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採卵前の鍼灸|受ける時期と体調管理の考え方

採卵前の鍼灸について、受け始める時期や体調管理の考え方を正直に解説します。
「卵子の質が上がる」といった断定表現は避け、判断材料をお届けします。


結論

採卵直前に鍼灸を始めても、翌周期の採卵結果がすぐに変わるということは、生理学的にも臨床経験上も考えにくいというのが実情です。卵子のもとになる細胞が成熟するまでには生理学的に数ヶ月かかるとされているため、採卵に向けて取り組む場合は、直前ではなく数ヶ月前からの体調管理が一般的に推奨されています。
本記事では、この考え方と、当院での対応をお伝えします。

このページが対象とする人

  • 体外受精の採卵を控えており、鍼灸をいつから・どのくらいの頻度で受ければよいか知りたい方

  • 「卵子の質を上げる」という謳い文句を見かけ、本当なのか確かめたい方

  • 採卵前の体調管理として、何に気をつければよいか知りたい方

なお、本記事は特定の症状や疾患の診断・治療を目的としたものではありません。ご自身の状態に関する判断は、必ず医療機関にご相談ください。

用語の説明

  • 採卵:体外受精・顕微授精のために、卵巣から卵子を取り出す医療行為

  • 卵胞:卵子を包む袋状の構造。卵巣の中で原始卵胞から成熟卵胞へと、段階的に発育します

医療機関で一般的に行われる検査・治療

採卵のスケジュール・方法(排卵誘発剤の使用等)は、医療機関の医師が個々の状態に応じて決定するものです(要確認:詳細は受診先の医師にご確認ください)。鍼灸は、この医療行為そのものに関与するものではなく、あくまで体調管理の一環として並行して選択されるものです。

鍼灸で行うこと

不妊鍼灸は、体調を整えることを目的として行われる施術です。採卵前に鍼灸を受ける場合も、「採卵の結果を良くする施術」ではなく、「体調を整えることを目的とした施術」という位置づけであることを理解した上で検討いただくことが大切です。

東洋医学的な視点:採卵に向けて体を整えるということ

東洋医学では、生殖にかかわる力の源を「腎精(じんせい)」と呼び、日々の睡眠・食事・ストレスの状態によって、その充実度が左右されると考えられています。採卵は、体にとって負担の大きいプロセスであり、東洋医学では、そのプロセスに向き合う体を、気血(きけつ)の巡りを整えることで支えていくという考え方を大切にしています。数ヶ月前からの通院をおすすめしているのも、腎精は短期間で急に養われるものではなく、時間をかけて整えていくものと考えられているためです。

(上記は東洋医学における伝統的な理論・考え方であり、現代医学的に検証された生理学的機序ではありません。)

研究で分かっていること

体外受精と併用した鍼灸の効果については、系統的レビューで結果が分かれており、研究間で一致した結論が出ていない状況です。「採卵前に鍼灸を受けると卵子の質が上がる」という主張を見かけることがありますが、これを厳密に検証した質の高い研究は、現時点で確認できていません(要確認)。詳しくは「不妊鍼灸に効果はある?研究で分かっていることと限界」をご参照ください。

卵胞発育の期間について

卵胞(卵子を包む構造)が発育し、排卵可能な大きさになるまでの期間については、情報源によって「約3ヶ月」「約180日」など、異なる数字が紹介されていることがあります。これは、卵胞発育のどの段階を起点として数えるかによって数字が変わるためです。卵胞発育の最終段階(二次卵胞から排卵まで)だけでも約3ヶ月を要するとされています(徳島大学「月経周期と妊娠の成立機構」等)。一方、その前段階を含めた卵胞全体の発育期間として、より長い期間を紹介している情報もあります。単一の数字を鵜呑みにせず、「数ヶ月単位の時間がかかる生理的なプロセスである」という大まかな理解に留めておくことをおすすめします。

まだ分かっていないこと

  • 研究間で結果にばらつきがあり、指標によって結論が異なります

  • 「採卵前に鍼灸を受けることで卵子の質が向上する」というメカニズムについて、厳密に検証された質の高い研究は確認できていません

当院での対応

採卵前の鍼灸について、よくいただくご質問に「採卵の直前に鍼灸を受けた方がよいか」というものがあります。当院の考え方は以下の通りです。

院長のコメント(臨床上の考え方) 「採卵直前に鍼灸を始めて、その翌月の採卵結果がすぐに変わったという経験は、生理学的にも、私自身の臨床経験上も、ありません。卵子のもとになる細胞が成熟するまでには、生理学的に約3ヶ月かかるとされているため、採卵に向けて取り組む場合は、3ヶ月ほど前からの体質改善が重要だと考えています。」

渋谷にあるふくもと鍼灸治療院

症例のご紹介(一つの事例として)

当院での一つの事例として、以下のようなケースがあります。1年間、体外受精の採卵ができなかった方が、当院での6ヶ月間の施術を経て、採卵・凍結に至ったケースです。

(このケースを読む上での重要な前提:これは当院における一つの個別症例であり、同様の結果を保証するものではありません。この6ヶ月の間に、医療機関側での治療方針や使用薬剤等が変更された可能性も考えられ、鍼灸のみの効果によるものと断定することはできません。成功した一つの事例をもって、一般的な効果として一般化することは適切ではないため、あくまで参考情報としてご紹介しています。)

