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歩ける酒の町、上諏訪。1泊2日で酒蔵も城も温泉も回りきる歩き方

上諏訪の何がいいって、全部が歩けることです。

酒蔵取材を行った後に足を延ばして見学をしたいな、と思うとレンタカーが必要なことも多々。するとお酒が飲めないのである。
でも上諏訪なら、酒蔵も、城も、パン屋も、花屋も、温泉も、角打ちも。駅を出てから帰りの電車に乗るまで、わたしはほとんど歩いていました。

足りない距離は、電動自転車が埋めてくれます。自転車なら30分でも1,2時間でも借りて、ササっと返却すればいい。それに湖畔を走るのは実に気持ちいい!

2日間の記録を、写真とともに。


◉ 1日目|駅に着いて、まず足湯

太郎さん、りんくちゃんと一緒に、電車で上諏訪へ。

改札を出る前に、足湯があります。ホームの足湯です。着いてすぐ、荷物をもって靴を脱ぎました。旅の始まりが、これって嬉しい。日々戦闘モードのわたしでも、ここで「OFF」に切り替わります。

諏訪は温泉の町です。あちこちで湯が湧くので、駅にまで足湯があります。

DATA: 上諏訪駅 足湯/JR上諏訪駅構内

◉ 1日目|五蔵をめぐる

上諏訪駅から歩いて、甲州街道沿いへ。わずか500メートルほどのあいだに、5軒の酒蔵が並んでいます。舞姫、麗人、本金、横笛、真澄。「諏訪五蔵」です。

この日は真澄にお仕事でうかがったので、訪れる前に、ほかの4蔵を訪ねました。蔵の話は長くなるので、別の記事に書きます。

(諏訪五蔵の記事はこちら )

◉ 1日目|olde、リビセン、宵々酒店

宮坂醸造の宮坂勝彦さんが、町を案内してくれました。

まず「olde(オルデ)」。太養パン店の向かいにある花屋です。店の名前は「いつでもココにおるで」から。見たことのない形の花が並び、店の一角にはレコードも置いてあります。花とレコード。買う予定がなくても入ってしまう店です。

DATA:
olde(オルデ)/長野県諏訪市末広(太養パン店の向かい)
花とレコードの店

そして「リビセン」。ReBuilding Center JAPAN。
2016年にできた、古材と古道具のリユースショップです。解体される建物から古材や古道具を引き取ることを、この店は「レスキュー」と呼びます。1階が古材とカフェ、2階と3階が古道具。元は工務店だった、1,000平米ほどのビルまるごとです。

上諏訪でいま増えているカフェや食堂やパン屋の内装には、たいていこの店の手が入っています。太養パン店も、そのひとつ。

DATA:
ReBuilding Center JAPAN(リビセン)/長野県諏訪市小和田3-8
2016年設立。古材・古道具のリユースショップとカフェ

それから「宵々酒店」。2022年に末広商店街にできた、7坪の酒屋です。日本酒、クラフトビール、ワイン、ウイスキー、シェリー。600種類以上が、この狭さに詰まっています。量り売りと角打ちができるので、買って、その場で飲む。

真澄でも本金でも、「宵々さん」と名前が出るお店です。わたしもこの店がお気に入りになって、数年後また取材で訪れた時にも寄りました。

DATA:
宵々酒店/長野県諏訪市末広8-1
2022年オープン。7坪に600種類以上。量り売りと角打ちができます。営業時間は短めなので、行く前に確認を

◉ 1日目|七号サミット、そしてゴトーショテンで打ち上げ

夕方から、真澄の蔵元ショップで「七号サミット」。1946年にこの蔵から見つかった、きょうかい7号酵母をめぐる会です。

会が終わって、打ち上げは宮坂夫妻宅でご馳走になってから、「ゴトーショテン」へ。

DATA:
ゴトーショテン/長野県諏訪市大手2丁目7−2 三国ビル
ニューヨークで伝説的なサケバー「デシベル(現在もやってます)」の店長を務めた後藤さんがご結婚なされて、「ゴトーショテン」という本屋さんと日本酒バーの融合店を諏訪でオープンしています。(南部美人 久慈さんの投稿から拝借)

