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志望先の前に「大学」のことをよく知ってから、志望理由書作成に臨んだ方がいい!~高校生が間違えやすい「大学」のこと~【志望理由書対策】

更新日:2026/02/28

 小論文・作文指導者の〆野が普段の添削・採点指導で教えている、作文・小論文・志望理由書作成における実践的な技法をレクチャーするのが、このシリーズ【文章作成の実践】。

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(〆野の自己紹介はこちらから見られます。)


「大学」のことを正しく理解していないと、「ずれた」志望理由書になる。

 昨日も、いつものように高校生の志望理由書を添削していましたが、ふと「大学」のことを誤って理解していると思われる答案がいくつかありました。そのため、「志望先の魅力」や「志望先での学び」として挙げていることが少しずれていました。大学を、どうも高校の延長線上で考えているようでした。

 まだ大学に進学していない高校生が、自分が今通う高校からのイメージで大学をとらえるのはやむを得ないことかもしれませんが、それでは志望理由書を適切な内容でまとめることはできません。志望先のことについて考えるよりも先に、まずは「大学とは何か」について正確な認識を持つ必要があると考えたため、今回は、「高校生が誤って考えやすい、『大学』のこと」についてまとめていきます。

(志望理由書は、当然相手の読み手(大学)のことを知っていなければ、書きようがありません。)

大学から教育のフェーズが変わる。

 ある志望理由書で、中等教育を中学校の教育の意味で、また高等教育を高校の教育の意味で書いているものがありましたが、これは完全な誤りです。中等教育は主に「中学・高校の教育」を指し、高等教育は主に「大学の教育」を指します。

 日本の学制は「6・3・3・4」制と言いますが、このうち、小学校の6年を「初等教育」、中学校の3年と高等学校の3年を合わせて「中等教育」、大学の4年を「高等教育」と言います。そのため、「生徒」も、小学校は「児童」、中学校・高校は「生徒」、大学は「学生」と一般的には呼び分けます。ちなみに、こうしたことから、中学(前期中等教育)と高校(後期中等教育)が一貫している教育システムをとる学校を「中等教育学校」と呼ぶわけです。

 しかし、これは単に言葉や呼び方が違うということではありません。大学からが「高等教育」であるということは、実際、大学から中高と異なる、別の「教育のフェーズ」に入ることを意味します。

 高等教育は、中等教育を修了した者が次に進む最終教育段階であり、大学をはじめ、高等専門学校や専門学校、その他の各種学校がそれに該当します。中高までの教育との違いの主だったものとしては、「学位や学術称号の授与」があります。高等教育を行う教育機関には、その授与の権限があります。たとえば、高校を卒業しても何も授与されませんが、大学を修了するとその者には「学士号」が授与されます。これはその学問分野の専門教育を修めたことの証です。また、「学部・学科制」をとっていることです。中高までは全ての生徒が同じカリキュラムの下で同じことを学びますが、大学からはそれぞれの学生がそれぞれの専門に分かれて学びを進めることになります。たとえば「法学部法学科」では法学について専門的に究めるのです。さらに、高等教育には「エリート職業人の育成」という目的もあります。社会で活躍する有能な職業人になるための教育がそこでは施されます。

大学は教育機関であると共に研究機関である。

 大学の高校との大きな違いの一つとして、「大学は教育機関である共に研究機関である」ということも挙げられます。そのため、大学の認証評価機関はいくつかありますが、いずれも大学に対する評価においては、「教育の質」のみならず「研究の成果や実績」も対象としてなされます。大学には学部と共に大学院が設置されていることが常で、大学卒業後に希望する者は大学院に進学することができます。この大学院は、たとえば「法学研究科」というように「○○学研究科」と呼ばれることがほとんどです。これは、大学が研究機関の側面を持っていることを意味しています。大学院には修士課程と博士課程があります(実際はもっと細かい区分けがある)が、ここから先は、いわば「研究者への道」です。自身が専門とする学びをより究めていくこととなります。

(「〇〇学研究科」とは、「学科」ではありません。大学院のことです。)

 したがって、「大学の先生」は高校の先生とは違います。高等学校教諭(高校の先生)は「生徒を教えるのが仕事」ですが、「大学の先生」は「学生を教えるのも仕事の一つ」としてありながら自身もまた専門の学問を探究する「研究者」でもあります。「自分の研究を行う傍ら、後進の育成にも当たっている」というイメージの方が正しいです。そのため、「大学の先生」は先生とは言わず(志望理由書では注意してください)、それぞれ「教授」、「准教授」、「講師」、「助教」、「助手」と呼びます。また、「大学の先生」に中高の先生のような「教員免許」はありません。そのため、経歴も様々です。たとえば教授は、基本的には「博士の学位を有している」人がほとんどですが、「その専門の学問分野において優れた実績や成果を挙げた人(やそれと同等の能力があると評価された人)」もなることができます。したがって、芸術学系学部で著名な芸術家や作家が教授を務めたり、また経営学系学部の教授として一流大手企業の役員が招聘されたりすることもあります。いずれにしても、彼らはその専門の道を究めた「一流人」でありながら今後もその道を究め続ける「探究者」であり、その傍らで、みなさん学生の指導をしているのです。