匿名症例・院内データ

当院では2019年〜2025年の7年間に、374名・延べ425症例の妊娠に至った記録を院内で集計しています(体外受精65.6%・自然妊娠27.1%・人工授精7.3%、詳細は「東京で不妊鍼灸を探している方へ|後悔しない鍼灸院の選び方」の記事でご紹介しています)。

(このデータを読む上での重要な前提:本データは「妊娠に至った症例」のみを集計したものであり、妊娠に至らなかった方の人数は含まれていません。そのため、妊娠率や施術効果を示すものではありません。)


通院の目安

当院では、体外受精に取り組む前提で体質改善から始める方には、3ヶ月〜半年ほど前から週1回程度の通院をおすすめしています。採卵直前からの通院開始よりも、余裕を持った期間での通院を基本としています(詳細は「渋谷の不妊鍼灸|体外受精・人工授精・自然妊娠の段階別サポート」をご参照ください)。実際の通院プランは、初診時のカウンセリングをもとに個別にご提案いたします。

費用

はり・きゅうの施術は、原則として健康保険の対象外であり、全額自己負担となります。当院の費用は以下の通りです(税込)。

項目 費用 初診料 5,500円 鍼灸・手技療法・整体(1回) 8,000円

初回合計 13,500円 2回目以降 8,000円

回数券・パッケージ料金は設けておらず、毎回都度払いとなります。医療費控除の対象となり得る点、
費用の詳細は「不妊鍼灸の料金はいくら?費用・回数・医療費控除を解説」をご参照ください。


リスクと注意点

鍼灸施術には、一般的に以下のようなリスクが伴う可能性があります。

  • 痛み:刺鍼部位に一時的な痛みを感じることがあります

  • 内出血:刺鍼部位に内出血(あざ)が生じることがあります

  • 倦怠感:施術後に一時的なだるさを感じる方がいます

採卵前後は、排卵誘発剤の使用等により体調が変化しやすい時期でもあります。鍼灸を受ける場合は、医療機関での治療スケジュール・体調を鍼灸院にも共有し、相談しながら進めることが重要です。

医療機関への受診を優先すべきケース

以下のような場合は、鍼灸を先に検討するのではなく、速やかに医療機関に相談・受診することが推奨されます。

  • 採卵前後に、強い腹痛や体調の急変等がある場合(卵巣過剰刺激症候群等の可能性も考えられるため、まずは医療機関にご相談ください)

  • すでに医療機関で採卵スケジュールが組まれており、医師の判断を優先すべき場合

鍼灸は医療機関での検査・診断・治療の代わりになるものではありません。採卵のスケジュールや方法についての判断は、必ず医療機関の医師にご相談ください。

よくある質問

Q1. 採卵の直前に鍼灸を受ければ、卵子の質は上がりますか?
採卵直前に鍼灸を始めて、その周期の結果がすぐに変わるということは、生理学的にも当院の臨床経験上も考えにくいです。「直前に受ければ質が上がる」という考え方ではなく、数ヶ月単位で体調を整えていくものとして捉えていただくことをおすすめします。

Q2. 採卵に向けて、いつから鍼灸を始めるのがよいですか?
卵子のもとになる細胞が成熟するまでには、生理学的に数ヶ月かかるとされているため、当院では採卵に向けて取り組む場合、3ヶ月ほど前からの通院をおすすめしています。ただし、これは鍼灸による卵子の質の向上を保証するものではありません。

Q3. 採卵前後に鍼灸を受けても安全ですか?
採卵前後は体調が変化しやすい時期のため、医療機関での治療スケジュール・体調を鍼灸院にも共有し、相談しながら進めることが大切です。強い腹痛等の症状がある場合は、鍼灸ではなく医療機関にご相談ください。

Q4. 「採卵前に鍼灸を受けると着床率が上がる」というのは本当ですか?
このような主張は他の鍼灸院の情報でも見られますが、これを厳密に検証した質の高い研究は確認できていません。研究間で結果にばらつきがあるのが実情です。

Q5. 何回くらい採卵できなかった場合に、鍼灸を検討すべきですか?
回数に関する明確な基準はありません。採卵の結果や今後の治療方針については、まず医療機関の医師にご相談いただくことが基本です。その上で、体調管理の選択肢の一つとして鍼灸を検討される方もいらっしゃいます。

まとめ

採卵前の鍼灸は、直前に受けることで即座に結果が変わるものではなく、数ヶ月単位で体調を整えていくものとして捉えることが大切です。
「卵子の質が上がる」といった断定的な表現には、根拠が示されているかを確認しながら向き合うことをおすすめします。採卵のスケジュールや方法についての判断は、必ず医療機関の医師にご相談ください。

参考文献

  • 徳島大学 徳島生殖医療研究室「月経周期と妊娠の成立機構」https://tokushima-rml.clin.med.tokushima-u.ac.jp/supportive/supportive02

  • 全国健康保険協会「はり・きゅう、あん摩・マッサージのかかり方」https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/sb3080/r140/

※個別の症状・治療方針については、必ず医療機関にご相談ください。

執筆者/監修者/更新日

  • 執筆:福本晋平

  • 監修:福本晋平(ふくもと治療院 院長・はり師/きゅう師)

  • 更新日:2026年8月12日



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