になるには大学に進学しないといけません。それ以外のルートは日本国内にはないのです。ここに「大学に進学する必要性」つまり「大学に進学する動機」が生じます。ではその上で、実際どこの大学の医学部に進学するべきか……、とこのように話が進むはずです。
それにも関わらず、いきなり「その大学を進学先として選んだ理由」から書き出すのは少し話が飛んでいます。前述した通り、「大学に行くこと」は「誰でも当てはまる、当たり前の規定事項」でも何でもありません。ですから、その「大学に進学する必要性」が明確に示されていないにも関わらず、「貴学を志望した理由は~」と話を始めるのは、話の前提を無視している、説得性を欠く内容と言わざるを得ません。
「大学に進学する必要性」があることを示した上で「その特定の大学を選んだ理由」を述べる。
「大学に進学する必要性」、それは具体的に言うと「大学に進学しないと自分の『将来の夢』がかなえられない」ということです。あなたが医者になるという夢をかなえるためには、是が非でも大学医学部へ進学せざるを得ないわけです。こうした前提条件があった後に、「では貴学の医学部への進学を決意した理由は~」と個別具体的な「その特定の大学を選んだ理由」を述べていく、これが、最もスタンダードにしてぬかりない「志望理由書の書き方」です。
つまり、「なぜ大学に進学するのか」という問いに回答してから、それを踏まえて「なぜその特定の大学を進学先に選んだのか」という問いに回答するといったように、二段構えで、志望理由は考えるべきなのです。
そして、当然このとき「なぜ大学に進学するのか」に対する回答とは、あなたの「将来の夢」です。「医者になりたい」という「将来の夢」があるからこそ、「そのためには大学に進学しなければならない」という話になります。その上で、「自分なら、多くある大学の中でどの大学に進学したいか」について考えていくべきです。
(将来の夢を見つけるためのブックガイド記事)
「大学に進学する必要性」が語られないまま、「その大学を進学先に選んだ理由」を語りだすことの「奇妙さ」が、これでわかったかと思います。そして、今までこの「奇妙さ」にひっかかりを感じなかった人は、「高校卒業したら大学に行くのが当たり前」と何の疑問も持たず思っていたのではないでしょうか。しかし、それは「当たり前」ではありません。「大学に行く」には「大学に行くことへの動機や理由」がなければおかしい……と少なからず大人(読み手)は思います。これは、志望理由書を書く必要のある受験生は、ぜひ知っておくべきことです。
まとめ ~大学受験の志望理由は「二段構え」で考えること。~
以上の話から、志望理由は「二段構え」で考えるべきだ、ということが言えます。将来の夢を明確に示して「大学に進学する理由や動機」をはっきりと述べて、その上で「その大学や学部・学科を選んだ理由」について述べていくとよいでしょう。
別の言い方をすると、志望理由には、「専門学校への進学や企業への就職ではなく、大学への進学を選んだ(大学を志望した)理由」と「その○○大学の△△学部を志望した理由」とがあって、後者は、前者を前提にして成り立つということです。
このように、志望理由は「二段構え」で考えて、志望理由書の内容を組み立てていくとよいでしょう。
※注:この記事内では、一般的な「800字の志望理由書」の作成を想定しています。大学によっては、250~300字程度の志望理由が課される場合があり、そのときは「その大学を選んだ理由」だけを端的にまとめましょう。
(頭から「志望大学を選ぶ」と「大学選び」から考え始めるのではなく、まずは「大学とは何か」について考え「自分が大学に行かなければならない理由」を考えてみるとよいでしょう。自分の将来や人生にとって、大学がどういうものなのかを考えることができる一冊です。)
(志望理由書作成のためのサイトマップはこちら)
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