(話している中で「△△先生」と呼ぶことはありますが、志望理由書や願書などの「書類」の中では、「大学の先生」と言わず「大学教員」や「教授や講師など」と表記します。✕「オープンキャンパスでは、貴学の先生方に大変お世話になりました。」〇「……、貴学の教授や講師の方に……」)

 「少人数の授業で学習しやすい環境だと感じ、貴学を志望しました」と書いている志望理由書がありましたが、これだけでは内容として不十分です。その大学の教育環境としてのよい点だけでなく、研究機関やその環境としてどういう点がよいのか挙げられるとよいでしょう。

大学の部活動やサークル活動は、原則生徒の自主性に委ねられている。

 よく「大学に進学したら、勉学と共に部活動にも力を入れて頑張りたい」と書いている志望理由書があります。しかし、これは「中学生が志望の高校に入るときの志望理由書」であればよいですが、大学入試の志望理由書としては余り効果的と言えません。理由は、中高と大学との部活動やサークル活動の意味合いの違いにあります。極端な言い方をすると、中高の部活動は学校が奨励して行っていることですが、大学の部活動は原則的に「学生が学習や研究の合間に余暇として勝手にやっていること」なのです。

 文科省は、中高の特に運動部の活動や指導に対して、『運動部活動での指導のガイドライン』など様々なガイドラインを出しています。これは、中高においては、そうした部活動もまた、教室で教科の勉強と同じく「教育的指導の一環」として行っているからです。だから、中高としては「机上の勉強も部活動も、文武両道で生徒には頑張って欲しい」と思って部活動を推奨しているので、「勉学と共に部活動にも力を入れて頑張りたい」と高校入試の志望理由書に書いても何ら問題はなく、むしろそれは適切な内容と言えます。

 しかし大学の部活動やサークル活動はそうではありません。まずサークルは基本学生が主体的に行っているものであり、その活動に大学は原則関与しません。言ってしまえば「趣味の世界」であり、「学生が勝手にやっていること」です。ただし、ボランティアサークルなどで一定の社会への取り組みなどが内外で評価されたことから、「大学の公認サークル」となってその大学のウェブサイトでその活動が紹介されるなどと言ったことはあります(公認か非公認かは大学によって異なる)。また、部活動は大学が認可し、顧問をつけるなど、さまざまな条件をクリアしたうえで部として認められることが大半ですが、原則は学生の自主運営です。部費を部員から徴収して、そこから運営に必要なお金を出します。監督もいなくはないですが、その監督が主体となって部を運営するというよりかは、学生が監督に指示を仰ぎながら競技に取り組むというイメージです。ただ、大学が認可する以上、たとえば「××部全国大会で優勝」というのは大学にとってもいい宣伝になりますから、大学広報のいろいろな場でその部活動の様子が紹介されることがあります。

 したがって、志望理由書で「部活動に力を入れて頑張りたい」と言われても、大学はほとんど関与していないので大学からすれば「勝手にやってちょーだい」となるのです。別に大学がその部を運営しているわけでもなく、その部活動を推奨しているわけでもないので、それを述べることは「大学進学の理由」にもならず、また「その大学に入りたい強い気持ちのアピール」にもならないのです。

※注:「体育大学や体育学科・スポーツ科学科を志望している場合」や「高校でのスポーツ活動の成果や実績が要件となっている学校推薦型選抜を受ける場合」はこの限りではありません。「部活動に頑張って取り組む」こともまた、この場合は有効なアピールになります(それも志望先での専門的な学びとつながるため)。

まとめ ~「大学とは何か」を理解して、志望理由書の作成に臨もう。~

 高校の延長線上で大学を考えていると思われる志望理由書が多いです。それによって、大学に対して誤った認識やイメージを持ってしまい、それによって「ずれた」志望理由書になってしまっています。

 志望理由書を書く前に、大学がどういうところなのかしっかりリサーチしてから志望理由書の作成に臨みましょう。

(大学がどういうところなのか正しいイメージをつかみましょう。志望大学のことが在学生・OB・OGのコメントで具体的にわかります。)


(志望理由書作成のためのサイトマップはこちら)


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