3年n組 │ 放課後の資料室でなんのはなしですか
この記事は、もしnoterさんたちが同じ学校に通っていたら……? という企画で生まれた遊びです。
日が空いたので前回までのあらすじはつけましたが、少なくとも以下の2つを読んでもらわないとわからない内容になっていると思います。
(※皆さんのスピンオフもマガジン内にたくさんあるのでぜひ!)
これまでのお話:
乃音小学校に転校してきた凛花は、3年n組の自由な仲間たち&小西先生と過ごすうちに自由な創作の楽しみを思い出していく。ところがある日、小西先生はスペインに行ってしまい、代わりに赴任してきたのは、前の学校で凛花と因縁のある皆月先生だった……
廊下を歩きながら、あたりの様子を伺う。大丈夫。誰も、いない。2階の端っこにある資料室に、わたしはそっと忍び込んだ。
先客がいた。リィちゃんとアルロンくん(R)だった。
資料室は3畳くらいの細長い部屋だ。壁際に掃除用のロッカーが置かれており、両側の壁を埋めるように本棚が並んでいて、埃っぽいにおいがした。
奥には高いところにあかりとりの窓があり、そこから落ちてきた金色の光が、床に水たまりのように輝いていた。
「凛花ちゃん、持ってきた?」
リィちゃんが尋ねる。わたしはうなずいて、抱えてきた絵をそっと取り出した。

これは、たななちゃんが描いた絵だ。おやすみしている間に皆月先生に取られてしまいそうだったのだ。
リィちゃんも、習字の時間に書いた、”先生には提出しなかったほう”を持ってきている。

皆月先生がやってきてあっという間に2ヵ月が経とうとしていた。その間に先生がしたことといえば、「自由な創作の禁止」だった。作文も絵もなにもかもすべてに”正しさ”や”優秀さ”が求められた。
創ったものにはすべて点数や順位がつけられ、目立つところに貼り出された。
あんなにも賑やかだった教室がしんと静まり返ったようになっていた。
「どんなことでも否定せずに受け入れる」。
そんな小西先生の方針とは違う。窮屈で退屈で、自分をきらいになってしまいそうな圧のある環境に、どことなくみんな疲れている感じがした。
わたしとRは自由な創作を復活させようとクラスのみんなに回し手紙をして呼びかけた。
でも、途中で先生に見つかってしまった。
事前に相談できていた数人だけでなんとか連絡を取り合ってみたりしたものの、いい案などは思いつかず、ただ忍ぶ日々が続いていた。
ひとつの案としてやったことが、ここ、資料室での作戦会議だ。
といってもべつになにかするわけじゃない。ただ集まってしゃべったりするだけ。それと、皆月先生の出したお題ではない作品をこっそり集めて守る。そのための回収場所としての役割も果たしていた。
「5月になったけど、先生、まだ帰ってこないね」
わたしがぽつりと言うと、リィちゃんがうなずいた。
「でも……」
リィちゃんが言いかけたそのとき、資料室の扉が開いた。
すのうちゃん、マイトン委員長、みゅみゅちゃんが入ってきたのだ。それぞれが”自由な創作”を守るために集めてきていた。
授業中にふと手を動かしてうまれた落書きだって、皆月先生に見つかったら捨てられてしまう。資料室の中には、そういう、なんのはなしかわからないものもたくさん集められていた。
そのとき、みゅみゅちゃんがつまずいた。
床に置かれていたバケツに引っかかったのだ。マイトン委員長が支えたので転ばずに済んだものの、委員長の足に当たったバケツが宙に浮かび、放物線を描いて飛んでいった。
そして、部屋の奥にいたRの頭にスポッとかぶさった。
「あばばばば」
Rが倒れた。
「だ、だいじょうぶ?」
すのうちゃんが駆け寄ってバケツを外す。
Rはかすり傷ひとつなかった。ふふっと誰からともなく笑い声が漏れた。
「Rって、なんかエスパータイプっぽいね」
わたしは思わず口にしていた。
Rがじろりとこちらを見る。
「あ、ごめん。ポケモンのこと。ポケモンにいたらさ、エスパー・ゴーストタイプかなって」
「なんでそう思うんですか」
Rは淡々と、けれども目の奥の輝きを隠さずに聞いた。そういえばRはポケモンが好きなのだと思い出す。
「いや、その不憫さを引き寄せてるところが……。だって今のバケツだってピンポイントでRのところに飛んでいったでしょ。『サイコキネシス』とか『ねんりき』で引き寄せてるとしか思えなくて」
