④『最弱扱いされた俺のギフト《追加ボーナス》、実は仲間も武器も報酬も手に入る最強スキルでした』〜第5章〜
第5章 裏切りとの再会
前回の振り返り
ゴブリン討伐を成し遂げたアスラは、《追加ボーナス》で武器・仲間・精霊を手に入れ、ギルドで注目を浴びた。
最弱と嘲ってきた冒険者たちの視線は驚愕へと変わり、そしてかつて彼を囮にしたガレスたちとの再会も果たす。
「俺は、もう囮じゃない」──アスラは静かにそう告げたのだった。
広間のざわめきは、いつしか火花を散らすような緊張感に変わっていた。
ガレスは大きな体を揺らしながら近づき、酒臭い息を吹きかけるようにアスラを睨み下ろした。
「……調子に乗るなよ、アスラ。たかがゴブリン一匹倒した程度で英雄気取りか?」
セルナが冷笑を浮かべる。
「荷物持ちが運良く精霊を拾った……ただそれだけよ。ギルドもすぐに分かるわ、あなたが虚勢を張ってるだけだって」
ドランは斧を肩に担ぎ、低く笑う。
「次の依頼で尻尾を巻いて逃げ出すだろうな。俺たちが証人だ。こいつは昔からそういうやつだ」
アスラの胸に、あの日の記憶がよみがえる。
仲間だと思っていた三人が自分を囮にし、逃げ去ったあの瞬間。
血の気が引き、全身が凍りつくようだった。
だが、足元のリュカが小さく吠え、肩のフィルが炎を揺らした。
背後に佇むミリアの気配が、確かな温もりとなって背中を押す。
「……俺は、変わった」
アスラの声は震えていなかった。
そのやり取りを見ていた周囲の冒険者たちは、囁き合いながらも真剣な表情でアスラを見ていた。
最弱と呼ばれた男が、本当に力を手に入れたのか──誰もが知りたがっていた。
すると、受付のリナが緊張した面持ちで近づいてきた。
「アスラさん……次の依頼を受けますか? ここに、ちょうど討伐依頼が入っています」
差し出された札を見て、アスラの目が細められる。
依頼内容は「森の群れゴブリン討伐」。
数匹単位で現れる危険度の高い任務。
報酬も大きいが、失敗すれば命を落とす。
ガレスがにやりと笑った。
「いい機会だな。口だけじゃないってところ、見せてみろよ」
セルナが挑発的に囁く。
「どうせ次は死ぬだけよ」
ドランはあからさまに肩をすくめた。
広間の空気が重く沈む。
だがアスラは札をしっかりと受け取り、リナを見つめて頷いた。
「……受ける」
森の入り口。
夜明け前の冷たい空気の中で、アスラは黒銀の短剣を抜いた。
リュカは並走するように草を踏みしめ、フィルは肩で小さな火を灯し、ミリアは翼を広げて淡く光を放つ。
「主君……心は定まりましたか?」
ミリアの声は優しい。
アスラは短く答える。
「あいつらを見返すためじゃない。俺が、俺自身であるために」
やがて森の奥から複数の気配が迫る。
濁った笑い声、錆びた武器の音。
群れを成したゴブリンたちが牙を剥いて現れた。
リュカが吠える。
フィルが火の粉を散らす。
アスラは短剣を構え、強く地を踏みしめた。
「さあ──来い!」
戦いの幕は、再び上がった。

あとがき(第5章)
お読みいただきありがとうございます!
第5章では、アスラがかつての裏切りの仲間たちと再会しました。
彼らの言葉は過去の傷をえぐりますが、それでもアスラは揺らがず、自らの力と仲間を信じて討伐に挑もうとします。
最弱と呼ばれた彼が「本当に力を持つ者」へと歩み始めた瞬間でした。
ですが──敵は一匹ではなく群れ。
次章はさらに苛烈な戦闘が待っています。
次回、第6章「群れとの死闘」。
仲間と共に挑む本格的な戦い、その先で《追加ボーナス》が示す新たな可能性にご期待ください。
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