◉ 2日目|朝は太養パン

ホテルに泊まり、翌日からはひとり行動です。

太養パン店の創業は大正5年、1916年。100年を超える老舗です。「太く養う」という願いを込めた店名だといいます。仕込み水は霧ヶ峰の伏流水。酒蔵と同じ水です。朝6時半から開いています。

かつては、製糸工場で働く女工さんたちが、ぜいたく品だったパンを買っていったそうです。

「とってもおいしい 真心こめて」とローマ字で書かれていてカワイイ

サンドを買って、店内で食べました。テラス席もありましたよ。

DATA:
太養パン店/長野県諏訪市末広12-2
1916年創業。朝6時30分から

◉ 2日目|高島城

パンを食べて、そのまま歩いて高島城へ。

諏訪湖に浮かんでいるように見えたことから、「諏訪の浮城」と呼ばれた城です。城のことは、別の記事に書きました。

DATA:
高島城/長野県諏訪市高島1-20-1
続日本100名城(130番)

◉ 2日目|片倉館の千人風呂

上諏訪に来たら、ここは外せません。

片倉館は昭和3年、1928年の建物。製糸業で財を成した片倉財閥が、地域の人たちの厚生と社交の場としてつくりました。国の重要文化財です。

名物の「千人風呂」は、深さが1.1メートル。座って入るのではなく、立って入ります。浴槽の底には玉砂利が敷いてあって、足の裏がじゃりじゃりする。天井は高く、ステンドグラスから光が落ちてくる。こんな風呂は他にありません。

湯から上がって、2階の大広間で牛乳を飲みました。畳と、窓の外の緑と、冷たい牛乳。この時間のために、また来たいと思うくらいです。

のんびり・・・

DATA:片倉館/長野県諏訪市湖岸通り4-1-9
1928年築。国指定重要文化財。千人風呂は立って入ります。155cmのわたしは、ギリギリあごに湯がつくくらいだったような…

◉ 2日目|噴かなくなった間欠泉

片倉館から湖畔沿いに歩いて10分ほど。諏訪湖間欠泉センターがあります。

1983年、温泉を掘っていたら間欠泉が噴き出しました。高さは50メートル。日本一で、世界第2位ともいわれた高さです。その間欠泉を見せるために、1990年にこの施設ができました。

ところが自噴はしだいに弱まり、1993年には止まってしまいます。以後はコンプレッサーで圧縮空気を送り、5メートルほどの高さで噴かせていました。それも2022年3月に止まりました。

わたしが行ったときには、看板が出ていました。高い噴出は見られなくなっていること、いまは噴出口から常に温泉が湧いていること。原因は不明であること。
だから、噴き上がりません。石を積んだ「七ツ釜」から、静かに湯けむりが立っているだけです。

でも、がっかりはしませんでした。江戸時代の高島城にも温泉が引かれていたくらいです。この町の湯は、掘らなくても湧いてくる。噴き上げなくても、湯けむりは立っている。

◉ 2日目|電動自転車で、下社へ

片倉館の横で電動自転車を借りて、下諏訪町へ向かいます。

諏訪大社は、上社(本宮・前宮)と下社(春宮・秋宮)の4つのお宮からなります。この日はそのうち、下社の2社をめぐりました。

秋宮。青銅製としては日本一といわれる大きな狛犬が、参道の入り口に構えています。

春宮。杉の木立に囲まれた、静かな境内。
四隅に立つ御柱は、7年目ごとに建て替えられます。木を山から曳いてきて、人の手で立てる。この土地の人たちが、いまも続けている行事です。

ちなみに日本酒の「真澄」という銘柄の名は、諏訪大社の宝鏡「真澄の鏡」から取られたものです。

DATA:
諏訪大社 下社春宮/長野県諏訪郡下諏訪町193
諏訪大社 下社秋宮/長野県諏訪郡下諏訪町5828

◉ 2日目|下諏訪の蔵、御湖鶴

秋宮から自転車で少し走ると、諏訪御湖鶴酒造場があります。下諏訪町で、ただ一軒の酒蔵です。

この蔵には、いちど途切れた時間があります。
前身は菱友醸造。2017年に破産し、酒造りが止まりました。土地と建物を引き受けたのは、福島県いわき市の磐栄運送という会社です。2018年、諏訪御湖鶴酒造場として、蔵は再び動きはじめました。