「ご、ゴーストはなんでですか。ホラーなものとかきらいなんですけど」
「えー、だからだよ。ほら、ゴーストタイプのわざが『こうかばつぐん』なのって、エスパーとゴーストでしょ。気配を消すのもじょうずだし、すごくRっぽい気がする」
「私は?」
リィちゃんが聞いた。
「ほのお・フェアリーかな。うん、ぜったいそう」
「フェアリー、わかる」
声が揃った。
「かわいいけど、それだけじゃない。熱い・強い・格好いい要素もあって、それがなんかほのおっぽい」
「みゅみゅちゃんは……」
わたしは、ちょこんと座っているみゅみゅちゃんに目を向けた。
「フェアリーは絶対だよね。やっぱり”かわいい”といえばみゅみゅちゃん。でも、可憐なお花みたいにおっとりした可愛さだからくさタイプかなあ」
”フェアリー”に何人もが頷いた。
みゅみゅちゃんは照れていて、そこがまたフェアリーっぽかった。
「マイトンいいんちょーは、どくだよね」
何人かが言った。
「どく?」
わたしが首をかしげると「変態道はどくっぽい……」とRがつぶやいた。何人かが頷く。
「わたしはみず・じめんタイプだと思うな。地に足がついて、頼りがいがある感じとか。クールでありつつ、水みたいにするんと色んな人と仲良くなれるところとか」
Rは引き続き「どく……」と言いながら笑っていた。
「私はー?」
すのうちゃんが身を乗り出す。わたしが言うよりも早く、Rが「ほのお・こおり!燃える雪だるま!」と言った。
「まっすぐで熱いところがほのおだよね。でも、大変そうな作業を淡々と、さらりとこなしていくところとか、クールビューティーなところがこおりっぽいと思う」
わたしも付け足した。
すのうちゃんは最近、学校の外に飛び出して、「さんすうの本」づくりに携わっていたのだ。並行していろんなことをしている様子なのに、その大変さを感じさせないところを尊敬していた。
「そういえば、小西先生が帰って来る日、わかったよ」
すのうちゃんが言う。
「え! いつ?」
わたしは思わず身を乗り出した。
「5月24日!」
「ふふっ」
Rが笑う。
「なに?」
「コニシの日じゃないですか。5・2・4」
どっと笑い声が起きる。
「すごい! ミラクルすぎる」
「じつはね、内緒にしてたんだけど、その日に先生がつくった本をみんなに見せられると思う」
「本!?」
「そう」
わたしはドキドキした。
「みんなの文章も載ってるからね。先生が逃げ出さないようにちょっとスペインで缶詰になってもらってたんだよ」
マイトン委員長が遠い目をして言った。
「いいんちょー大変だったもんね」
リィちゃんがぽんと肩を叩く。
「そっか。みんな水面下でいろんなことをしていたんだね」
放課後の狭い資料室だったけれど、教室にいるときとは違って、肩の力が抜けた笑い声が響いていた。
久しぶりに n組 書きました。
ポケモンのタイプ企画。
みんなでお互いのタイプについて話してからお話にしてみました。これはある程度交流がないとできないなーと思ったので、広く企画で募集するのではなく、n組内のオープンチャットで声をかけてやってみたんです。
たのしいですよー!
人のタイプを考えるのもわたしは楽しかったし、他の人からの自分の見え方がわかるのもたのしいです。
ぜひ、親しい方との話のネタに「ポケモンのMyタイプ当て」やってみてください。
個人的にはフェアリーに憧れるんですが、残念ながらまったくそういうタイプじゃないなって自分でも思っています。笑
自分での予想は「いわ・じめん」でした。
(みんなの書いてくれたタイプはちがいました!かなりみんな同じタイプを選んでくれていて、意外で面白かったです。)
いわ・じめんを予想したのは、真面目とばかり言われることや、見た目も地味だけど文章も地味らしいことから。
20代のとき、文章を読んだ人とお会いする機会があって。「どう見ても文章が若くない」「文章から40~50代だと思ってた」と言われて結構ショックだったんですよね。
かわいいものってどうしたら書けるんでしょう……?
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