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【第2回 M&A回顧録】「ありえない社員」が教えてくれた性悪説と、ビビり社長が陥ったM&A仲介会社の罠。

毎日、部下の「権利は主張しますが、義務は果たしません!」という鋼のメンタルと無敵のバリアの前で、静かに胃薬を噛み砕いているビジネスマンの同志たちよ。本当にお疲れ様だ。

無事にM&Aで会社という名の「火の車」を売り払い、今やすっかり「Timelesz」のライブでファンサ(ファンサービス)をもらうためのウチワ作りに精を出している「社長辞めた郎」だ。最近はストーンのデコりすぎで指先が常にキラキラしている。

さて、前回は「穴の空いたダンボール舟でM&Aの海に漕ぎ出した」という第1回の回顧録をお届けしたが、今回はその続きだ。

2年経った今だからこそ笑って話せるが、あの泥船の底にドリルで穴を開けようとしていた「ありえない社員」の存在と、ビビりまくっていた俺が陥った「M&A仲介会社選びの罠」について、振り返っていこうと思う。


当時の記事はこんな感じ。「社員って怖いの巻」


第2回はこんな感じだ。HSPでビビりな元社長な俺は「性善説」の無力さを痛感する。経営者は「性悪説」に基づき、情を排除したガチガチの社内ルールを作るべきだと気づく。労務規定はトラブル時のドライな「議論の土台(プロレスのリング)」だ。
また、M&A仲介会社選びでは、ビビって最初に来た会社の言うことを鵜呑みにし、他社と相見積もりを取らなかったことを後悔。
情に流されずドライな判断が必要。情報収集だけでも選択肢が増え、孤独な社長のメンタルは救われると結ぶ。


日本は「社員天国」。モンスター社員と戦うための「性悪説」

今振り返っても、当時の俺の会社にいた「あの社員」の態度は、控えめに言って「マジでありえない」レベルだった。

給料をもらいながら「いかに働かないか」をライフワークにしているようなタイプで、俺が何か指示を出せば「それは私の業務範囲外です」と、まるで魔法の呪文のように弾き返してくる。そして福利厚生の規定を変えようとしたり、会社のお金で個人のもの(未来の家庭のもの)を買おうとしたり買ったり。普通に横領ですから。。。

ただ、経営をやってみて骨の髄まで理解したのだが、「日本という国は、世界でも類を見ないほど社員に優しい会社・社会」なのだ。

労働基準法という最強の盾は、社員を守るための絶対領域であり、経営者側からすれば「防御力無限大のスライム」を相手にしているようなもの。ちょっとでも強めに指導しようものなら、すぐに「パワハラだ!」と毒を吐いてくる。これは良い面もあるが、経営者にとっては劇薬にもなる。

だからこそ、俺が声を大にして言いたいのは、「経営者は、どんなに社員と仲が良くても『性悪説』で組織を見なければいけない」ということだ。

「うちの社員はみんな家族みたいだから」「あいつは裏切らないから」なんていうのは、お花畑をスキップする少女の妄想に等しい。

人間は弱い生き物だ。隙があればサボるし、ルールがなければ自分に都合よく解釈する。 だからこそ、性悪説に基づいた「ガチガチの社内ルール」を作る必要があったのだ。


労務規定は「愛」ではなく、プロレスの「リング」である

では、具体的にどうするか? それは、労務規定や給与規定といった社内ルールを、辞書レベルで細かく、そして冷酷に作り込むことだ。

これは決して社員をいじめるためではない。いざトラブルが起きたとき、感情論の泥試合(「言った言わない」「そんなつもりじゃなかった」)を防ぐための、「議論の土台(プロレスのリング)」を作るためなのだ。

ルールが明文化されていれば、「君のこの行動は、第〇条に違反しているからペナルティね」と、感情を交えずに事務的に処理できる。

そう、経営者は時にサイボーグにならなければいけない。情を完全に排除し、極めてドライで合理的な意思決定をする。それが会社という舟を沈めないための、唯一にして最大の防御策なのだ。

「社長の愛」なんてものは、給料袋の中には1円も入っていないのだから。



M&A仲介会社は「合法的な吸血鬼」? 最低5社は比較しろ!

そして、組織作りと同じくらいシビアにならなければいけないのが、「M&Aの仲介会社選び」だ。

当時の俺は、HSP特有のビビリと「早くこの地獄から抜け出したい」という焦りから、最初に出会った仲介会社の言葉を鵜呑みにして、そのままズルズルと話を進めてしまった。

だが、今なら過去の俺の胸ぐらをつかんで往復ビンタをかましてやりたい。

「情報収集のタイミングならまだ時間はあるんだから、必ず『5社以上』は話を聞け!」と。

M&A業界というのは、魑魅魍魎が跋扈するサバンナだ。 特に絶対に確認しなければならないのが「手数料周り」の仕組みである。着手金はいくらか、月額報酬はかかるのか、そして何より「最低手数料(ミニマムフィー)」はいくら設定されているのか。

これをしっかり比較せずに契約書にハンコを押すとどうなるか? 「やったー!会社が2000万円で売れたぞ!」と喜んだのも束の間、「はい、うちの最低手数料は2500万円なんで、500万円の赤字ですね。お疲れ様でした!」と、売却益を根こそぎ持っていく「合法的な吸血鬼」みたいな契約すら普通に存在するのだ。



ビジネスに「純愛」はいらない。相見積もりは常識だ

当時の俺は、「複数の仲介会社に同時に話を聞くなんて、なんだか浮気をしているみたいで申し訳ない……」などと、少女漫画の主人公のような謎のピュアさを発揮していた。

そのため、1社と話してダメだったら次……という直列つなぎで進めてしまった。

これが、今思えば決定的に「遅かった」と後悔している最大のポイントだ。

ビジネスにおいて、相見積もり(同時進行)は息を吸うのと同じくらい当たり前の行為だ。仲介会社側だって、他社と比較されていることくらい百も承知である。

「御社にお願いするかは、他4社と話してから決めますね」とドライに言えるサイボーグ力があれば、もっと早く、もっと条件の良いマッチングができたかもしれない。


ドライに生きろ、そして逃げ道を確保しろ

会社を守るためのルール作りも、会社を売るための仲介会社選びも、根底にあるのは「ドライで合理的な判断」だ。 情に流されたり、ビビって行動を制限したりすれば、最後に泣きを見るのは経営者自身である。

もし今、当時の俺のように会社という泥船で一人震えている経営者がいたら、騙されたと思ってとりあえず「5社の仲介会社」にコンタクトを取ってみてほしい。

売るか売らないかは別として、自分の会社にどれくらいの価値があるのか、どんな買い手がいるのかという「情報とコネクション」を持っておくだけで、精神的な余裕は劇的に変わるはずだ。

さて、過去のトラウマを文字にして少しスッキリしたところで、俺は明日のライブに向けて、ウチワに蛍光ピンクのシールを貼るという「極めて情熱的で非合理的な作業」に戻るとしよう。

俺の旅は終わらない。

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