そして2021年、「御湖鶴 純米吟醸 山恵錦」がIWCのSAKE部門で最高賞のチャンピオン・サケに選ばれます。世界一です。再興から3年での受賞でした。

軒先には、受賞の板がずらりと掛かっていました。全国新酒鑑評会の金賞、関東信越国税局の優秀賞、長野県清酒品評会の純米吟醸部門首席。廃業した蔵が引き継がれて、ここまで来ています。

この日は自転車だったこともあり(飲酒運転撲滅!)試飲ができないので、ボトルだけ買って、自転車のかごに入れて走ります。

DATA:
諏訪御湖鶴酒造場/長野県諏訪郡下諏訪町御田町下3205−17

◉ 2日目|足湯で締める。しかも無料

自転車を走らせて、下諏訪の高浜へ。

「ゆたん歩゜」という町の温泉施設があります。その屋外にあるのが、足湯「あじさいの湯」。

靴と靴下を脱いで、腰かけて、足を入れる。それだけです。しかもここ、無料です。
諏訪はとにかく日帰り温泉が多い町です。上諏訪にも下諏訪にも、湖畔にも、まちなかにも、湯がある。旅の途中でいくらでも湯に入れてしまう。それでいて、足湯はたいてい無料です。

朝から歩いて、城にのぼって、風呂に入って、自転車を漕いで、蔵を訪ねて。ここで足を湯につけると、じんわり癒されます。

DATA:
高浜健康温泉センター ゆたん歩゜/長野県諏訪郡下諏訪町高浜10616−90
入浴も500円弱とお手頃。

◉ 2日目|えびす屋と、ツルヤの笹寿し

帰り道、えびす屋でわかさぎ空揚と海老空揚を買いました。

DATA:
えびす屋/長野県諏訪市湖岸通り3丁目4−14
このお店は安政5年創業の老舗店。150年以上の歴史を持つお店。ここの名物「わかさぎ空揚」は大人気。「自然塩」が評判。

それから、自転車を返してから、上諏訪駅前のツルヤへ。長野といえばツルヤ!
旅先でスーパーに入るのは、その土地の暮らしを見るいちばん早い方法だと思っています。なかでもツルヤは別格です。北海道のセイコーマートくらい大事です。

小腹が空いたと、はじめて見たものだったので、笹寿しを買ってみました。店内のイートインスペースで食べることができます。

食べ方の正解がいまだにわからない…

DATA:
ツルヤ 上諏訪店 長野県諏訪市諏訪1丁目6−1 アーク諏訪 1F

◉ 2日目|わびさび、そしてようやく帰路へ

夜は「わびさび」で晩ごはん。

DATA:
信州居酒屋 わびさび/長野県諏訪市大手1丁目14−5 成田屋 1F

終電の時間まで飲んで、上諏訪駅へ歩きました。

◉ 歩ける、ということ

2日間で、車には一度も乗っていません。

温泉も、酒蔵も、城も、神社も、パン屋も、花屋も、古材屋も、角打ちも、駅から歩ける範囲にあります。

しかもこれは、たまたまではありません。城下町として道が引かれ、街道の宿場として店が並び、製糸業で人が集まりました。その道と建物が、いまも残っています。空き家から古材を引き取り、それを使って空き店舗を店に変えていく。リビセンが10年近くやってきたのは、そういう仕事です。上諏訪に新しい店が増えたのは、リビセンが入ってからでした。

上諏訪という町の魅力は、歩ける距離に、歴史が層になっている。上諏訪はそういう町です。

上諏訪といえば移転された「真菜板」さん。海とは違う、湖の静けさもまた心安らぐポイントですね。また行きます。


▼諏訪情報、こちらもどうぞ。

▼レンタサイクルはこちら

https://www.suwakanko.jp/attraction/%E8%AB%8F%E8%A8%AA%E6%B9%96%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%83%AB/


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